多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

【外国人実習制度】人権守れる監督機関を

2015-03-10 08:48:19 | 多文化共生
(以下、高知新聞から転載)
=====================================
【外国人実習制度】人権守れる監督機関を
2015年03月09日08時13分

 外国人技能実習生の人権侵害を防ぐ監督機関を設置することを柱とした外国人技能実習適正実施法案の国会審議が始まる。
 人手不足に悩む産業界からの強い要望を受け、政府は実習生の受け入れ拡大を打ち出している。
 少子高齢化で人口減少が進み、労働力の確保は切実な課題だ。外国人の受け入れは有力な選択肢となるだろう。
 とはいえ、技能実習制度をめぐっては劣悪な労働環境がたびたび指摘されている。実習生の人権を守る環境づくりは国の責任だ。
 外国人が働きながら日本の技術を学ぶ技能実習制度は1993年に導入された。現在、約16万人の実習生が農業や製造業などに携わっている。
 一方で、賃金の未払いや長時間労働の強制など違法行為が横行しているとされ、外国人を安く働かせることができる制度にもなっている。
 厚生労働省の2013年の立ち入り調査では、約8割の事業所で法令違反が確認されている。海外からは「強制労働」などとの批判も強い。
 政府が新たな監督機関として設置するのは認可法人「外国人技能実習機構」(仮称)だ。本部のほかに地方事務所を置くことを想定している。
 技能実習は、海外の送り出し団体と国内の受け入れ団体が契約を結び、実習生を国内団体の傘下企業で働かせることが多い。
 新機関は国内の団体や企業への立ち入り調査権限を持つ。技能実習制度での監督強化策をまとめた政府の有識者懇談会の報告書によると、団体は年1回、企業は3年に1回調べる。
 だが実効性には疑問も残る。これまでも実習先などへの指導は繰り返されてきたが、多くの不正を見抜けなかった。報告書が示すような頻度の調査では、根深い問題を明らかにすることはできないのではないか。
 送り出し側へのチェック強化も課題だ。
 実習生が来日する際に、送り出し団体に高額の「保証金」を払う事例も少なくない。途中で帰国すると保証金を返してもらえないため、我慢して働き続けるという。
 本気で外国人の受け入れを広げるのなら、国としてきちんとした労働環境を提供しなければならない。労働力としての視点だけではなく、社会の一員として迎えることが一層重要になる。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿