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【中央時評】東南アジアは一つではない

2009-11-20 12:55:30 | 多文化共生
(以下、中央日報から転載)
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【中央時評】東南アジアは一つではない
「パリはフランスではない」。パリ特派員時代、フランスの人たちからよく聞いた言葉だ。平壌(ピョンヤン)を見て北朝鮮を語ることができないように、首都だけを見てその国を論じるのには無理がある。にもかかわらずマレーシアについて語ろうというのは、無知な者の勇敢さによる部分が大きいが、首都クアラルンプールから受ける印象が強烈だからでもある。

マレーシアを東南アジアの○○な国と感じている人なら、クアラルンプール国際空港に降りた瞬間、自分の錯覚に気づくだろう。 世界のどこと比較しても遜色のない東南アジアの最先端ハブ空港がクアラルンプール国際空港だ。

見晴らしのよい高速道路を走ってクアラルンプール市内に入ると、地上88階、高さ452メートルのペトロナスツインタワーが視野に入る。 2005年に台湾金融センタービルが完工するまで世界で最も高いビルだった。韓国と日本建設会社が一つずつ施工したこのツインビルはクアラルンプールのランドマークとなっている。マレーシアの1人当たりの国民所得は6800ドル程度だが、クアラルンプール市内だけを見ると先進国の大都市に来たようだ。熱帯の緑地を背景に高くそびえる多彩な超高層ビルは、都市建築の競演場をほうふつさせる。

さらに印象的なのは国際化した雰囲気だ。 どこへ行っても英語が通じる。公用語はマレー語だが、英語が準公用語のように使われている。韓国国際交流財団とマレーシア国際戦略研究所(ISIS)が共同主催した韓国-ASEAN(東南アジア諸国連合)フォーラムで、現地出席者はみんな英語を流暢に話した。イスラム教を信じるマレー人(65%)、中国人(25%)、インド人(7%)が一緒に住む多人種・多種教・多文化社会人であるため、外国人が暮らすのに不便な点はない。 多くの世界的多国籍企業が東南アジア本社をクアラルンプールに置くのにはそれなりの理由がある。ソウルよりもはるかに国際化された都市がクアラルンプールだ。

しかし基本的にマレーシアはイスラム国家だ。 宗教の自由は保障されるが、国教はイスラム教だ。外出する際、女性はスカーフを巻き、現地の新聞はイスラム教徒がする一日5回の祈祷時間(毎日少しずつ変わる)を毎日伝えている。ホテルの部屋には聖書とともにコーランが置かれていて、ホテルの部屋の天井やベッドの下の棚には、イスラム教徒が祈る時に向くメッカの方向が矢印で表示されている。 すべての飲食品にはイスラム教徒が食べてもよいものかどうかが表示されている。中東の富豪のイスラム教徒が観光地やショッピング場所にマレーシアを好むのも理解できる。昨年末マレーシアを訪れた外国人観光客は2200万人で、韓国の3倍を超えた。

石油・液化天然ガス(LNG)・すずなど各種地下資源と熱帯農産物の主産地でもあったマレーシアは、マラッカ海峡を挟む東南アジアの戦略的要衝でもある。中東産原油など各種原資材と商品を積んだ船がインド洋を通過して南中国海(南シナ海)へ行くためには、必ずマラッカ海峡を通らなければならない。15-16世紀、マラッカ王国が東西洋仲介貿易で莫大な富を築けたのも天恵の立地条件のためだった。当時マラッカ港は120余りの言語が通じるほど国際化された貿易港だった。 マレーシアの多文化・多人種的な伝統はすでにその時に形成されていた。

中国も最近、マレーシアに注目している。 フォーラム期間中、胡錦濤・国家主席がマレーシアを国賓訪問した。胡主席は明の鄭和の艦隊が立ち寄ったマラッカ港を見て感慨に浸ったりもした。マラッカ海峡は21世紀の「海洋大国」を夢見る中国にとって戦略的に重要な場所だ。

クアラルンプールがイスラム金融のメッカに浮上していることからも分かるように、マレーシアはイスラム圏商取引の標準をつくる知的リーダーの役割をしている。 全世界のイスラム圏に広まる情報と人的ネットワークも強大だ。マレーシアのイスラム圏に関するノウハウとネットワークを活用する必要がある。マレーシアと手を組んでイスラム圏に共同進出するさまざまなプロジェクトを講じなければならない。

社会的統合が絶対的に重要な多人種・多文化的背景に背を向けて、西欧式民主主義の定規だけでマレーシアを裁断してはならない。李明博(イ・ミョンバク)政権の「新アジア外交」はASEANの統合的重要性を強調しているが、東南アジアは一つではない。国別に洗練された最適な接近が必要だ。 そうしてこそマレーシアのような国の戦略的価値を活用できる。

                         明福(ペ・ミョンボク)論説委員・巡回特派員

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