(以下、毎日新聞【京都】から転載)
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きょうの脅:外国人の災害対応宿泊訓練 広域で“つながり”構築重要 /京都
◇震度7の地震想定 翻訳スタッフで安心感も
災害弱者になりうる外国人に災害発生時の対応を学んでもらう宿泊訓練が、全国各地で開催されている。日本で多発する地震は、外国人にとって脅威なのだ。京都市左京区の市国際交流会館で9月下旬、ボランティアを合わせて総勢110人が参加した訓練を取材した。【成田有佳】
訓練は9月25日午後1時5分、京都市左京区南部を震源とするマグニチュード7・5、震度7の強い地震が発生したとの設定。被災者役の外国人ら47人は同日夕方、会館のホールに集まり、夜にかけて心肺蘇生法やAED(自動体外式除細動器)使用法、災害時に使う日本語を勉強した。翌午前10時までの共同生活。ストレスを体験するため、レクリエーションの時間もあり、睡眠は基本的にホールに敷かれた寝袋の中でだ。
一方、近畿の国際交流機関の職員らサポートスタッフは、行政から届く被災状況やライフラインに関する情報を翻訳して避難所に掲示し、被災者を巡回。背中の粘着テープには使える言語が書かれ、「知人と連絡が取りたい」「子供を遊ばせる場所がない」などの質問を英語や中国語で受けていく。本番なら、情報を取りまとめて回答を伝えるのは翌日。大変な作業だ。
なぜ、訓練に参加したのか。きっかけなどを尋ねた。
イエメンからの京都大大学院留学生、クリスティーナ・エリーサアイディさん(26)は約2カ月前、地震を初めて体験した。「心臓がドキドキするほど驚き、日本人の友人に電話をかけた」という。家族3人で参加した中国人の会社員、梁雪峰さん(36)=左京区=も関東に住んでいた3年前、震度4の地震を経験。「もし災害が起きたら、自分たちの命も守りたいし、他の人も助けたい」と話した。
また、京都教育大大学院に留学しているマレーシア人のケック・レイシーさん(34)は「マレーシアの小学校で教師をしていたが、火事の避難訓練しかなかった。日本には自然災害に遭った時のシステムがある。学校に戻ることがあったら今回の経験を伝えたい」と意気込みを語った。
一方、昨年は被災者、今年はスタッフとして参加した中国人の全申賢さん(25)は「情報を提供し、話を聞くこともできる翻訳スタッフの存在が外国人に安心を与えられる」と話した。
サポート側のプログラムを作成したNPO法人「多文化共生マネージャー全国協議会」は外国人を災害弱者としないためには、日ごろから身近に住んでいる外国人を把握し、行政単位を超えた広い地域のつながりを構築しておくことが重要だと指摘している。
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◇避難所での訓練の流れ◇
【1日目】
16時 訓練内容の説明
16時半 起震車体験、AED使用法講習
18時半 おにぎりとカップめんの夕食
19時 スタッフが巡回
20時 日本語講座などレクリエーション
22時 訓練終了、23時消灯
【2日目】
6時半 起床、ラジオ体操
7時 アルファ化米の五目ご飯の朝食
8時 反省会
毎日新聞 2010年10月17日 地方版
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きょうの脅:外国人の災害対応宿泊訓練 広域で“つながり”構築重要 /京都
◇震度7の地震想定 翻訳スタッフで安心感も
災害弱者になりうる外国人に災害発生時の対応を学んでもらう宿泊訓練が、全国各地で開催されている。日本で多発する地震は、外国人にとって脅威なのだ。京都市左京区の市国際交流会館で9月下旬、ボランティアを合わせて総勢110人が参加した訓練を取材した。【成田有佳】
訓練は9月25日午後1時5分、京都市左京区南部を震源とするマグニチュード7・5、震度7の強い地震が発生したとの設定。被災者役の外国人ら47人は同日夕方、会館のホールに集まり、夜にかけて心肺蘇生法やAED(自動体外式除細動器)使用法、災害時に使う日本語を勉強した。翌午前10時までの共同生活。ストレスを体験するため、レクリエーションの時間もあり、睡眠は基本的にホールに敷かれた寝袋の中でだ。
一方、近畿の国際交流機関の職員らサポートスタッフは、行政から届く被災状況やライフラインに関する情報を翻訳して避難所に掲示し、被災者を巡回。背中の粘着テープには使える言語が書かれ、「知人と連絡が取りたい」「子供を遊ばせる場所がない」などの質問を英語や中国語で受けていく。本番なら、情報を取りまとめて回答を伝えるのは翌日。大変な作業だ。
なぜ、訓練に参加したのか。きっかけなどを尋ねた。
イエメンからの京都大大学院留学生、クリスティーナ・エリーサアイディさん(26)は約2カ月前、地震を初めて体験した。「心臓がドキドキするほど驚き、日本人の友人に電話をかけた」という。家族3人で参加した中国人の会社員、梁雪峰さん(36)=左京区=も関東に住んでいた3年前、震度4の地震を経験。「もし災害が起きたら、自分たちの命も守りたいし、他の人も助けたい」と話した。
また、京都教育大大学院に留学しているマレーシア人のケック・レイシーさん(34)は「マレーシアの小学校で教師をしていたが、火事の避難訓練しかなかった。日本には自然災害に遭った時のシステムがある。学校に戻ることがあったら今回の経験を伝えたい」と意気込みを語った。
一方、昨年は被災者、今年はスタッフとして参加した中国人の全申賢さん(25)は「情報を提供し、話を聞くこともできる翻訳スタッフの存在が外国人に安心を与えられる」と話した。
サポート側のプログラムを作成したNPO法人「多文化共生マネージャー全国協議会」は外国人を災害弱者としないためには、日ごろから身近に住んでいる外国人を把握し、行政単位を超えた広い地域のつながりを構築しておくことが重要だと指摘している。
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◇避難所での訓練の流れ◇
【1日目】
16時 訓練内容の説明
16時半 起震車体験、AED使用法講習
18時半 おにぎりとカップめんの夕食
19時 スタッフが巡回
20時 日本語講座などレクリエーション
22時 訓練終了、23時消灯
【2日目】
6時半 起床、ラジオ体操
7時 アルファ化米の五目ご飯の朝食
8時 反省会
毎日新聞 2010年10月17日 地方版