多文化共生なTOYAMA

多文化共生とは永続的なココロの営み

今を生きる考える  災害弱者の外国人支えたい

2011-09-26 11:06:40 | 多文化共生
(以下、京都新聞から転載)
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今を生きる考える  災害弱者の外国人支えたい

やさしく、分かりやすく。…  マンガ・岡本 治



 高齢者や障害者ら「災害弱者」の支援を自治体が進めている。
 地震や津波、台風など日本に多い災害について知識が乏しく、言葉が十分でない在住外国人も「災害弱者」だろう。
 阪神大震災の時に、地震被害や避難に関する情報が得られず、避難所では言葉の壁で孤立する人が少なくなかったからだ。東日本大震災でも、同様の例が見られた。
 地域に住む外国人の防災支援の重要さをあらためて指摘したい。

情報が限られ不安に

 神戸市の地域FM局「FMわぃわぃ」は、東日本大震災の直後からインターネットのラジオ放送で英語、中国語など6言語の情報提供を始めた。大津市に拠点を置くNPO法人「多文化共生マネージャー全国協議会」(略称タブマネ)も3月11日から活動を開始した。
 新聞やテレビから「被災者は保険証がなくても医療機関で受診できる」といった生活情報を集め、11言語に翻訳しホームページに掲載。「多言語ホットライン」も開設し約1月半の間に133件の相談に応じた。放射線や原発に関するものが3分の1を超えた。
 外国人の場合、限られた手段で限られた情報しか入手できず、混乱や不安に陥るとされる。ネットメディアの発達で、詳細な情報に接する手段は豊富になっている。上手に生かすことが大切だ。
 京都市国際交流協会は、登録した希望者に多言語で、台風情報や避難所の場所を知らせるメールマガジンを送る事業を始めた。普段の積み重ねが、いざという時に役立ってほしい。
 3月13日から仙台市の多言語支援センターに応援に入ったタブマネの高木和彦さんは「初動段階で情報格差を防ぐのが大切」と指摘する。外国人は、言葉や生活習慣の違いなどで、避難所に入ることさえ遠慮、気後れがあるという。
 中国人の技能実習生らが被災、言葉の壁でコミュニケーションが十分にとれず、救援物資の配布などの連絡が十分でなかったケースもあったという。
 福島第1原発事故が影響し、災害発生後約1カ月で観光客や留学生を含め約53万人の外国人が出国した。日本に残り続けたのは日本人の配偶者や家族が多く、避難所などで、大きな情報格差は生じなかったようだ。
 アジアからの「農村花嫁」も被災した。宮城県国際交流協会によれば、県内の外国人約1万6千人の4人に1人は日本人男性の妻。被災後、生活保護の申請や死亡した夫の遺産相続などをめぐり親族とトラブルもあったという。
 約1900人のフィリピン人が外国人登録している宮城、岩手両県に7月、同国の女性医師3人が入り、タガログ語で女性の診察や相談に応じた。孤立化した外国人妻への「心のケア」も重要だ。
 京都府内の外国人約5万3千人の8割は京都市内に住む。在日が長く言葉では不自由しない人が6割以上だが、留学生や日本人の配偶者など「災害弱者」として配慮が必要な人も少なくない。

上手に伝える訓練を

 京都市左京区の市国際交流会館で昨年9月、外国人を多言語で支援する「避難所宿泊訓練」が行われ、約50人が参加した。床に寝袋で寝て、食事は非常食という臨場感のある訓練だった。多数の避難所に少人数の外国人がいる想定で、避難所を巡回して自分たちで日本語から翻訳した情報を伝えたり、要望を聞いたりした。
 京都府国際センターも外国人妻が居住する府北部などで、ボランティア団体と協力して「やさしい日本語」で防災情報を伝える訓練を行っている。
 いずれの訓練でも「避難所」の意味を説明する必要のある人もいて、関係者は、こうした取り組みの意義を再確認したという。
 ただ、対象となる外国人の人数に比べ、訓練の回数や参加者の数が多いとは言えない。繰り返し実施して万一に備える必要がある。
 京都市は、今年から3年計画で、市内在住の外国人コミュニティーに関する調査をスタートさせた。宗教や国籍ごとに、連絡を取り合う人たちの生活実態を把握しておけば、災害時の被害把握や情報提供にも役立つ。
 地域社会の中で普段から「顔の見える関係」を築き、言葉の壁とともに心の壁を乗り越える努力を続けることが、災害時に生きてくるはずだ。


[京都新聞 2011年09月24日掲載]

外国人の生活保護、収入証明を 入国1年内、厚労省通知

2011-09-26 09:42:28 | 多文化共生
(以下、47NEWSから転載)
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外国人の生活保護、収入証明を 入国1年内、厚労省通知

 厚生労働省が「定住者」資格などを持つ外国人の生活保護申請の際、入国後1年たっていない場合は本人や身元保証人らの収入、資産を証明する資料を提出させるよう都道府県などを通じて自治体に通知していたことが23日、分かった。

 行政負担の軽減を目指す法務省方針に沿った措置。

 生活保護を受ける外国人世帯は1994年度から増え続け、09年度は3万5035世帯。厚労省は「入国審査を厳正化した法務省方針を踏まえ、不正、不備を防ぐのが目的。在留資格取得の際、入国管理局に提出した資料を出してもらうだけ」としているが、受給世帯を抑制する狙いとみられる。
2011/09/24 02:02 【共同通信】

被災者4割 睡眠障害の疑い

2011-09-26 09:42:03 | 多文化共生
(以下、読売新聞【宮城】から転載)
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被災者4割 睡眠障害の疑い


 東日本大震災の被災者の4割に睡眠障害の疑いがあることが、厚生労働省研究班の県内での現地調査で分かった。暮らし向きが悪いと感じているほど割合が増える傾向にあり、研究班は「収入の安定や雇用の確保に向けた支援が必要だ」と指摘している。

 研究班は、被害が大きかった石巻市の雄勝、牡鹿両地区で被災者1399人から生活状況を聞き取りした。

 寝付きや眠気など8項目の質問に対する答えを点数化して集計。42・2%にあたる590人が「睡眠障害を疑う」水準となった。2002年に名古屋大などが行った調査の国内平均28・5%を大きく上回った。

 また、「震災によって失業した」と答えた人の49・6%は睡眠障害の疑いがあり、「失業しなかった」人の37・1%を上回った。現在の暮らし向きが「大変苦しい」という人の57・8%が睡眠障害の疑いで、「普通」とした人の27・3%の倍の割合となった。調査した辻一郎・東北大教授は「身体的な健康は保たれているが、精神面でのケアが必要」としている。
(2011年9月26日 読売新聞)

森づくりで就労支援、障害者の「生きがい」に 活動5年で成果着々/平塚

2011-09-26 09:41:33 | 多文化共生
(以下、神奈川カナロコから転載)
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森づくりで就労支援、障害者の「生きがい」に 活動5年で成果着々/平塚
2011年9月25日

ビニールハウスでポッド苗づくりに取り組む「どんぐりグループ」のメンバー=平塚市飯島
 苗木の栽培、販売によって、森づくりと知的障害者の福祉的就労の底上げを図ろうという平塚の障害者施設の取り組みが着実な成果を挙げている。社会福祉法人「進和学園」(同市万田、出縄雅之理事長)が2006年10月、ドングリ拾いから始めた「いのちの森づくり」プロジェクトは、丸5年となる来月を目前に、苗木の出荷数が4万5千本を超えた。苗木は県内外で植樹され、森林再生や緑化に活用されている。障害者の貴重な就労の場になり、施設の収益の柱の一つになる期待も高まっている。

 プロジェクトは、学園の前理事長、故・出縄明さんが、国際生態学センター長で横浜国大名誉教授の宮脇昭さんが進める「潜在自然植生」に基づく森づくりに共鳴したのがきっかけ。

 学園周辺を見渡せば、神社や雑木林などに「潜在自然植生」である常緑広葉樹のシイ、タブ、カシ類の木が多くあり、ドングリがいくらでも拾える。栽培した苗木で森がつくられ地球環境に貢献できれば、学園の知的障害者にも「生きがい」「働きがい」につながる。福祉、環境、労働、教育の連携となると考えた。

 理念先行のスタートだったが幸運が重なった。市内の農家がビニールハウス2棟を格安で貸してくれた。そこから井戸水も出た。経費は大幅に圧縮できた。

 栽培にあたったのは知的障害者11人の「どんぐりグループ」。宮脇さんの指導の下、ドングリ拾い、水やり、肥料やり、発芽した苗のポッドへの移し替えなどに励んだ。1年半後の08年3月、アラカシ、タブノキなど8種類200本(1本400円)のポッド苗を初めて出荷した。

 一般業者では、付加価値の低い常緑広葉樹の苗木を大量に栽培している例は少ない。10年に県内で行われた全国植樹祭では県が2千本を発注。全国各地の自治体、企業、学校、市民団体などからも発注が来た。

 苗木が育ち出荷が本格化した09年度は約1万2千本、10年度は約2万4千本。11年9月中旬までの累計は4万5600本に上る。

 08年には植樹のための寄付の受け皿となる「いのちの森づくり基金」も設置。これを活用して「どんぐりグループ」が各地に出掛け、植樹も行っている。

 グループのメンバーは「命そのものを育てる喜びがあります。ドングリ拾い、植樹ではいろんな人と交流できて多くを学べます」と笑顔を見せた。

 10年度のプロジェクトの収入は約1150万円。経費を差し引くと、雇用契約を結べないタイプの就労継続支援B型のメンバーに、1人月額3万円以上の工賃を出せる計算。県内平均1万2453円(同年度)の倍以上だ。

 現在、ハウスで36種類約5万5千本の苗を栽培している。学園の就業支援を担っている「研進」社長の出縄貴史さんは「年間2万本の出荷を続けたい。自然の森が広がると同時に、学園の事業の柱の一つになってほしい」と期待を込めている。

◆進和学園
 平塚市内に知的障害者施設11カ所を設け、約450人が生活支援、就労支援などで利用している。うち220人が各種事業で福祉的就労をしている。事業の中心はホンダから受託した自動車部品組み立てで、収入は約1億6500万円に上る。しかし、リーマン・ショック後に受託が減るなど、自動車関連の受託の今後は不透明なため、事業の多角化にも着手。製パン、シイタケ販売、クリーニング、いのちの森づくりなどの収入が合計約5700万円になっている。