(以下、産経新聞から転載)
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ヤフーの「在宅勤務禁止令」、本当の狙いは何か
2013.3.1 12:19 [情報通信]
ヤフーが従業員に在宅勤務を禁止すると通達したことが、大きな波紋を呼んでいる。しかし、グーグル出身のマリッサ・メイヤーCEOが、たいした考えもなしにこのような方針を採用したとは考えづらい。
ヤフーが従業員に在宅勤務を禁止すると通達したことが、大きな波紋を呼んでいる。大方の予想通りとなった格好だが、同社に対する反応のなかには「会社の体質が古い」という批判もあれば、「最近の従業員は甘やかされ過ぎだ」というような反論もあった。
ここで、一度こういった反響から距離を置いてみることにする。そこですぐに思いつくのは次のようなことだ。つまりヤフーの数々の失策には顔をしかめる人も多いが、誰よりも慎重に選ばれたマリッサ・メイヤーCEOが、たいした考えもなしにこのような方針を採用したとは考えづらい。
「これがヤフーが直面する問題に対する究極の回答だというなら、マリッサ・メイヤーはたいしたもんだよ」と皮肉るのは、エナジープロジェクト社のCEOであるトニー・シュワルツ。同社はフォーチュン100企業を対象に、より柔軟な就業環境を推奨するコンサルティングを行っている。
シュワルツは、従業員の労働時間の長さと彼らの生産性や生み出される価値が比例するとは言えず、給与を支払う代わりに一定時間、彼らを職場に拘束するという企業のやり方は「時代遅れ」だという。その代案として同氏が提唱しているのは、従業員に明確な目標を示し、彼らがいちばんいい方法で自由に目標を達成できるようにする、という自律と責任に基づいたやり方だ。
目標達成を最優先するこうしたアプローチでは、在宅勤務の是非をめぐる議論は意味を失う。問題は、目標が異なればそれに応じた就業形態が必要とされる時代にあって、画一的なシステムを強制しようとする非合理さにあり、在宅勤務とオフィス勤務のどちらが生産性が高いかといった点は、それに比べればたいして重要ではない。実際、こうした考えを支持する人はシュワルツ氏以外にも存在する。
「全社員に固定的な就業場所や就業時間を守るように求めることは、組織の硬直化を進める可能性があります。また、チームの協調性が高まったり、高度なイノヴェイションを生み出せる保証もありません」ハーヴァードビジネススクールの教授で、企業文化やイノヴェイションに詳しいロザベス・モス・キャンターは、WIRED宛のメールにそう記している。
しかし、グーグル出身のメイヤーなら、そんなことはあらためて言われなくても知っているだろう。グーグルが古臭い就業環境とは無縁の企業であることはよく知られているし、オフィス環境への型破りなアプローチが大きな成功や収入につながることを、彼女が実体験として知っているのは間違いない。
一部のヤフー社員は新たな方針について、本当に生産的の高い従業員と、会社の規則を悪用して自宅でサボっている従業員とを分別するためのフィルターなのではないかと言っている。おそらく、メイヤーは今回打ち出した在宅勤務禁止令を使って、会社に対する従業員のコミットメントを試すつもりなのだろう。そして、これは就業場所や就業体系にかかわらず、本当に信頼できる社員を見分ける手助けになるだろう。また、結果的に精鋭揃いとなったヤフーは、いまよりも優れた企業になるかもしれない。
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ヤフーの「在宅勤務禁止令」、本当の狙いは何か
2013.3.1 12:19 [情報通信]
ヤフーが従業員に在宅勤務を禁止すると通達したことが、大きな波紋を呼んでいる。しかし、グーグル出身のマリッサ・メイヤーCEOが、たいした考えもなしにこのような方針を採用したとは考えづらい。
ヤフーが従業員に在宅勤務を禁止すると通達したことが、大きな波紋を呼んでいる。大方の予想通りとなった格好だが、同社に対する反応のなかには「会社の体質が古い」という批判もあれば、「最近の従業員は甘やかされ過ぎだ」というような反論もあった。
ここで、一度こういった反響から距離を置いてみることにする。そこですぐに思いつくのは次のようなことだ。つまりヤフーの数々の失策には顔をしかめる人も多いが、誰よりも慎重に選ばれたマリッサ・メイヤーCEOが、たいした考えもなしにこのような方針を採用したとは考えづらい。
「これがヤフーが直面する問題に対する究極の回答だというなら、マリッサ・メイヤーはたいしたもんだよ」と皮肉るのは、エナジープロジェクト社のCEOであるトニー・シュワルツ。同社はフォーチュン100企業を対象に、より柔軟な就業環境を推奨するコンサルティングを行っている。
シュワルツは、従業員の労働時間の長さと彼らの生産性や生み出される価値が比例するとは言えず、給与を支払う代わりに一定時間、彼らを職場に拘束するという企業のやり方は「時代遅れ」だという。その代案として同氏が提唱しているのは、従業員に明確な目標を示し、彼らがいちばんいい方法で自由に目標を達成できるようにする、という自律と責任に基づいたやり方だ。
目標達成を最優先するこうしたアプローチでは、在宅勤務の是非をめぐる議論は意味を失う。問題は、目標が異なればそれに応じた就業形態が必要とされる時代にあって、画一的なシステムを強制しようとする非合理さにあり、在宅勤務とオフィス勤務のどちらが生産性が高いかといった点は、それに比べればたいして重要ではない。実際、こうした考えを支持する人はシュワルツ氏以外にも存在する。
「全社員に固定的な就業場所や就業時間を守るように求めることは、組織の硬直化を進める可能性があります。また、チームの協調性が高まったり、高度なイノヴェイションを生み出せる保証もありません」ハーヴァードビジネススクールの教授で、企業文化やイノヴェイションに詳しいロザベス・モス・キャンターは、WIRED宛のメールにそう記している。
しかし、グーグル出身のメイヤーなら、そんなことはあらためて言われなくても知っているだろう。グーグルが古臭い就業環境とは無縁の企業であることはよく知られているし、オフィス環境への型破りなアプローチが大きな成功や収入につながることを、彼女が実体験として知っているのは間違いない。
一部のヤフー社員は新たな方針について、本当に生産的の高い従業員と、会社の規則を悪用して自宅でサボっている従業員とを分別するためのフィルターなのではないかと言っている。おそらく、メイヤーは今回打ち出した在宅勤務禁止令を使って、会社に対する従業員のコミットメントを試すつもりなのだろう。そして、これは就業場所や就業体系にかかわらず、本当に信頼できる社員を見分ける手助けになるだろう。また、結果的に精鋭揃いとなったヤフーは、いまよりも優れた企業になるかもしれない。
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