多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

ケア開国:最前線・台湾から/

2008-12-18 09:53:03 | 多文化共生
(以下、毎日新聞から転載)
=================================
ケア開国:最前線・台湾から/下 トラブルも相次ぎ
 ◇解雇、賃金不払い…政府チェック不十分

 台北駅に外国人労働者向けの相談センターがある。週末になると、インドネシア語や英語のできるスタッフが相談に応じる。謝妍羚さん(26)の車椅子を押してきたインドネシア人の在宅介護労働者、ファタマさん(37)が立ち寄った。謝さんが教会に行く日曜を利用し、新しい情報がないかを確認に来るという。

 センターができたのは2年前。行政の取り組みを聞こうと、台北市の担当部署を訪ねると、インドネシア人の在宅介護労働者、シティ・マミナさん(39)が立っていた。「仲介業者が今年4月以降の賃金を振り込んでいない」という。「来年4月にビザが切れる。仲介業者はまとめて払うというが、パスポートも取り上げられており不安」。シティさんは訴えた。

   *

 台北市の外国人労働者は約3万7000人。9割が介護・家事に就く。今年4月からの5カ月間に市が受けた外国人労働者に関する相談は9735件。契約期間前の解雇や賃金不払いなども少なくない。一昨年から外国人を雇う際、雇用主は各県市に報告し、行政職員のチェックを受けることになった。最近は台湾に入る際、センターの連絡先を伝えるなど外国人労働者の権利を守るための水際作戦を行っている。ただ、高い仲介料が重荷になるなどして約6%(07年調査)が行方不明になっているという。

   *

 外国人労働者の権利擁護の取り組みが顕著になったのは03年に車椅子の国民的小説家、劉〓(当時61歳)がインドネシア人の在宅介護労働者に殺された事件が契機だ。それまで人権問題に取り組んできた10以上の団体が、連合組織を作り在宅介護労働者への労働基準法適用や休暇の確保を求め活動を始めた。「雇用主だって休暇を与えたい。でも休まれたら自分の生活がたちゆかなくなる。家族介護をする台湾住民に与えられる息抜き休暇(補助金付き)を外国人にも与え、仕事を休めるようにすべきだというのが我々の要望」。連合組織のNGOの一つ台湾国際労工協会(TIWA)の呉静如事務局長は語る。

 ホープワーカーズ(キリスト教系NGO)は、04年に46人の外国人労働者が集団虐待され教会に逃げ込んだのを機に台湾で初めて「シェルター」を作った。逃げてきた外国人労働者を受け入れる施設だ。主に寄付金で運営されている。平均して3~4カ月間、シェルターで生活した後、母国に戻ったり別な場所で働き始めるという。今は約20人がシェルターで生活する。担当する葉茉莉さん(57)は政府の権利擁護の取り組みについて「事後の対応になりがち」と指摘する。

 TIWAの呉さんに日本が経済連携協定(EPA)の枠組みで外国人介護労働者を受け入れることを伝えた。「当初は少人数だけ受け入れ『チェックをやるから大丈夫だ』と台湾政府は言っていたが、把握が難しいほど外国人労働者が増えてしまった。いったん導入すると止まらない」【有田浩子】

==============

 ■7割が働きぶりに満足

 台湾行政院は07年、外国人労働者の全雇用主を対象に調査を行った。外国人労働者に何らかの問題があるとの回答は50.5%で(1)言語などコミュニケーションがうまくとれない73.7%(2)電話好きで困る31.7%(3)介護技術が不十分24.3%--が上位だった(複数回答)。全体評価としては「とても満足」「まあ満足」が計72.5%で、4人に3人は働きぶりに満足していることが明らかになった。

毎日新聞 2008年12月18日 東京朝刊

最新の画像もっと見る

コメントを投稿