多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

群馬県、ドクターヘリを越境運用 4月末にも

2011-01-25 12:20:17 | 多文化共生
(以下、日本経済新聞から転載)
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群馬県、ドクターヘリを越境運用 4月末にも

2011/1/25 3:02
 群馬県は北関東各県との医療連携を強化する。4月末にも茨城、栃木両県とドクターヘリの連携運用を始め、緊急時に県境を越えて出動できるようにする。このほか埼玉県を含む4県で、外国人患者のためのボランティア通訳の研修に共同で取り組む。救急医療など高度な医療は単県での取り組みには限界もあり、広域連携を通じて対応力を高める。

 ドクターヘリは北関東3県がそれぞれで運航し、その県内の救急医療に活用している。3県は2010年度中にドクターヘリの連携運用に関する協定を結ぶ。ある県のヘリが運航中に新たな出動要請が舞い込んだ場合、県境に近い地域であれば隣県のヘリに代わりに出動してもらう。今のところ4月末から5月上旬の連携開始を予定している。

 群馬県は09年2月に前橋市の前橋赤十字病院を拠点としてドクターヘリの運航を始めた。10年度は4~12月に約400件出動したが、複数の要請が重なったため対応できなかったケースが約30件あった。連携により、太田市や館林市など県東部では栃木県のヘリが対応することも可能だ。

 「お互いに助け合う」(群馬県医務課)取り組みのため、開始後1~2年間は出張先の県に費用負担は求めない予定。今後は埼玉、長野両県に参加を呼びかけることも検討する。

 このほか、医療機関で治療を受ける外国人を支援するボランティア通訳の研修について、埼玉を加えた4県で連携する。まずは医療現場での医師と患者とのやり取りやトラブルなどの事例を持ち寄り、2月中にも共通の対応マニュアルを作成。ボランティアの研修に活用する。

 これまでも群馬県の公立病院では隣接県から患者を受け入れるなど、医療面での連携に力を入れてきた。今後は連携の輪を救急医療や外国人医療にも広げ、医療水準の向上を目指す。

増える外国人児童 届かぬ日本語教育

2011-01-24 17:45:39 | 多文化共生
(以下、朝日新聞【神奈川】から転載)
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増える外国人児童 届かぬ日本語教育

2011年01月23日
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放課後、中国から来た児童らは中国語と日本語で勉強している。先生はボランティア=横浜市南区の南吉田小学校
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信愛塾でボランティアとして後輩の面倒をみる中国人の生徒(右)=横浜市南区中村町1丁目

 県内で増え続ける外国人の住民。その子どもたちは地域の学校で日本語で教育を受ける。しかし、現場での対応が追いつかず、日本語能力が備わらないまま卒業する子が多いのが実情だ。教育現場を追った。

(北崎礼子)

 にほんごがわからないよ――。横浜市南区にある市立南吉田小学校の6年生の教室。社会科の授業で先生が話している最中、中国福建省から来た男の子(12)はうつむいたままだった。鉛筆は進まず、ノートは白紙。先生に指されても教科書のどこを見ていいのかわからない。両親と来日してから3年、ずっとこんな状態が続く。

 休み時間になると、男の子は中国人仲間の輪にいた。どうしても言葉の分かる者同士で固まってしまう。教室は児童が話す中国語や韓国語、タイ語でにぎやかだ。

 南吉田小ではここ5~6年で外国籍の子や片親が外国籍の児童が急増。全校児童600人のうち、その数約200人で13カ国にまたがる。3人に1人が外国籍関係で、50人は日本語が全く分からない。
 同校では日本語が分からない子のために国際教室を設けて日本語指導をするが、基準は児童20人に対し先生2人。教員は増員されず需要に追いつかない。授業が一番多い児童でも週に3コマだ。通訳できるボランティアを学校が探すが、多くは定着しない。

 藤田耕平校長(53)は「日常会話はできても、ものを考える基礎になる学習言語を学ぶには時間がかかる。学習する権利が十分に満たされていない」と危機感を募らせる。

 日本語が中途半端なまま孤立感を抱え、社会から疎外されていく子も少なくない。
 狭い道路に面した12畳程度の1室で、外国の子どもの勉強を教えたり相談にのったりする支援を32年続けるNPO法人「信愛塾」(同区)。理事の竹川真理子さん(60)はそんな子を大勢見てきた。

 今月、塾に姿を見せたという日本生まれのフィリピン国籍の青年(21)もその一人。「竹ちゃん、体に気をつけろよ」と、かつての教え子は竹川さんに笑った。高校は中退、少年院にも入った。今は全身に昇り竜の入れ墨。「外人の『外』は害虫の『害』と言われてきた。これで日本人と線を引く」。青年は入れ墨を指して言ったという。

 竹川さんはその姿を思い出すと悲しくなる。「あまりにも小中学校で放っておかれたまま成長した。言葉の壁が越えられないと、心の壁も越えられない。彼は言葉で将来を考え、心の奥底を表現する力がつかないままだった」

 「輝く前途」。青年が中学生の時に書いた習字が、塾の壁にはまだ張ってある。

 ●文化認め自信に

 言葉ができず、孤立感を抱えた子にどう向き合うか。

 1月半ば、竹川さんは、2年半前に中国から来た中学3年の少年(14)と、公立高校の面接準備をしていた。
 「僕は中国から来て言葉で苦労したから……、今小さい子どもたちに通訳したり勉強を教えたりしていて……、その長所を伸ばしたいです」。一つ一つ言葉を絞り出す。
 「あなたはこれだけ短期で日本語ができたのだから、自信を持って」。竹川さんは終始、少年を励ました。

 中2の夏、少年は塾に来た当初、ずっと下を向いていた。「学校で周りが話すことが全然分からなかった。どうしようって、ずっと緊張していた」と少年は振り返る。

 竹川さんは最初の2カ月間は子どもの母国語で指導する。1対1で分からないところを教えてもらい、少年は安心できた。様々な国の子どもたちが自由に学び、中国人である自分を隠すこともなく、ありのままでいられた。

 2週間後、少年の顔がぱっと上がるようになった。中学の修学旅行でも班を積極的にまとめ、「わからない」という言葉を秋ごろから言わなくなった。少年は今、塾で、新しく来たかつての自分のような子どもの面倒をみている。

 藤田校長も「言葉だけ教えればいい、日本になじめ、というだけでは子どもたちはストレスを起こす」と言う。

 南吉田小は昨年9月から、母国の文化や習慣に誇りを持たせようと、その国の楽器を演奏したり遊びをしたりする「国際の時間」を設けた。無口な韓国人児童が真剣に楽器を弾き、別の一角では中国児童がコマ回しに熱中した。

 母国の文化や習慣を認められているという感覚。「アイデンティティーが大事にされていると思えば自信がつく。外国人でも日本人でも、隣の人のことを考え、お互いを認めあう子が必ず出てくる」

 行政もようやく一歩を踏み出した。市は、日本語が話せない住民や親子のために2月末から初の日本語教室を無料で開く。国際政策課は「行政が遅れていた。外国人も根ざした地域づくりの必要がある」と話している。

 ■外国人登録者の多い県内自治体
市    外国人登録者数(人) 外国人比率
横浜市  78889      2.15%
川崎市  31468      2.23%
相模原市 11011      1.55%
大和市   6201      2.75%
藤沢市   6115      1.50%
 (外国人登録者数は法務省発表。外国人比率は2009年10月1日現在)

運転免許試験 中国・ポルトガル語可能に

2011-01-24 17:45:13 | 多文化共生
(以下、読売新聞【北陸とやま】から転載)
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運転免許試験 中国・ポルトガル語可能に
外国人増加 学科での導入検討

 運転免許を取得する外国人の増加に対応するため、県警が、中国語とポルトガル語でも学科試験を受けられるよう検討していることが21日、わかった。2011年度中の導入を目指し、県警などは現在、協議を進めている。
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図=県内の外国人登録者の状況(国籍別)

  県警によると、県内在住外国人で中国人とブラジル人が1、2位を占めていることを受け、学科試験に中国語と、ブラジルの公用語・ポルトガル語を導入する方向で検討している。問題の翻訳作業などについても、準備を進めているという。

  県内では、05年に運転免許を保有する外国人は4558人だったが、09年には5694人と2割超増えた。外国語での試験を受けられるようにしてほしいとの要望が増えたため、県警では昨年4月に英語での学科試験を導入したが、その後も受験可能な外国語を増やせないか検討を続けてきた。

  運転免許の学科試験を巡っては、47都道府県で英語で受験できるほか、宮城県や京都府などでは中国語でも受けられるなど、全国で外国語での試験を解禁する動きが広がっている。

  県国際・日本海政策課によると、09年末現在、県内の外国人登録者数は1万4237人で、うち中国人が5891人(41・4%)、ブラジル人が3247人(22・8%)と合わせて全体の6割超を占めている。
(2011年1月22日 読売新聞)

外国人の市住入居 「日常会話」で制限賛否

2011-01-24 17:43:53 | 多文化共生
(以下、読売新聞【福井】から転載)
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外国人の市住入居 「日常会話」で制限賛否
福井市長撤廃に難色
福井市の市営住宅で、外国人世帯が最も多い東安居団地。ゴミ捨ての案内表示は、日本語のみだ

 福井市が昨年春、日常会話が不十分な外国人の市営住宅入居を拒否する内規を設けたことを巡り、外国人の差別解消などに取り組む二つの市民グループから内規撤廃を求める声が上がる一方、「意思疎通ができない外国人に囲まれた住民は不安だ」などと内規を支持する声も市に数多く寄せられているという。市はどう対応すべきなのか、課題を探った。(久米浩之)

 市は昨年4月に「市営住宅入居事務取扱要綱」をつくり、外国人の入居条件をまとめた。永住者、特別永住者、3年以上日本に居住できると市長が認めた者を対象とし、「隣人とのコミュニケーションがとれる程度の日常会話ができる」ことを要求。いずれも、市の担当窓口がこれまで入居審査で適用してきた内容を明文化したという。

 これに対して、先月27日と今月19日に、市民グループが「外国人も同じ住民として対応して」などとする要望書を提出。東村新一市長は先月28日の会見で「外国で生活しようと考えるなら、ある程度の日常会話ができるのが本来だ」と撤廃に難色を示した。市には先月中旬以降、52件の電子メールが寄せられ、「『言葉すら通じない』では(住民との)軋轢(あつれき)が生じざるを得ない」など約9割が内規を認める内容だという。

     ◇

 市によると、市営住宅は計1957戸で、外国人世帯の入居は75戸(昨年4月1日現在)。今月20日、県内最多となる外国人世帯32戸が入居する東安居団地(333戸)を訪ねた。

 ある無職男性(71)は「ゴミ捨ての分別をやってくれない」と話し、ある主婦(29)は「夜中に騒ぐ人がいるが、あまり言葉が通じず注意できなくて困っている」と漏らす。外国人入居者の多くは中国人。コミュニケーション不足や文化の違いなどでしばしばトラブルになるようだ。

 こうした住民からの苦情も、市が内規を策定した要因といい、市によれば、昨年6月、市営住宅入居を希望して中国籍とみられる男女1組が訪れたが、通訳を通じて内規の説明を聞いて断念したという。

 内規の条件にある「3年以上日本に居住できる」に該当する外国人は、外交官や大学教授、調理人など就労ビザのある人か、中国残留孤児の家族や日系ブラジル人ら。これまで門前払いとなったケースについて、市は「どんな経緯で訪れた外国人だったのかは詳しく把握していない」という。

 外国人問題に詳しい田中宏・一橋大名誉教授(日本アジア関係史)は「言語能力を問題にするのではなく、サポート体制の充実に力を注ぐべきだ」とし、市営住宅などでは「全国的に(ゴミ出しなど住宅での)多言語表示が進められており、外国語の表示などは簡単にできるはず」と指摘する。

 福井市の市営住宅には外国語表示もなく、トラブルがあっても基本的に住民同士の解決に委ねているのが現状だ。市には、内規撤廃論議を契機として、すぐに取り組める問題と中長期的な課題を整理し、〈外国人との共生〉に向けた対応が望まれる。
(2011年1月23日 読売新聞)

多文化共生テーマにシンポ 29日、静岡文化芸術大

2011-01-21 09:27:58 | 多文化共生
(以下、朝日新聞から転載)
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多文化共生テーマにシンポ 29日、静岡文化芸術大

2011年1月20日

 静岡文化芸術大学は29日午後1時から、「外国人市民の社会参加と多文化共生のまちづくり」と題したシンポジウムを浜松市中区中央2丁目の同大学で開く。

 基調講演では、愛知県立大学文学部の山本かほり准教授が韓国の多文化共生事情について語る。また、1995年に阪神大震災が発生した際、多言語での情報提供にかかわったNPO法人多言語センターFACILの吉富志津代理事長が「多文化な視点が拓(ひら)く地域社会」と題して意見を述べる。

 このほか、静岡文化芸術大学のイシカワ・エウニセ・アケミ准教授が、定住者としてのブラジル人の意識の変化について報告。ディスカッションや交流会もある。

 無料。事前予約不要。問い合わせは同大企画室(053・457・6113)へ。

こぎつね教室:外国人の学び支援 生徒が感謝のパネル--豊川市 /愛知

2011-01-21 09:27:22 | 多文化共生
(以下、毎日新聞【愛知】から転載)
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こぎつね教室:外国人の学び支援 生徒が感謝のパネル--豊川市 /愛知

 定住外国人の子どもたちに日本語などを教える豊川市の「こぎつね教室」が開校から1周年を迎え、生徒代表7人が18日、市役所を訪れて感謝のメッセージを書いたパネルを市職員に手渡した。

 教室は昨年1月、文部科学省の定住外国人の子どもの就学支援事業「虹の架け橋教室事業」に認定され、同市諏訪のプリオビル5階の市催事場などを借りて開校。この1年間で6~17歳のブラジルやフィリピン、中国出身の子どもたち延べ約40人が通い、日本語や算数などの勉強に励んできた。

 パネルには、習ったひらがなやカタカナ、漢字で「まいにちたのしくおべんきょうしています」「日本の学校にかよえるきかいを感謝します」などと書かれている。市国際課を訪れた生徒たちは「1年間、ありがとうございました」と感謝を伝えた。【丸林康樹】

「書き初め」が人気 霧島市で国際交流のつどい

2011-01-21 09:26:06 | 多文化共生
(以下、南日本新聞から転載)
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「書き初め」が人気 霧島市で国際交流のつどい
(2011 01/21 06:30)

「外国人」の記事をお探しですか?最新関連記事が 13 件 あります。
書き初めに挑戦する参加者=霧島市隼人の日当山地区公民館
 霧島市在住の外国人13 件と市民が交流する「国際交流のつどい~世界の味ランチ」が16日、同市隼人の日当山地区公民館であった。参加者約100人は餅つきや書き初め、茶道など日本の文化に触れたほか、持ち寄った各国の料理に舌鼓を打った。
 霧島警察署管内国際化対策協議会、市国際交流協会が開き4回目。イギリス、ベトナム、アメリカ、中国など10カ国・地域の30人が参加した。
 外国人13 件には書き初めが人気。筆の運びに苦労しながら「希望」「夢」などの字を書き上げた。昼食はスリランカ風コロッケ、パキスタンのカレーなど国際色豊かな料理、日本の正月料理が並んだ。
 ベトナムから鹿児島高専に留学中のゴー・フィー・クーさん(21)は「書き初めは初体験。知っている字でも、筆で書くのは難しい」と話した。

児童労働の実態知って 23日に福岡でイベント

2011-01-21 09:25:34 | 多文化共生
(以下、読売新聞【福岡】から転載)
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児童労働の実態知って 23日に福岡でイベント
イベントの準備を進める小川さん(左)ら

 貧困などを理由に外国の子どもたちが強制労働を強いられている現状を知ってもらおうと、NPO法人の「ソルト・パヤタス」(粕屋町)と「ACE」福岡グループ(福岡市)が23日、「はたらくこども」と題した啓発イベントを福岡市中央区大名2の市NPO・ボランティア交流センターで開く。

 「ソルト・パヤタス」はフィリピンの首都・マニラに近いケソン市・パヤタス地域で活動。ゴミ投棄場のゴミを拾い集めて生計を立てる貧困層の子どもたちに奨学金を給付し、教育を受ける機会を増やしている。会員からの寄付などを財源とし、1995年の創設以降、約250人を援助しているという。

 今回は、児童労働をなくそうと企業や政府への提言活動などを行っている「ACE」の福岡グループと共同で、児童労働の実態を写した写真パネル約30枚を展示。マッチ棒の箱詰め、インドやパキスタンで見られるサッカーボールの手縫い作業などを体験できる「児童労働体験コーナー」も設ける。

 国際労働機関駐日事務所(東京)によると、児童労働をしている子どもはアジアやアフリカを中心に約2億1500万人。多くは教育の機会を奪われたまま、貧困から抜け出せない状態が続いているという。ソルト・パヤタスの小川恵美子事務局長(40)は「子どもが働かなければならない現実が、今も世界中で起きていることを知ってもらう機会になれば」と話している。イベントは午後0時半~4時半、参加費100円。問い合わせはソルト・パヤタス(092・939・3633)へ。(向井由布子)
(2011年1月21日 読売新聞)

間もなく国家試験 問われる外国人看護師受け入れ制度

2011-01-21 09:24:53 | 多文化共生
(以下、TOKYO MX NEWSから転載)
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間もなく国家試験 問われる外国人看護師受け入れ制度

2011年1月20日

 少子高齢化に伴う看護師不足の打開策として2008年から始まった外国人看護師受け入れ制度は「看護師が足りず、打開策として人材を求めたい日本側」が「日本の高度な医療技術を修得したいインドネシアなどの国」から看護師候補者を受け入れるというものです。候補者は入国後、6ヵ月間の日本語研修を経て病院などで就労しながら研修し国家資格取得を目指すというものです。その看護師資格取得の国家試験が来月行われます。これまでの研修の成果を発揮して資格を取得できるのか、外国人の看護師候補にとっては大きな節目となります。

 都立駒込病院に1人の男性看護師候補者がいます。ダダン・クルニアワン・アブディラさん(32)です。外国人看護師候補者の第1陣として2008年9月にインドネシアから来日しました。東南アジアとのEPA=経済連携協定に基づいて来日した外国人が看護師として日本で働く条件は『3年以内に日本の国家試験に合格すること』なのです。このため、ダダンさんにとっては来月行われる国家試験が最後のチャンスです。
 いつも笑顔で接するダダンさんは患者さんからの評判も上々です。ダダンさんは「きょうはどうですか? 寒くないですか?」と患者さんに声を掛けます。患者の1人は「最初にお目にかかった時は『あー、外国人だ』という感じで、まして男性でしょ? 女性側としては『恥ずかしいなぁ、大丈夫かしら』なんて部分もあった。ところが、とにかく言葉遣いが優しいし扱い方も丁寧だから安心していられる。長く長くいてほしいと思っています」とダダンさんの仕事ぶりに感心します。妻と子どもをインドネシアに残して来日したダダンさんの目標は「インドネシアで従事していた手術室での仕事の腕を上げること」でした。しかし期待を胸にやってきたダダンさんは、現在「インドネシアで7年間オペ室(手術室)で働いていましたが、日本に来てからは普通の病棟で働いているんですよ。でも、本当にオペ室で働きたいです」という状態です。
 日本の医療技術を学べると意気込んで来日したダダンさんですが、日本の国家資格を持っていないため医療行為に関わることはできません。病院では看護師の手伝いとして患者の搬送やシャワーの介助などを行っています。ダダンさんが研修を受けている都立駒込病院・看護部の平ちひろ看護担当科長は「初めて病院に来た時の彼の日本語レベルはやっとあいさつができる程度で日常会話もままならないような感じで来ました。その状況から3年間で国家試験に合格するというのは本当に厳しいと思います」と話します。
 ダダンさんは看護専門学校で、別の病院で研修中のインドネシア人と2人で国家試験の勉強をしています。日本語の習得に加え3年以内の資格取得という重圧の中、受け入れた駒込病院もその後押しができるようダダンさんの勤務シフトを配慮しました。週1回だった国家試験の勉強を去年12月からは週2回に増やしたのです。それでも外国人にとって試験は難関です。去年の日本人受験者の合格率が9割ほどだったのに対し、EPAに基づく外国人受験者では合格者は254 人中わずか3人でした。ダダンさんは「漢字が一番難しいです。日本の病名がなかなか読めないので、まだまだ慣れないです」と話します。試験を管轄する厚生労働省は東京都などからの要望を受ける形で、今回の試験では専門用語に関する見直しを行いました。次の国家試験に向けた予想問題集では、難しい用語の漢字にルビが振られ、その横には英語訳も付けられるよう改定されるのではないかと見ています。
 言葉だけでなく、内容に関しても課題があります。広尾看護学校の非常勤講師・外山和子さんは一例として「例えば意識レベルを測るとき、インドネシアは国際レベルの単位を使っているが日本ではジャパン・コーマ・スケールという日本の指標で測る。そういうところから覚えてもらわないと仕事ができない」と外国と日本との違いを指摘します。
 ダダンさんの苦労は勉強だけではありません。仕事の後の買い物で品物を手に熱心に読んでいるのは「原材料名の欄」です。ダダンさんは「もし豚肉が入っていたら駄目。これは豚肉が入っていないので買います」と話しました。イスラム教徒のダダンさんは食事も戒律に従って取るのです。これはインドネシアでは全て妻任せでした。
 そんなダダンさんを温かく見守る病院のスタッフたちにも研修生の受け入れは組織としていい影響があったといいます。駒込病院の根本信子看護長は「彼はすごくいつも笑顔を絶やさない、優しいホットな感じのする人。比較的外科系の病棟でバタバタする中で、外から受け入れるということでみんなが温かく迎えてあげて一緒にやっていこうという柔らかい雰囲気になった気がする」と話します。
 労働力移動や移民などに詳しい首都大学東京の丹野清人准教授は『外国人看護師受け入れ制度』について「単に看護師不足のためだけというのではなく、東南アジアとの経済連携協定(EPA)とのセットの中で組み込まれてしまったということが、その不幸なところ」と指摘し、さらに「日本語で試験を受けないと日本では看護師資格が取れないにも関わらず、フィリピン・インドネシア・タイなどの漢字文化圏とは違ったところから看護師の卵を迎え入れなければならなかった」と問題点を指摘します。
 厚生労働省によりますと、外国人看護師候補者はこれまで455人が来日しましたが、34人が資格取得を断念し帰国しています。この3年間の国としての取り組みに関して厚生労働省は取材に対し「政策判断に関わるものはコメントできない」と回答しています。丹野准教授は、1年に1人当たり700万円以上の費用がかかるこの受け入れ制度を考え直す必要があると考え「外国人もまた、いつまでも日本人が思うような都合のいい労働者であるということはない。とにかく本人の学びたいものというのが日本でかなうような仕組みに変えていくことが必要だ」と指摘します。
 去年の暮れ、ダダンさんは私たち取材班に対し「ちょっと心配ですけれども、来年(2011年)の国家試験が最後のチャンスですから、勉強を最後まで頑張ります」と語ってくれました。
 看護師国家試験は来月20日に行われます。

外国人に日本語を

2011-01-20 08:51:35 | 多文化共生
(以下、上毛新聞から転載)
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外国人に日本語を
熱心に日本語を勉強する外国人
 外国人登録者数が県内で最も多い伊勢崎市で、外国人を対象にした市国際交流協会の日本語教室が始まった。3月まで70人余りに日常会話や読み書きの基本を教えており、言葉の面から日本での生活をサポートしている。

 教室は市在住・在勤の外国人が対象で、2004年度から同協会が伊勢崎日本語ボランティア協会(桑原宜徳会長)に委託して行っている。同市の外国人登録者数(12月31日現在)は1万801人。

 教室は1期分が全10回で、本年度は3回開講。午前(ふくしプラザ)と午後(絣の郷)に分けて2会場で行われ、1~3月の3期は中国、フィリピン、パキスタン、ブラジル、ペルーなどさまざまな国籍の人たちが受講している。

 講師はボランティア協会の会員たちで、平仮名の初歩を学ぶ人から漢字入りの長文に対応できるレベルまで、能力別に5、6人ずつグループ分けして指導。病院で受診するケースなど、日常生活に必要な言葉も教える。

 絣の郷で16日に開かれた教室では、初級者が動物の名前などの基本単語を覚えたのに対し、上級者は助詞の使い分けや「しなくちゃ」といった口語表現を勉強した。

 桑原さんは「仕事を得るためにも、日本語でのコミュニケーション能力は欠かせない。伊勢崎にやってきた外国人の生活がスムーズにいくよう支援していきたい」と話していた。