多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

「イエ」や「クニ」を超えて

2011-11-24 22:42:05 | ダイバーシティ
「イエ」や「クニ」を超えて

日本には今、たくさんの外国人が住んでいます。このことを、私たちは、私たちの国とはちがう他の国の考えを持った人たちが住んでいると考えがちです。本当にそうでしょうか。
私たちは日本という国に住む日本人だと思っています。日本人であることを、自分のアイデンティティとしています。同じく、他の国から来た人に対して、私たちは、その他の国を彼らのアイデンティティとしているのであろうと考えます。
しかし、本当にそうでしょうか。私たちは自分が住んでいる国を自分のアイデンティティとして確立しているのでしょうか。日本に住む日本人としての帰属意識から、また、何かに所属していたいという安心感から日本人であると思っているのでしょうか。
日系ブラジル人(日本からブラジルに移住した日本人)の人たちはどうでしょう。ブラジルに住み、外国人と言われ、日本に移り住み、また外国人と言われる。彼らはナニジンなのでしょう。すでに2世代3世代にわたって日本に住む在日コリアンの方からも同じ話を聞きます。私はナニジンなの?と。
多文化共生は、ちがいを残しつつも、ちがいを乗り越えていくものだと思います。一番ベースになるちがいはアイデンティティでしょうか。
以下に、うち(NPOタブマネ)の代表の田村の言葉を掲載します。今から10年以上前の言葉になります。
「世界の人びとがしなければならないことは、「自分とどう向きあうか」であり、自分と向かいあってはじめて、自分のアイデンティティはこれだ!というものになっていくのではないでしょうか。それこそがアイデンティティであって、けして人から与えられるものではないのだと思います。20世紀の人びとは、国や民族にアイデンティティをゆだねていました。国家や民族の概念が崩壊しつつある現在、国に変わる何かを考えておかないと、人は宗教や偏った民族主義による架空の枠を設けて他者を排除してしまいます。
アイデンティティとは国籍や民族ではなくて、多様な個を自分のなかにみいだしていくとではじめて手に入れられる「自らの存在感」といえるのではないでしょうか」

この続きは、11月26日に富山大学で開催される「東アジアとともにいきる富山県の未来」の基調講演「多文化共生から始まる地域の未来」へどうぞ。

外国人受入制度と実態の狭間から

2011-11-24 22:41:15 | ダイバーシティ
外国人受入制度と実態の狭間から

日本には今、たくさんの外国人が住んでいます。法務省統計によると213万人もの外国人が住んでいるわけですが、中でも最も多い国籍が中国で、69万人弱の方が住んでいます。
在留資格も様々で、永住者や日本人の配偶者といった、いわば日本の地域住民に限りなく近い人や、留学生として一時的に日本に滞在し、将来、日本での就業を視野に入れた生活を送っている人もいますし、帰国を前提とした技能実習生という資格で日本に来ている人たちも多くいます。
この技能実習生制度は、日本の進んだ技術を学び、帰国後に母国の発展に寄与してもらおうという制度なのですが、この制度の前身である「研修・技能実習制度」は国際的にも非常に評判が悪く、国連から「奴隷制度ではないか」といったような報告もなされています。韓国では、外国人の受け入れに関し、日本の制度を参考にし、同じく研修制度も取り入れていましたが、日本が研修制度改正・廃止する前に、率先して廃止しました。
こうした国際的な批判や制度の是非以前の問題として、制度の目的とその実態にかい離があること、すなわち、それほど日本の社会が直面している問題が深刻であることを受け止めなくてはならないでしょう。制度に不備があれば、その不備が判明した時点で修正するのは当然ですが、制度以前に、その制度ではカバーしきれない問題であるとすれば、それは制度の問題ではないし、外国人の受け入れの問題でもないし、さらに大きく社会全体の問題として考えていくべきことでしょう。
この続きは、11月26日に富山大学で開催される「東アジアとともにいきる富山県の未来」の報告②「富山県の受入事例から見た現状と未来」へどうぞ。

地域に住む外国人

2011-11-24 22:40:45 | ダイバーシティ
地域に住む外国人

日本には今、たくさんの外国人が住んでいます。法務省の統計によるとH22末では213万人の人が191の国から来ていることになってます。国連加盟国数が192なので、ほぼ全世界の国や地域から日本に来て、住んでいることになります。
そして、日本での活動(仕事)の種類や身分にごとに日本に住んでよいとされる資格が27種類あり、日本に住んでいる外国人は191の国と27種類の資格(在留資格)に分類されるマトリクスがあることになります。とても壮大な数になります。ここに言語や宗教、文化、性別や年齢というちがいも加わるため、これだけで、まさに一人として同じ人はいないともいえるでしょう。
しかしながら、日本に住む外国人は、特定の国の人が、特定の県や地域に偏重し、また、特定の資格の人が特定の県や地域に偏重しています。こうした偏重はなぜ生じるのでしょうか。
端的にいうと、必要とされる地域に必要とされる外国人が住んでいるということです。これを逆の言い方をすれば、それぞれの地域の課題が外国人の居住状況を見ていくだけで、浮き彫りになってくるということです。どんな国籍のが、どんな資格の外国人が住んでいるのか。それこそが、それぞれの地域が直面している課題であるということになります。
外国人は単に生活者として地域に住んでいるわけではなく、地域の課題に適合した人として住んでいるということです。積極的な言い方をすれば、地域の課題を解決するために住んでいるとさえ言えるわけです。
今、日本には213万人もの外国人が住んでいますが、現在、日本が迎えている人口減少社会のスピードから考えると、ものの4~5年で、外国人の存在を帳消しにしてしまうことになります。
私たちの地域社会はどういう課題を持っていて、そのためにどういう選択肢を持っているのでしょうか。
この続きは、11月26日に富山大学で開催される「東アジアとともにいきる富山県の未来」の基調講演「多文化共生から始まる地域の未来」へどうぞ。

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外国人労働者

2011-11-24 22:39:21 | ダイバーシティ
外国人労働者

日本には今、たくさんの外国人が住んでいます。たくさんの外国人が住んで、仕事をし、生活しているので、彼らは「外国人労働者」と言われます。日本に住み、日本国内の企業に就業し、企業すなわち日本の産業を共に担っている人たちです。他方、外国人であっても日本国内で生活しているので、労働者であると同時に、消費者でもあります。つまり、私たちと同じ、生活者であるわけです。
こうした外国人生活者が100万人、200万人、、、1000万人と増加していくと、どうなるでしょう。労働力が増えるので、生産力は向上するでしょう。消費者も増えるので、消費効果も高まるでしょう。一方で、外国人であるがゆえにコストがかかる面もあると言われます。日本語の教育にコストがかかるとか、日本での生活指導に(文化的違いの相互理解のための)時間的コストが必要とも言われます。
さらに、どんな外国人でも日本に住めるわけではなく、一定の要件を満たした場合にのみ、日本に住むことができる制度になっているために、どのような外国人が日本に住むことが好ましいか、好ましくないかといった議論も多くあります。「制度」である以上、それは人が決めるものであり、人が決めるものであるため、人に備わっている大切な感情という側面も、こうした議論に付加されることになります。
人が生活していくことであるため、感情を排除することなど、到底、できるものではありませんが、感情は論理的な比較検討を得意とはしないものです。
このため、まずは論理的な面かつ経済的な面にのみ限定してスポットを当て、どういった外国人がどの程度のボリュームで日本に増加した場合、日本の産業に与える効果はどの程度あるのだろうか?という試算を行ってみることも必要でしょう。
この続きは、11月26日に富山大学で開催される「東アジアとともにいきる富山県の未来」のパネルディスカッションへどうぞ。

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国境を越えて移動する人々

2011-11-24 22:38:21 | ダイバーシティ
国境を越えて移動する人々

日本には今、たくさんの外国人が住んでいます。人口を数として均してしまうと、外国人の割合は2%とか、そのあたりになってしまいますが、地域や地区の個別のブロック単位でみると、住民の2割が外国人であったり、幼稚園児の9割が外国人であるということが、現在の日本の社会の姿なのです。
今から21年前の出入国管理法の改正に遡りますが、そのときを境に、日本に多くの外国人が住むようになりました。当時の絶頂の好景気を支えるための苦肉の策としての外国人受け入れの法改正と言われていますが、はからずも「絶頂」を境に、日本経済は大きく後退し、デフレを迎え、失われた10年、15年、20年と出口のない迷宮に入ることになりました。
しかし、そうした状況下にあって、自動車産業をはじめとした各種の製造業が日本経済を下支えしてきました。こうした製造業を中心に多くの日系ブラジル人などの外国人が就業していることも、日本社会の実情です。
そもそも国境を越えて人々が移動するということは、どういった法制度のもとに行われているのでしょうか。日本に住む外国人は、どういう法制度のもとに移り住み、それはどういう行政機関によって行われているのでしょうか。
日本の外国人の受け入れの基幹的な制度は、アメリカの移民法をベースに作られた入国管理制度であり、それを担当する入国管理局はImmigration Bureauであり、直訳すれば「移民局」です。移民局であるにも関わらず、なぜか「入国管理」という名称となっています。
このあたりに多文化共生を制度設計できない根本的な理由がありそうです。
この続きは、11月26日に富山大学で開催される「東アジアとともに生きる富山県の未来」の報告①「日本の出入国施策の現状と未来」へどうぞ。

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NGOダイバーシティとやま設立記念フォーラム開催結果報告

2011-11-24 16:27:27 | ダイバーシティ
NGOダイバーシティとやま設立記念フォーラムの概要をご報告いたします。
以下、NGOダイバーシティとやまウェブサイトから転載です。

http://diversity-toyama.org/?p=249
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NGOダイバーシティとやま設立記念フォーラム開催結果報告

設立記念フォーラムの開催にあたり、私たちスタッフに一番多く寄せられた言葉。
それは「ダイバーシティって何?」でした。
それにも関わらず、本当に多くの人にご来場いただき、スタッフ一同、
とても感激しています。みなさんに支えられ、NGOダイバーシティとやまは
船出することができました。どうもありがとうございました。
みなさんからは、たくさんの励ましの声をいただきましたが、
「新しい時代の幕開けを感じた」という方もあり、これからも、みなさんとともに
歩んで行きたいなと思えるフォーラムとなりました。

ごく一部分に過ぎませんが、フォーラムの開催結果をご報告させていただきます。

第1部
○「ダイバーシティとやまが目指すもの~多文化共生なとやまの未来」代表 宮田

宮田からは、自身の日本語教師としての経験から、これまで外国人の学生の
教育や生活上の悩みなどに寄り添ってきたこと、そしてボランティアとしても
外国人の小中学生と向き合ってきたことから、「外国人が日本に住む」という難しさを
目の当たりにしてきたことをお伝えしました。
また、宮田は発達障害児にも同じ境遇があること、人には理解されにくい、
様々な困難を抱えている人がいることを、映像を使って会場に伝えました。
世界にはいろんな人がいる、いろんなちがいを持っている人がいる、
いろんなちがいがあるからこそ、すべての人が支えあって、
笑いあって楽しく生きる社会ができる。
そんなメッセージをお伝えしました。
静かで圧倒的に押し寄せる感動が会場を満たしました。

○「人の多様性が地域社会の未来を築く~diversity&Inclusion」
一般財団法人ダイバーシティ研究所 柴垣

ダイバーシティ研究所の客員研究員であり、NGOダイバーシティとやまの
副代表であり、この記事を執筆している私(柴垣)から、まだまだ耳馴染みのない
「ダイバーシティ」の理念的な部分をお伝えしました。
なぜ、これからの地域社会を考えるときに、ダイバーシティの視点が必要なのか、
マクロ的な視点から定量的に導き出せる未来の姿を提起しました。
そして、ダイバーシティの主役は多様な存在である個々人であり、
多様な個々人が存在しているからこそ、しなやかな地域づくりができる。
そして、単一の価値観を持つのではなく、重層した価値観をスタンダードに
していくことが必要だということを提言しました。

第2部
○「+思考で障がいが活きる経営戦略」 戸枝陽基さん

戸枝さんは言います。「福祉の王様は障害者福祉だ」と。
こども、思春期、おとな、お年寄り、そして亡くなるまで
福祉の範囲は広い。でも、年代で輪切りにしてはいけない。
人生トータルで福祉を考えなくてはならないし、もっとも
シビアな部分から考えていくことが福祉の王様たる所以だと。
障がいを持っている人にも、それぞれの個性や家庭や背景が
あります。個別輪切りで捉えてもイカンと。
また、障害者の社会復帰トレーニングについても疑問を
呈されます。戸枝さんいわく
「これは何のためのトレーニングですか?」
社会復帰施設の人いわく
「社会復帰、就職に向けたトレーニングです」と。
またまた戸枝さんいわく
「このトレーニングを続けて、就職できますか?」
社会復帰施設の人いわく
「いや~、無理でしょう」
またまた戸枝さんいわく
「じゃ、このトレーニングは何のためのトレーニングですか?」
社旗復帰施設の人いわく
「社会復帰のためです」と。
いったい、何のために作業しているのかということもありますし、
トレーニングに入る前に、「このトレーニングをすれば、
こう改善されますよ」という説明がないということも
指摘されます。
これは何も、作業所の人に問題があるわけではなく、
「障害者というものは、こういうものだ」
という刷り込みがあるからだと言うことです。
私たちは、無自覚に、障害者は就労できない、だから、就業の
トレーニングを受けなくてはならない、そして、就業トレーニング
だから、高い報酬も得られないという刷り込みを持ってしまっている。
と言います。
「周囲の人が考え、障がいのある人にも役割を持たせる
社会でないと」
戸枝さんは、障がいのある人の特性を見つけて、喫茶店や
ラーメン屋、キノコの栽培なども手掛けています。どんな
人でも働ける場があるからと仰います。
「例えば、生存機能が100点中5点しかない人がいるとする。
普通だったら5%しか機能しない人は何もできない人間に
なってしまう。だが、5%動いている、心臓が動いている限り
仕事は見つけられるはずだ。」
「すべての人が、生きている限り、可能性がある」
素晴らしいお話でした。
最後に、戸枝さんは、こうお話しされました。
「ちがいばかりを探すのではなく、共通項を見つける。
共通項を見つけて、つながりの輪をひろげる。こうした
輪を広げていくのが大切です。今日はダイバーシティという
点で、ひとつの集まりがあり、富山の場に、ひとつの
しずくが落ちた。
このしずくによってできた波紋は、ひとりひとりが受け止めて、
広げていくもの。
今日の参加者は、富山を変えていく波紋のひとつとなるでしょう。」

○「外国にルールを持つ子供たちの今と未来」 小島祥美さん
小島さんは、ご自身が学校に通っていたころ、毎日、学校に行くのが
楽しくて楽しくて仕方がなかったとのことで、小学校の先生に
なったそうです。
ですが、教壇に立ったときに外国籍児童を担当して、
コミュニケーションもままならず、そして、彼らに元気がないことに
ショックを受け、「学校がつまらない」と言う彼らのこと、彼らの背景を、
まったく知らない自分に気づき、南米へと一人旅に出かけたそうです。
阪神淡路大震災が起きたとき、神戸へ行き、被災した外国人住民のために
多言語情報発信などの活動に参加され、そうした中で、学校に
通っていない(不就学の)外国籍の子どもに出会い、またまた
衝撃を受けたとのことです。
ショックの多い人生ですね。
自治体では不就学の子どもの実態を把握しておらず、不就学の
子どもは「社会からまったく見えない」ことに驚き、どうしたら
社会から見える存在になるのか、笑顔が見えるようになるのか、
悩みに悩んだ末、「私が全員に会いに行けばいいんだ!」と
思ったそうです。
しかしながら、そうした小島さんの考えに共感を示してくれる自治体に
出会うことができず、ようやくその必要性を理解してくださったのが、
岐阜県可児市の皆さんでした。それを機に、小島さんは2003年に可児市に引っ越され
たそうです。
このとき可児市では16人に1人が外国人住民で、アンケートでは本当の
声が聞こえないことから、小島さんは家庭訪問を実施されました。
訪問先の外国人の人はみなさん協力的で、小島さんはご飯をよく
ご馳走になったそうです。
この家庭訪問から学校に通っていない子どもたちのさまざまな
境遇を知ることになりました。働いている子、妊娠している子、
出産した子、また、就学の状況も様々であることがわかりました。
子どもたちがドロップアウトした最大の理由は、将来に夢を
持っていないことでした。子どもたちは小島さんに訴えました。
「僕らは一生懸命、日本語の勉強をしてる」
「だけど、どんなに一生懸命勉強しても、テストに出ないじゃないか」
「成績にも現れない」
「勉強しなくても働けるし、みんな働いてる」
「勉強して大学に行った外国人がいるのか」
「正規雇用されている外国人がいるのか」
「オマエの言っていることは全部ウソだ!」
こうした子どもたちの声を真摯に受け止め、小島さんは子どもたちが
夢が持てるよう様々な機関と連携を深め、また、小島さん自身が
コーディネーターとして可児市に採用され、ついに、可児市長が
「外国人児童の不就学ゼロ宣言」を打ち出すことになりました。
今日出来たことを喜び、具体的な目標を作っていく、そして
進路や選択肢を広げていく、こうしたことを子どもたちに見せていく
ことで1年後には、1割の子どもが不就学だった可児市で、公立中学校からドロッ
プアウトすることが多かった可児市で、不就学がゼロとなり、
中3の外国人生徒全員が卒業するまでに至りました。感動的です。
小島さんは言います。
「自己肯定感を持つことが大切。それにはダイバーシティの
視点で、環境が変わっていくことが必要」と。
今、小島さんは、映像作りというツールを使って、子どもたちが
将来の夢を語り、外国人の子ども達の姿を社会にみえることを
されています。ある子どもは言いました。
「多文化共生は当たり前のこと。私の夢は多文化ソーシャルワーカーになることです」と。







最後に。
パネルディスカッションも本当に楽しく、いろんな意見がありましたが、
これは省略させていただきます。
また次回、会場のみなさんに出会えることを楽しみにしています。
今回、お会いすることが出来なかった方、フォーラムの概要をお読みになり、
ダイバーシティに関心をもたれた方、ぜひ、私たちにご連絡をください。
一緒に「ダイバーシティなとやま」をつくっていきましょう!

日本人以上の就職難――ベトナム人留学生、日本で就活をする

2011-11-24 10:54:29 | 多文化共生
(以下、BusinessMedia誠から転載)
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日本人以上の就職難――ベトナム人留学生、日本で就活をする
ひょんなことから筆者が関わることになった、ベトナム人留学生の就活を支援する“フォー・プロジェクト”。その背景には、外国人留学生が日本社会で十分に活用されていない現状があった。

 2年はぼんやり、3年で焦り出し、4年で走り出すものなーんだ? それは就活。

 中途半端に大学をドロップアウトしていた私にも、それは気が進まないものだった。自分に向く仕事は何? 会社とはどんなところ? そこで働く自分の姿が想像できなかった。だから、就活に身が入らない。ふらりと大企業の説明会に行く。集団面接でしっかり落とされる。自分がイヤになった。

 だが、今はもっときつい。文部科学省と厚生労働省の調査によると、2011年10月1日時点の大学4年生の就職内定率は59.9%。昨年より改善傾向とはいえ厳しい。再来年卒業の3年生の多くも、内定にたどり着こうともがいている。

 日本人学生でこの厳しさなのだから、留学生にとってはなおさら厳しい。日本語と日本社会という2つの壁が立ちはだかるからだ。

 そんなベトナム人留学生の就活支援を、ひょんなことから盟友MAKIKOさんと私は夏から行うこととなった。就活講座の講師として、どこにもない内容を教えている。

 カリキュラムは、ベトナムと日本をまたがる事例テーマの講義と討議、両国の歴史や文化比較、就活に役立つトピックス、有望会社の紹介や悩みごと相談までと幅広い。1都3県の大学や大学院に通学する彼らが、毎週都内の会議室や私の運営するギャラリーに集まる。

 1回の講義には5~10人が参加。事例テーマは「PHO(フォー=ベトナムの米粉の麺)」「コーヒーと貿易」「下着」「陶磁器」「面白いIT」など、実社会の事業や消費がテーマ。壇上から教える講義ではない。イスを寄せ合って語り、意見を言い、笑い、ホワイトボードで発表する。無味乾燥な会社研究や面接スキルアップセミナーではない。もっと本質的なものだ。

 講座の目的は、日本語で雑談・質問・討議ができるようになること。両国の経済・企業・消費者・文化について浅くても広い知識を持ち、自分の中で再構成し、“アイデアを入れて”語れるようになること。面接で経営者に「君いいこと言うな、採用!」と言わせるのがゴールだ。

 そんなことができるのか? 結論から言えばできる。国費留学生の彼らは頭脳は明晰。躍動する若い国(CIAによると平均年齢は27.8歳、ちなみに日本は44.8歳)で明るく育った。目がキラキラしている。「給与水準の高い日本で働いてしっかりとお金を貯め、いずれ母国のために飛躍したい」と志が高い。

 MAKIKOさんと付けた講座のコードネームは“フォー・プロジェクト”。その背景と成り立ちをご紹介しよう。

留学生が生かされない実情

 日本には現在、約3600人のベトナム人留学生がいる(中国、韓国、台湾に次いで第4位)。単純に大学に4年、大学院に2年通うとして6で割ると、毎年少なくとも600人の就職希望者がいることになる。だが、600人のうち“在留資格許可”を得た人、つまり企業や団体に就職したのは167人と、わずか3割弱である(2010年)。では、残りの7割はどこに行ったのか?

国別の外国人留学生数(出典:社会実情データ図録)

 正式な統計はないが、大学院へ進学(就職浪人の人も)、非正社員として雇用、あるいはベトナムへ帰国……といった道筋が主流。8万6000人と留学生数トップの中国人でも在留資格許可数は約5000人と、推定1万4000人の就職希望者のおよそ3割にとどまっている。留学生が7割も活用されていない現状。国費留学生なら、まさに国家的損失だ。

 そこで、ベトナム人留学生の就職を支援しているのが、一般財団法人エムピーケン(MP研)だ。MP研は外国人への職業紹介や採用支援、留学生の教育訓練や就職指導を実施する団体。MAKIKOさんと私がお邪魔した時、代表理事の宮本宜明さんの“熱い(そして長い)お喋り”に共鳴した。

 プランニング事業で成功した宮本さんは今、ベトナムのための公益事業を現地と日本で行っている。2時間語り続ける彼のパワーに圧倒され、またその本質にある純粋さに打たれ、「MP研の留学生就活支援講座」にMAKIKOさんと協力することになった。
雑学が就活のカギを握る

 しかし、なぜ私設の就活講座なのか? そこには宮本さんの思いと大学の苦境がある。

 就活成功の秘けつはさまざまあるが、大切なのは「喋れること」。自分を面接相手に印象付けることだ。語れるようになるためには、浅くても広い雑学知識が必要である。といってもバラバラではダメ。マーケティングやマネジメント、消費者や文化を横断的に理解し、その本質をワシづかみにするキーワードがあって初めて、「いいこと言うね!」になるのだ。

 まずは大学が支援するべき? いやいや、そうはいっても教授は自分の教育カリキュラムを崩してまで就活支援はしたくない。学生課も、中退者の食い止めや日本人学生の就活支援で手一杯。留学生にまで手が及ばない。

 そんな時、ITやマーケティングを中心にコンサルティング活動をしてきたMAKIKOさんと私がいたというわけだ。さらに私は「utte」というWebサイトを中心にアーティスト支援の文化活動を実践、連載『うふふマーケティング』でも幅広いトピックスで読者を煙に巻いている。雑な生き方もたまには役に立つ

フォーとラーメンをつなげる
ベトナムの代表的な料理フォー

 とはいえ、学生を喋らせるのは簡単ではない。試行錯誤の末たどり着いたのが、机を取っ払って輪になって座り、講義ではなく雑談、自分から語るようなスタイル。

 メニューも工夫し、就活トピックス編では「質問の仕方ハウツー」「会社HPの就活分析」「面接の黄金法則」などすぐに役立つノウハウを、文化・歴史編では両国の「世界遺産」「伝統芸能」「性格」などをテーマにする。さらに、最近ハマったことを語る“1分間スピーチ”では、日本語で汗をかいてもらう。ワイワイやりながら、ベトナムのフォーはだんだん日本のラーメンとつながっていく。

 この度、タイミング良く参加者から内定が2人もでた。ゴクさんは大手IT企業、パンクさんはエンターテインメント系開発企業に。僕らの小さな支援で、彼らのでっかい笑顔を見ることができた。MP研の“就活の母”ホアさんも大喜びだった。

MP研で就活支援を行うホアさん(撮影:MAKIKO)

 意欲的な若い留学生を受け入れれば、停滞気味の企業も、老いた国もフレッシュになる。留学生の母国とも仲良くなり平和が広がる。もちろん、おいしいフォーだって、たくさん輸入される。

 成長と開国はいつの時代でもトレードオフ。参加・不参加で迷うTPPもそこが試されている。西洋医学の最新情報を伝えたシーボルトからサッカー日本代表のザッケローニ監督まで、振り返れば日本は外から優れた人を受け入れて成長してきた。これからもそうなのだ。

 PHOプロジェクト第1期は12月で終了。しかし、第2期として引き続きベトナム人留学生の参加者を募集している(日本語レベルに合わせて実施)。講義費用は無料なので、関心を持たれた人はMP研の問い合わせフォームまでぜひご連絡を。

日本人の肥満率、低水準=依然多い自殺者―OECD調査

2011-11-24 10:54:09 | ダイバーシティ
(以下、朝日新聞から転載)
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日本人の肥満率、低水準=依然多い自殺者―OECD調査

2011年11月23日20時6分

 【パリ時事】経済協力開発機構(OECD)は23日、先進国中心の加盟国(現在34カ国)の保健医療の現状を分析した報告書を発表した。日本は慢性疾患のリスク要因となる肥満の割合が低く、平均寿命が83.0歳(男性79.6歳、女性86.4歳)で引き続きトップだった一方、国民の精神保健の状況を示す指標として使われる自殺率は依然として高水準だった。

 同報告書(採用統計は09年または最新年)によると、日本の成人の太り過ぎ人口(BMI=体格指数=が30超)の割合は3.9%で、最も高い米国(33.8%)や英国(23.0%)に比べ圧倒的に低かった。

 日本の1人当たり医療費と、国内総生産(GDP)に占める総医療費の割合はOECD平均を下回った。OECDは、概して国民所得や医療費水準は平均寿命に連動するが、日本などはその相関関係が認められないとしている。

 日本の10万人当たりの自殺者は19.7人と、韓国(28.4人)、ハンガリー(19.8人)に次いで高かった。 


[時事通信社]

米成人5人に1人が精神疾患治療薬を使用

2011-11-24 10:53:46 | ダイバーシティ
(以下、U.S.FrontLineから転載)
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米成人5人に1人が精神疾患治療薬を使用
 過去10年間、米国では精神疾患治療薬を使用する人が増え続け、現在は成人の5人に1人が抗うつ剤、抗精神病薬、精神安定剤などのうち最低1種類を飲んでいることが、メドコ・ヘルス・ソリューションズの調査で分かった。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、調査は健康保険に加入する成人および子供200万人の処方薬申請データを基に行われ、成人の精神疾患治療薬の使用量は2001年から10年までに22%増え、10年は成人男性の約10%、女性の21%が抗うつ剤を使っていた。

 また、近年は特に、あらゆる年齢層で強力な抗精神病薬の使用が増えたほか、従来は子供への処方が中心だった注意欠損多動性障害(ADHD)薬を服用する成人が増えたことも分かった。コンサータやビバンスといったADHD薬の使用は、01~10年に20~44歳で3倍、45~65歳の女性では2倍に増え、65歳以上の男女でも約30%増加した。

 この傾向は医学誌ニューイングランド医療ジャーナルによる02~05年の調査でも指摘されたが、今回の調査で増加の勢いは衰えていないことが確認された。

 ADHD薬の使用が成人で増えている理由としては、子供の時に診断されて治療を始めた人が治っていない、成人向けの販売を認可されたメーカーの宣伝によってADHDの認識が高まり、これまで疑いはあったが治療してなかった成人の間で治療する人が増えたことなどが考えられる。

 一方、子供の抗うつ剤使用や高齢者の精神安定剤使用は減少している。これらの服用には深刻な副作用の懸念があり、連邦食品医薬品局(FDA)は04年、抗うつ剤を使用した未成年は自殺傾向が強まるという警告を黒枠表示するよう義務づけたほか、05年には高齢の認知症患者が抗精神病薬を飲むと死亡リスクが高まると警告している。

 精神疾患治療薬は米国で最も処方され、売れている医薬品分野の1つ。処方薬の販売量を追跡しているIMSヘルスによると、米国人は昨年、うつ病、そううつ病、総合失調症を治療する抗精神病薬に161億ドル、抗うつ剤に116億ドル、ADHD治療薬に72億ドルを消費した。

自分から関わっていく姿勢、海外留学の成否を左右

2011-11-24 10:53:24 | 多文化共生
(以下、東亜日報から転載)
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自分から関わっていく姿勢、海外留学の成否を左右

NOVEMBER 23, 2011 05:24

外国へ行く韓国留学生も、ジェノホビア(外国人嫌悪症)や「疎外」に苦しむことが少なくない。しかし、これを克服した学生は、異なる文化に適応する努力を積極的にする必要があると助言する。国内生活の順応に成功した外国人留学生も、「誰かが近づいてくれることを待たず、自分から近づく努力が必要だ」と口をそろえた。


中央(チュンアン)大学経済学科に在学中のチェ・ソンヒ氏(25)は、09年9月~10年5月、交換留学生として米国のウィノナ州立大学で勉強した。チェ氏は、留学生活初期にある米国人学生が「韓国人は犬を食べるんだって?じゃ、この虫食べてみて」と言われたという。チーム別の発表でも疎外されることが多かった。


しかし、チェ氏は、様々な学内活動に積極的に参加し、適応に成功した。チェ氏は、「外国人と友人になりたいと思う学生たちが組織したボランティア団体を通じて人脈を広げた。あらゆる大学にある外国人関連のサークルや支援プログラムを積極的に活用した方がいい」と助言した。


国内で勉強している外国人留学生も同様の考えだった。慶熙(キョンヒ)大学に通う中国人のW氏(24)は、「多くの留学生が韓国生活に苦しんでいるが、楽な留学生活がどこにあるだろうか」と話した。そして、「中国人留学生はプライドが高く、親しくなることを簡単にあきらめ、自分たちだけで一つになる。韓国の学生のせいで苦しい時もあるが、韓国人の友人が助けてくれなければ、3年を耐えることはできなかっただろう」と話した。


釜山(プサン)釜慶(プギョン)大学に2年間通っているイラン人のアマズ・ラヒミ・ミダニ氏(24)は、韓国人の友人と犬の肉を好んで食べる。ミダニ氏は、「韓国で夏バテに勝つために高タンパクの料理である犬の肉を食べると理解している。一つの国の歴史の要である文化を無条件に拒否することは適応に何の役にもならない」と強調した。また、「友人と釜山のチャガルチ市場で、焼酎と魚介類をよく焼いて食べる。韓国文化を愛しているので、キャンパス生活に容易に適応することができた」と話した。