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外国籍で教員試験合格 生駒・鹿ノ台小の金さん、奈良県内で初

2010-04-07 09:48:58 | 多文化共生
(以下、朝日新聞から転載)
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外国籍で教員試験合格 生駒・鹿ノ台小の金さん、奈良県内で初

2010年4月6日

 韓国籍の金秀勇(キムスヨン)さん(26)=生駒市在住=が外国籍の受験者として奈良県の教員採用試験に初めて合格し、同市立鹿ノ台小学校に着任した。大学在学中から数えて5回目の受験で念願の採用。「子どもたちの気持ちを分かってあげられる先生でい続けたい」と張り切っている。

 金さんは大阪市生まれ。祖父母が戦時中に日本に移り住んだ在日3世だ。小中高と日本人と同じ学校に通い、「小学5、6年の担任の先生に学校の楽しさを教わった。自分もそうなりたい」と教員を志した。奈良教育大に進学。卒業後の2006年、鹿ノ台小学校の臨時講師になった。

 これまで2~6年の4クラスで担任を務めた。2月の参観日で合唱を成功させ、感動を分かち合った。「最初は自分の理想を教え込むという気持ちだったが、だんだん一緒に自分も成長させてもらっていることに気づいた」

 正規採用にこだわった理由は将来への不安や待遇面の格差だけではないという。「(不合格は)自分はだめだとレッテルをはられたみたいで悔しかったから」

 昨年は母校の大学で学生たちと一緒に面接対策を受けた。9月、インターネットの合格発表で知り、「うれしいよりも、ほっとした」という。「子どもたちは外国人というだけで興味を示す。できるだけ、その不思議に応えてあげたい」と話す。

■身分は「教諭」でなく「常勤講師」

 金さんの身分は「常勤講師」で、「教諭」ではない。

 外国籍教員については1991年、当時の文部省が「期限を付さない常勤講師」として採用できると通達し、全国で外国籍の受験者に門戸が開かれた。奈良県ではすでに78年に教職員採用に関する国籍条項を撤廃していたが、合格者はいなかった。

 昨年度、奈良を除く近畿では、157人の正式採用の外国籍教員が勤務。一方、県内では正式採用ではない外国籍の臨時教員として27人(2008年度)おり、金さんもそのうちの1人だった。外国人生徒のサポート的な役割を担う臨時教員も多く、国籍別ではフィリピン13人、韓国10人、ペルー2人、中国とタイが各1人ずつだった。

 臨時教員は1年ごとに契約を更新する必要があるが、金さんは今回の正式採用でその必要がなくなり、給与や休暇など待遇面で「教諭」と同じになった。県教委教職員課の久保田幸治課長は「国籍条項撤廃から30年余り。待望の第一号誕生はうれしい。金さんのこれまでの人生経験を遺憾なく発揮して活躍してほしい」と期待する。

 一方、外国籍教員の場合、日本人教諭と異なり、校長や教頭、主任など管理職への道は閉ざされている。金さんは「おかしいとは思うが、デリケートな問題。在日でも日本をよくしたいという気持ちは同じなのに」と複雑な表情で受け止める。(岸上渉、成川彩)

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