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学ぶ喜び文字に凝縮 夜間学級に通う76歳女性

2009-02-23 13:02:02 | 多文化共生
(以下、読売新聞【大阪】から転載)
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学ぶ喜び文字に凝縮
夜間学級に通う76歳女性
「字を覚えるのは難しい。でも、仲間と会えるのが何より楽しみ」と話す朴さん(東大阪市役所の識字展会場で)

 「今日も元気で学校へ来た」。東大阪市の市立太平寺中学・夜間学級で、読み書きを学び始めて約7年の朴永南さん(76)(同市)が昨年末、市役所で開かれた識字展に毛筆作品を初出品した。推敲(すいこう)を重ねた11文字に「仲間と出会い、表現できた喜び」を込めた。その文字から、学ぶことへのひたむきな姿勢が伝わってくる。(岡信雄)

 在日2世の朴さんは、長崎・対馬で少女時代を過ごした。6人姉弟の長女。山仕事で多忙な両親に代わって弟たちを学校に送り迎えし、夕方にはかまどでご飯を炊いた。いじめられるなどして泣いて帰る弟たちの世話に追われ、「勉強どころではなかった」という。

 17歳で結婚、30歳を過ぎ家族6人で東大阪に移り住んだ。町工場の2階で暮らし、ヘアピン製造ラインにも立った。当時、漢字を全く書くことができず、書類を出すため市役所に訪れる際は、知人らに付き添いを頼んだ。

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 子どもたちも独立し、夫婦水入らずのゆったりした時間を過ごしていた70歳の頃、夫に先立たれて深く落ち込んだ。そんなとき、娘が「夜間中学に通ってみたら」と声をかけた。「この年齢で勉強なんて」と思ったが、通学してみて、同世代の仲間らと漢字や歴史を学ぶ楽しさを知った。

 教師が出す課題の平易な文章を何度も鉛筆で書き写す。文字の形や筆順をすぐ忘れてしまう。でも、「役に立つ。家でじっとしているより楽しい」と朴さん。この数年はバス路線の廃止で、約4キロの道のりを、つえを頼りに1時間かけて歩いて通学してきた。

 来月には、持病を抱えた右足の手術で入院する。「リハビリもあり、しばらくは通学できなくなる。でも、必ず復学して勉強を続けます」と前を見据える。

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 昨年12月の識字展。市内の識字教室などで学ぶ人たちの計335点の言葉や詩が並んだ。あるベトナム人は「日本はこれから冬のきせつです。さむいですが、先生に日本語を教えてもらい、心があたたかくなります」。少年時代に十分勉強ができなかった日本人男性(59)は「わたしのきもちわかって」と、精いっぱいの文字で記した。

 市教委によると、市内では市を含めて8団体が読み書き教室を運営。中国やベトナムなど18か国以上、10歳~80歳代の約550人が文字を学ぶ。市の夜間学級教師歴が通算16年の岡田裕介さん(59)は「困難な人生を過ごし、ようやく願いがかなって学び始めた外国人も多い。学ぶことで生きることに誇りを持ってもらえたら」と話す。

 市教委では「よみかき教室」を3か所で開き、参加者を募集している。問い合わせは社会教育課(06・4309・3279)へ。
(2009年2月23日 読売新聞)

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