多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

ブラジル人学校不況に負けない 給与減らし月謝値下げ

2010-04-07 09:48:20 | 多文化共生
(以下、読売新聞【山梨】から転載)
============================================
ブラジル人学校不況に負けない
給与減らし月謝値下げ
経営努力を続けるアルプス学園

 世界的な金融危機の影響で月謝が払えずに退学を強いられる子供が増えていた南アルプス市のブラジル人学校「アルプス学園」が、存続のために厳しい運営に奮闘している。学校教育法に基づかない無認可の学校のため、運営資金は子供たちの月謝だけで、教諭たちは自らの給与を半分にカットし、月謝を値下げした。同校は「日本で安心して子供が育ってほしい」と、最大限の経営努力を続ける。(山田佳代)

 スモモ畑が広がる同市藤田の一角にある2階建ての建物が、2歳~17歳の子供たちの学舎(まなびや)、「アルプス学園」だ。風船や絵本で遊ぶ幼児もいれば、教諭から母国語のポルトガル語や歴史を習っている生徒の姿もある。

 同学園の前身でブラジル政府認可の「ピタゴラス山梨校」は2001年10月にこの地で開校した。保護者の多くは南アルプス、中央市、韮崎市にある電子機器や食料品の製造工場で働いている。だが、08年秋の金融危機で、保護者の失業が相次ぎ、帰国する家庭が急増した。生徒数は最盛期05年の148人から09年12月には48人に激減した。

 このため、全国でブラジル人学校を展開する「コレージオ・ピタゴラス」(群馬県)は不採算を理由に同校の閉鎖を決定。だが、同校の子供は日本語が分からないため、日本の学校に通えず、保護者からは、「学校がなくなれば帰国するしかなくなる」と存続を望む切実な声が上がった。

 教諭たちはピタゴラス本部から独立して学校を運営する道を選び、今年1月、「アルプス学園」に改名。学校教育法に基づかない無認可の学校のため、行政の支援は受けられず、運営資金は月謝だけだ。「少しでも楽に」と月謝を3万円~4万円から2万5000円~3万5000円に値下げし、これまで受け入れなかった日本の学校に通っている子供も放課後に受け入れるようにした。経営努力の結果、現在60人の子供が在籍し、滞りが懸念された家賃や光熱費もしっかり支払っている。教諭4人の給与は半額のままだ。

 レオナルド・タンゴダ君(10)は「学校がなくなるという話を聞いた時は寂しかった。今、同じ学校で勉強ができるようになり、うれしい」と笑顔を見せる。

 ミリアン・ナガイ校長(42)は、「月謝を安く抑えて多くの子供が通えるようにしたい」と話す。

 ラテン系外国人を支援する市民団体「ハート51」代表の加藤順彦さん(64)は「日本政府の支援を受けていないためブラジル人学校の経営はどこも厳しいが、将来帰国する子供にとって母国語や母国の習慣を身につけるのに必要不可欠な施設だ」と話している。
(2010年4月6日 読売新聞)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿