多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

家に帰りたい、精神障害者7万人の現実

2011-09-21 16:12:05 | 多文化共生
(以下、Bloomberg.co.jpから転載)
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家に帰りたい、精神障害者7万人の現実-かさむ医療費、進まぬ退院

 9月14日(ブルームバーグ):閉鎖病棟の廊下の片隅に60歳代の女性が膝を抱えてうずくまるように腰を下ろしている。横には目いっぱい膨らんだ茶色のかばん。迎えが来たから家に帰るとつぶやき続けている。

  女性は、群馬県高崎市の医療法人山崎会「サンピエール病院」に20年以上前から統合失調症で入院している患者だ。誰かが迎えに来ると信じて何度も荷物をまとめているが、引き取る家族もいない。一生ここにいることになるだろうと理事長と院長を兼務する山崎学氏は言う。

  医学的には治療の必要があまりないものの、引き取り手がいないなどの事情で社会生活を営めず、入院生活を続ける「社会的入院」患者が精神科病院の病床を埋めている。日本の精神障害者の入院比率は先進国で最も高く、政府も退院を促すよう手を打ってきたが、一向に進まないのが現状だ。

  世界最大の公的債務を抱える日本は、世界一のスピードで高齢化が進んでおり、年間約34.8兆円にのぼる医療費の伸びの抑制は野田佳彦政権にとっても重要課題の一つ。政府は2004年から、退院可能な精神障害者7万人の入院解消の目標を掲げている。年間1.8兆円に上る精神科医療費のうち入院費が74パーセントを占めている。

  横浜市で横浜カメリアホスピタルを経営する宮田雄吾院長は、「政府は医療費の削減しか考えていない」と指摘し、「7万人が病院からすぐ出るということは、そのうちの何万人かを浮浪者にする覚悟がないと駄目」と話す。

             前進わずか

  政府は約半世紀にわたり精神障害者を隔離する政策をとって来た。サンピエール病院の山崎氏ら精神科医は、政策を逆行させるのは現実的ではないという。患者に生存する親類縁者がいないケースや、社会生活が困難な場合が多く、身内に精神障害者を不名誉だと考える風潮も背景にあると、医師らは指摘する。

  厚労省が、10年計画で精神障害者の入院患者の解消計画を打ち出したのが04年。09年10月行われた最新の調査によると、この間に実際に解消できたのは6806床にとどまり、なお34万8121床が残っている。政府は解消に弾みをつけるため、今年度、全国25病院をモデル事業として選び、3-5年間で最低10%の病床を削減し、退院した患者に対する地域社会の世話を支援するチームを結成するよう求めている。

  マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナー、ルードヴィヒ・カンツラ氏は、精神障害者の入院者削減の政府目標が達成できれば、年間約1000億円が節約できるとみる。

             米国の収容施設

  経済協力開発機構(OECD)によると、日本の65歳以上の人口は1990年には総人口の12%だったが、2025年には3人に1人まで増加する見通し。OECDの09年12月の報告書によると、日本では病床の約3分の2を高齢者が占有。また年間医療費34.8兆円のうち精神障害者の医療費は5.2%を占めている。

  米国や西欧では、1960年代に精神障害者の収容施設を閉鎖し、地域で受け入れる動きが始まった。しかし、日本では全国1076の精神科病院で病床利用率が9割という状態が続いている。OECDのデータによると、日本の1000人当たりの精神科病床数は米国の約13.5倍、英国の4.5倍となっている。

  アイオワ大学の脳科学者、精神科医で、2000年に米国国家科学賞を受けたナンシー・アンドリーセン氏は、「日本では精神疾患を不名誉だと考える傾向が明らかに強いことに疑いはない」と指摘。「精神障害を持つ家族がいると、目に入らないようにし、とりわけ気持ちの上でも遠ざけてしまう傾向がある」と話す。

            襲われた大使

  日本では、1950年代から患者は社会から切り離されてきた。政府が精神科の患者を自宅に閉じ込めるいわゆる「私的監置」を禁止したことが契機だ。入院しやすくするため、補助金を導入、病院の医療スタッフ配置条件も緩和した。

  また、1964年に当時の駐日米大使、エドウィン・ライシャワー氏が、統合失調症の患者に東京の大使館で襲われて社会問題化した後、患者の施設収容の必要性が求める声が強まり、政策を後押しした。

  松沢病院の岡崎氏は、「社会的入院で、入院する必要がないのにしている人がいる」と指摘。「宿泊施設がない、家庭に帰れない、両親がいなくて兄弟には扶養義務がない、仕事が得られない」といった事情で入院を継続せざるを得ない人たちが多いという。

  09年の厚労省調査によると、全国で30万人以上の精神障害者の医療費は月平均約40万円。患者の年齢や家族の支払い能力に応じて、個人の支払いは全額の3割、もしくはそれ以下になる。

             認知症患者

  厚生労働省精神・障害保健課の本後健課長補佐は、これまでの努力にもかかわらず、「結果として病床数はほとんど減っていない」という。課題として、患者の訪問支援や、増加している認知症への対応を挙げ、「政策に落とし込む作業をしている」という。

  厚労省の調査によると、08年の精神科病院での認知症患者の割合は17%で、10年前の11%から大幅に増加した。松沢病院の岡崎氏は、背景として認知症の治療施設が不足していることを挙げ、精神障害の症状がある場合には、内科など他の治療病棟が受け入れないのが現状だという。

  サンピエール病院には、患者がエレベーターホールに入らないよう通路にスライドドアが設置されている。山崎院長はドアを開錠しながら、患者の半数は高齢者で多くが認知症を患っていると話した。病室は2人-4人部屋で、各ベッドはピンクのカーテンと木製のキャビネットで仕切られて、患者が脱出しないよう、窓は15センチほどしか開かないようになっている。

             屋上庭園

  患者は屋上に出れば、外気に触れることができる。高さ約3メートルの金網が張り巡らされた空間に、ハーブや花を植えた庭園が整備されている。

  OECDの報告書によると、日本の精神科病院の約9割は医師が病院を経営し、患者を退院させるインセンティブはほとんど働いていない。報告書は、高齢者に対する政府補助金が、「病院を事実上の老人ホームに転換させるという意図せざる効果を生んでいる」と指摘、「患者を病院にとどめることが、容易に収入を確保する道になっている」と分析する。

  政府資料によると、精神障害者の平均入院日数は米国では1週間余り、英国では11週間程度なのに対し、日本では307日間に及んでいる。

             日本でも可能

  マッキンゼーのカンツラ氏は「日本でも他国と同じように精神障害者の治療の仕組みをつくることはできるはずだ」といい、それは「政府が病院側にほとんど選択肢がないような計画を打ち出せるかどうかにかかっている」と述べた。

  国内の民間精神科病院の88%が会員となっている日本精神科病院協会は、12年度内に政府の保証のもと病院の一部を居住施設に転換する提案をする予定。

  同協会の会長を務めるサンピエール病院の山崎氏は、06年に約35億円かけて現在の522床の新病院に建て替えた。「国が50年かけて隔離収容型の政策をやってきて今36万床ある。変えるのであれば国がある程度責任を持ってやるべきだ」と主張している。

あと少しの支援あれば 元養護学校校長、被災の障害者調査

2011-09-21 16:04:46 | 多文化共生
(以下、毎日新聞【福島】から転載)
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東日本大震災:あと少しの支援あれば 元養護学校校長、被災の障害者調査 /福島
 ◇身障手帳所持、102人死亡

 元養護学校校長が、東日本大震災による障害者の被災状況の実態調査を進めている。県沿岸部の津波被災地を中心に足を運んで31人の当事者や家族から聞き取ったところ、人工呼吸器を装着しているため避難に手間取ったとみられる障害者や、スロープがないため逃げ遅れた可能性のある車椅子利用者がいた。自治体への調査では、身体障害者の死亡率はそうでない人より3割高かったといい、「あと少しの支援があれば。教訓を生かしたい」と切実な思いを語っている。【町田徳丈】

 調査しているのは、00~03年に県立平養護学校校長などを務めた県点字図書館(福島市)館長の中村雅彦さん(65)。震災後、教え子の安否確認を進めるうち、「ささやかな幸せを感じていた人たちの日常がなぜ奪われたのか」との思いに駆られ、調査を始めた。

 教え子のほか、各地の民生委員らを訪ね歩き、視覚障害8人▽聴覚障害5人▽知的障害9人▽自閉症3人▽車椅子利用6人--の10~80代計31人の状況を調べた。このうち知的障害者3人と車椅子利用者2人が亡くなっており、中村さんは家族らの話から「津波が原因だった」とみる。

 車椅子生活だったいわき市の30代男性は、親族が助けに向かったが、目前で津波にのみ込まれた。重さ約4・5キロの人工呼吸器を付けていたが、近隣住民には障害が重いことを知られておらず、避難に手間取ったようだった。同じく車椅子を利用していた浪江町の60代女性は夫の留守中に津波にのまれ亡くなった。夫は「高さ約40センチの玄関から外に出るスロープがなく、戸惑っている間に津波が来たようだ」と涙をこぼしながら語った。

 知的障害がある相馬市の10代男性も、津波の犠牲になっていた。母親によると、いつも一緒にいる祖母が道路に散乱した屋根瓦を片付けていたため、逃げずに自室にとどまったという。中村さんは「軽度の知的障害者は自分で買い物をしたりできるが、災害時に自分で判断して避難するのが難しいことを改めて痛感した」と唇をかむ。

 中村さんはまた、県社会福祉協議会と共同で、新地町からいわき市まで県内沿岸10市町に、身体障害者手帳を持つ障害者のうち、6月末時点での震災死者数や障害の種別を尋ねた。

 10市町の昨年10月時点の人口は52万7639人で、震災死者は1673人。身体障害者手帳の所持者2万5577人(昨年4月時点)のうち亡くなったのは102人。死亡率は0・40%で、持っていない人の0・31%の1・3倍だった。102人の内訳は身体障害60人▽内部障害(心臓、腎臓、呼吸器の疾患など)26人▽視覚障害10人▽聴覚障害6人。このほかに知的障害者9人と精神障害者7人も死亡していた。

 調査は今も続けており、「障害者がいる家庭に普段から声をかけるなど支援システムの構築が急がれる」と中村さん。「知的障害者に小さな時から『海のそばにいて地震があったら津波が来る。すぐ高台に逃げて』と繰り返し教える必要がある」と悔やむ。調査結果をまとめて、教育、行政の現場で共有したいという。

毎日新聞 2011年9月20日 地方版

外国人 日本人 共生のコツ考える

2011-09-21 09:31:20 | 多文化共生
(以下、東京新聞から転載)
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外国人 日本人 共生のコツ考える 太田でシンポジウム
2011年9月19日

シンポジウムで意見交換する研究者や地元の製造業者組合の事務局長、介護事業者ら=太田市で


 外国人との共生を考えるシンポジウムが十八日、太田市西矢島町のマリエール太田であった。太田市国際交流協会の設立二十周年を記念して同協会、市、笹川平和財団(東京)が開き、約百五十人が研究者の発表や事業者の意見などを聞いた。 (中山岳)

 日本人と外国人が共に暮らしやすい地域社会を目指すダイバーシティ研究所の田村太郎代表理事は、来日後十年たって永住者資格を認められる外国人が二〇〇〇年代に年間四万~五万人増えており「日本はすでに多文化社会」と説明。

 一九九〇年代から外国人労働者を事実上受け入れてきたが、日本語教育や多言語の情報提供の機会が足りず「地域で日本人と共に暮らす仕組みを、法律で整備することが必要」と述べた。

 意見交換会では、同市内の自動車関連の中小企業五社でつくる「太田自動車内装品協同組合」事務局長の吉野明俊さんらが発言。吉野さんは、昨年の入管難民法改正で外国人研修・技能実習制度が見直され、技能実習生の日本語などの講習期間が二カ月になった点を「短期間で実習生は日本語を覚えられず、苦労する。企業側の負担もある」と指摘した。

 京都大大学院の安里和晃准教授は、シンガポールで九〇年代に家事を仕事にする外国人が増え、国内の若い女性が多く働くようになった例を紹介。日本で外国人のほか、日本人の女性、退職者が働ける環境整備を訴えた。

学校・企業・病院で多文化共生 現状と課題報告--中区 /広島

2011-09-21 09:30:52 | 多文化共生
(以下、毎日新聞【広島】から転載)
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シンポジウム:学校・企業・病院で多文化共生 現状と課題報告--中区 /広島

 多文化共生の観点から広島の地域づくりを考えるシンポジウムが17日、中区の原爆資料館であった。財団法人「ひろしま国際センター」の主催。NPO法人「多文化共生センター大阪」の田村太郎代表理事が講演し、学校、企業、病院の現場で多文化共生に取り組む3人のパネリストが活動や課題を報告した。

 田村さんは、出入国管理法で単純労働の外国人を表向きは受け入れない一方で、日系人の受け入れや外国人研修・技能実習生制度を活用している現状について、「多くの国民がよく分からないまま外国人が暮らしている。多文化共生のための法整備などがなく、言葉や健康保険などの制度の壁、地域社会との接点がないなどの課題がある」と指摘。東アジア全体で人口減少に間もなく転じることに触れ、「外国人のためではなく、地域の未来のために多文化共生をやっていく必要がある」と訴えた。

 パネルディスカッションには、中国など外国にルーツを持つ児童が約4割を占める広島市立基町小の佛圓弘修校長、留学生を積極的に採用するツネイシホールディングスの瀬戸靖明・グループ人事戦略室グループ長、病院や老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅を運営する姜仁秀(カンインス)・八千代病院理事長が参加した。【加藤小夜】
毎日新聞 2011年9月18日 地方版

千葉の魅力発信 外国人24人任命

2011-09-21 09:30:30 | 多文化共生
(以下、東京新聞【千葉】から転載)
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千葉の魅力発信 外国人24人任命

2011年9月21日

森田知事(右)と談笑するチーバくん大使=県庁で


 留学などで県内に滞在する外国人に、千葉の魅力を発信してもらう「チーバくん大使」に中国、台湾、タイ、アメリカなど十二の国と地域の二十四人が任命された。チーバくん大使は、個人のブログなどインターネットを利用して母国語で県の魅力を発信する。県庁で開かれた任命式で森田健作知事は「『君が言うなら行ってみよう』と思ってもらえるように、千葉のさまざまな魅力を伝えてください」と激励した。

 中国から城西国際大学に留学し、旅行会社への就職を目指す殷成(インセー)さん(21)は「南房総のビーチなどを紹介したい。中国の友人もきっと興味があると思う」と話していた。 (小川直人)

FMわぃわぃ:外国籍理事問題 京都でトークセッション

2011-09-21 09:30:04 | 多文化共生
(以下、毎日新聞【兵庫】から転載)
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FMわぃわぃ:外国籍理事問題 京都でトークセッション /兵庫
 ◇ワタシは参画できないの!?
 ◇コミュニティー放送のあり方議論

 神戸市長田区で多言語放送を続けるコミュニティー放送局「FMわぃわぃ」の運営母体がNPO法人に移行するのに当たり、電波法により外国籍の理事が認められなかった問題で、トークセッション「コミュニティ放送と外国人住民 ワタシは運営に参画できないの!?」が19日、京都市東山区の東山いきいき市民活動センターで開かれた。市民ら約50人が参加し、地域住民が参加するコミュニティー放送のあり方について議論した。

 わぃわぃや京都市のコミュニティー放送局「京都三条ラジオカフェ」などが主催。わぃわぃは今年4月、市民が参加できる放送局にするため株式会社からNPOに移行した。当事者の声を反映させようと8人の理事の1人に在日韓国人2世の李玉順さん(63)が就任したが、放送免許を継続する手続きの準備中に総務省から電波法により免許を交付できないと通知された。李さんは理事を辞任、議決権のない監事に就任して免許は継続された。トークセッションでは、わぃわぃの日比野純一代表理事が「同じ地域住民がラジオ運営に参加できるように制度を考えていきたい」と訴えた。李さんは「特別なことをしなくても日本社会で自然に生きていけることを求めているが、理事辞任の悔しさや複雑さは想像に余るものがあった」と語った。

 参加者からは「外国人が増えた場合、日本人が参加できないコミュニティー放送局が作られる不安がある」「カナダのコミュニティー放送局は非営利で、新しく来た人をどう社会で受け入れるかに心を砕いている」などの意見があった。

 立命館大の津田正夫特任教授(メディア論)は「日本の放送は事業者が主体で、市民一人一人が参加する制度になっていない。文化の多様性を持つためマイノリティーも含めて誰でも参加できるようにするべき」と話した。龍谷大の松浦さと子准教授(同)は「免許が交付されないという通知は多様性を損なう措置。何のためのコミュニティー放送局か理解されていない」と語った。【椋田佳代】

〔神戸版〕

===以下、京都新聞から転載===
地域のFM規制緩和を 東山、電波法めぐり討論会

コミュニティー放送への外国籍住民の参加について熱心に討論する参加者ら(京都市東山区・東山いきいき市民活動センター)

 関西のコミュニティーFM関係者らによる電波法規制緩和を求める討論会「コミュニティー放送と外国人住民」が19日、京都市東山区の東山いきいき市民活動センターで開かれた。

 電波法(1950年施行)は、放送局について、外国人が業務執行役員の場合、放送免許を与えないと定めている。今年2月、在日コリアンの李玉順さんが神戸市長田区の「FMわぃわぃ」を運営するNPO法人の理事に就任しようとした際、総務省から電波法に反すると指摘を受けた。

 討論会では、FMわぃわぃの日比野純一代表や李さんが経過を報告。京都や神戸のコミュニティーFM関係者、メディア法の研究者らが「コミュニティーFMは多様な住民の声をくみ取り、まちをより良くしていくためのもの。電波法の中に定義がないのは問題で、社会のニーズに合った制度になるよう声を上げるべき」などと話し合った。

【 2011年09月20日 10時38分 】

「みな家族」避難手助け

2011-09-21 09:29:40 | 多文化共生
(以下、朝日新聞【奈良】から転載)
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「みな家族」避難手助け

2011年09月20日

バビツカヤ・リヂアさん(左)と長女のマイアちゃん、天野稔さん=十津川村小井、池田良撮影


大きな段差ができた熊野古道・小辺路=野迫川村、村役場提供


 ■十津川村民 移住ロシア人母娘に

 多くの住民が避難した十津川村に住んで間もないロシア人、バビツカヤ・リヂアさん(35)らは避難場所がわからず、危うく孤立しそうになった。危機を救ったのは、「地域住民みな家族」と話す近隣住民の温かさだった。

 リヂアさんは9年前、防衛庁(現防衛省)職員だった舛谷(ますたに)武さん(63)と知り合い、結婚した。京都や愛知などで暮らした後、「田舎で暮らしたい」と希望し、7月下旬、十津川村小井に一人娘の小学1年、マイアちゃん(7)と3人で引っ越してきた。

 舛谷さんは中学2年まで村で過ごした後、村外へ。東京の大学を卒業後、防衛庁に入り、定年後に神職の資格を取得。約50年ぶりに帰郷し、今年8月から村の玉置(たま・き)神社の神職になった。

 土砂崩れで道が通れない――。4日夕、神社での務めを終えた舛谷さんは約15キロ離れた自宅へ帰ろうとしたが、身動きが取れなくなった。リヂアさんの携帯電話や自宅に電話したがつながらなかった。

 リヂアさんとマイアちゃんは土地勘がなく、知り合いもほとんどいない。十津川の水は自宅すぐ下の畑付近まで迫っていたところ、4日夕、近所の天野稔さん(75)が高台に避難するよう呼びに来てくれた。一緒に近くの公民館に避難した後、住民の車に乗り合わせて高台の民家へ。避難者数十人と身を寄せ合って一晩を明かした。

 避難者は気を遣って、2人に代わる代わる声を掛けてくれた。「知らない人ばかりだったけど、みんなとても親切だった」とリヂアさん。不安そうだったマイアちゃんも次第に落ち着き、同年代の子どもと楽しそうに話をするようになった。

 天野さんはリヂアさんと道で会えば会釈する程度の付き合いだったが、避難する際、真っ先に舛谷さん宅に向かった。「外から来たばかりの外国人の奥さんと子どもが取り残されて心配だった。ここに住めばみな家族ですから」

 舛谷さんは5日午後、ようやく自宅に戻り、再会を喜んだ。「転勤で色々な土地で暮らしてきたが、十津川村民の絆の強さは特別。今回の災害で改めて気付かされました」
(寺本大蔵)

外国人留学生、採用経験でイメージギャップ

2011-09-21 09:26:27 | 多文化共生
(以下、下野新聞から転載)
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外国人留学生、採用経験でイメージギャップ 「定着率低い」未採用で10倍 県内企業 宇大の末廣教授調査
(9月20日)

 外国人留学生を採用したことのある企業とない企業では、留学生に対するイメージが大きく異なることが19日までに、宇都宮大キャリア教育・就職支援センターの末廣啓子教授が県内企業を対象に行った調査で分かった。「定着率が低い」と考える割合は、採用経験のない企業が採用経験のある企業の10倍に上り、経験がないほどマイナスイメージが強い傾向。末廣教授は「地場企業に対し、グローバル化と留学生採用に関する支援を行うことが重要」と指摘する。

 調査は文部科学省科学研究の一環で、県経営者協会の会員企業278社を対象に1月に実施した。回答したのは101社(36%)。

 留学生を過去に採用したことのある企業は24%にとどまった。採用したことがない企業は、主な理由に「受け入れ態勢が整っていない」「自社の業態・業種と合わない」「留学生から応募がない」などを挙げた。

 留学生に対するイメージとして「定着率が低い」と答えたのは、採用経験のない企業で40%なのに対し、経験のある企業は4%。「日本の雇用慣行になじまない」「在留手続きなどが煩わしい」とのマイナスイメージも、経験のない企業の方が20ポイント以上高かった。

 一方「協調性がある」「仕事への意欲が高い」などの前向きなイメージは、実際に採用経験のある企業の方が高かった。

 今後、外国人留学生を採用する見込みがあると答えた企業は40%。現在、事業を海外展開中か予定・検討しているのは29%だった。

 国は「留学生30万人計画」を打ち出し、外国人留学生の入国・在留審査の簡素化などに取り組んでいる。また地方の大学では、経営上の理由から多くの留学生を受け入れている。

 末廣教授は「入り口を広げるからには、出口のことも真剣に考えなければならない」と指摘。年度内に調査結果を詳細に分析し、地方における外国人留学生の就職・採用支援の在り方などをまとめ、提言する方針。

ウルドゥー語通訳登録たった1人…

2011-09-21 09:22:40 | TOYAMAな多文化共生
分母がそもそも違うので、通訳がいること自体、奇跡的とも言えるが・・・

(以下、読売新聞【富山】から転載)
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ウルドゥー語通訳登録たった1人…

逮捕時の接見に不安

 パキスタン人被疑者が弁護人と接見する際に必要なウルドゥー語通訳の登録が県内で1人にとどまっていることが、「日本司法支援センター」富山地方事務所(通称・法テラス富山)への取材でわかった。射水市で中古車販売などに携わり、県内に住んでいるパキスタン人は昨年度、計424人と全外国人の3・1%を占めて5番目の多さで、司法関係者は、とやま国際センターなどを通じて登録を呼びかけている。

 外国人被疑者の通訳は、逮捕後の段階から国費で弁護人をつける「被疑者国選弁護制度」が2006年に導入されて以降、必要性が高まった。同制度は、取り調べ段階での冤罪(えんざい)などを防ぐのが目的で、09年には対象が殺人など凶悪事件から窃盗などにも広がったため、さらに通訳確保が急務となっている。

 法テラス富山では07年から外国語通訳の募集を開始し、今月13日現在で93人が登録。最多は中国語の41人で、ウルドゥー語の通訳は県内在住の日本人男性1人と、ポルトガル語とロシア語の各11人、韓国語10人と比べても差は開いている。法テラス富山では、通訳の申し込みがあった場合、簡単な審査を通過して登録するが、ウルドゥー語の申し込み自体も、この男性1人にとどまっている。

 また、制度では、接見時の通訳は、秘密保持のため、同一の人物が複数被疑者を担当してはならない。今後、複数のパキスタン人が共犯などで同時に被疑者となった場合、現在の通訳1人では対応できなくなる。法テラス富山は「ウルドゥー語も含めて外国人被疑者の接見に備え、通訳者の募集、登録を進めたい」としている。
(2011年9月20日 読売新聞)