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外国人労働者 安易な実習生頼みでは

2014-02-12 09:41:15 | 多文化共生
(以下、北海道新聞から転載)
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外国人労働者 安易な実習生頼みでは(2月12日)

 建設現場の深刻な人手不足の解消に向け、政府は外国人労働者の受け入れ拡大を検討している。

 3月末までに緊急対応策を取りまとめる予定で、外国人の技能実習制度を活用して2015年度をめどに建設業で働く人材を増やす方針だ。

 東日本大震災の復興事業や安倍晋三政権による公共事業の推進で、建設現場の人材確保は容易ではない。今後は東京五輪の関連工事もあり、労働需給は一層逼迫(ひっぱく)する見通しだ。

 さらには少子高齢化傾向も加わり、海外からの労働力を活用する是非は避けて通れない課題だろう。

 実習制度をめぐっては賃金未払いなどのトラブルが頻発している。現行のまま受け入れを拡大するだけでは事態は悪化しかねない。

 政府は安易な実習生頼みを急ぐ前に、制度の運用を見直し、労働環境の改善を最優先で取り組むべきだ。

 国内企業が外国人を技能実習生として受け入れる現行制度は、発展途上国への技術移転や人材育成を目的としている。期間は最長3年で単純労働への従事は認められていない。

 現在、国内で働く実習生は中国人を中心に約15万人を数える。そのうち約1万~1万5千人が建設業に携わり、鉄筋組み立てといった熟練を要する技術の習得が制度の対象だ。

 だが劣悪な環境で長時間労働を強いたりする法令違反などが後を絶たず、単純労働の隠れみのとして悪用されているとの批判もある。

 その後の法令改正で労働基準法の適用対象となったものの、就業時間や休日など労働条件の改善は十分とは言えないのが実情だ。

 政府の緊急対応策では、実習期間を5年に延長したり、従業員の5%程度までとされている企業の実習生受け入れ枠を増やしたりする案が検討されている。

 拡大後はベトナムなど東南アジアからの実習生が増加する見通しだ。しかし制度自体を抜本的に見直さないかぎり、これまで以上に雇用調整に利用される懸念は拭えない。

 日本の雇用環境が国際的な信用を失うことになれば看過できない。

 実習生を低賃金で大量に雇う企業が増えた場合、国内の賃金水準全体に影響を及ぼす可能性もあろう。

 外国人労働者の受け入れ拡大は、労働力市場の方向性にかかわる重要な中長期的テーマと言える。それだけに場当たり的で拙速な対応は避けるべきだ。

 外国人労働者が安全な環境で適正な報酬を得ながら、技術や技能を確実に身につけてもらう仕組みが欠かせない。そうした制度づくりに向けた検証と運用の議論を置き去りにしたままなら本末転倒である。

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