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日本語も母語も課題

2008-11-26 09:05:26 | 多文化共生
(以下、読売新聞【京都】から転載)
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日本語も母語も課題
外国ルーツ 京市内の子ども 少人数授業 個人懇談 解決策探る学校
日本語教室で指導をする大菅教諭。考える言語の習得を目指す(伏見区の池田小で)

 京都市立小、中、総合支援学校に通う児童生徒のうち、外国籍の子どもとほぼ同数の1158人が、親が外国人など外国にルーツを持つことが、市教委の調査で明らかになった。こうした子どもたちの多くは日本で生まれ育ったか、幼少期に来日したため、日常生活での日本語には不自由しないが、日本語も母語も考える言語として身に着いていない深刻な課題を抱えているという。解決策を探る学校現場を訪ねた。(梶多恵子)

 市立池田小(伏見区)の日本語教室。大菅佐妃子教諭(43)が物語を読み上げ、4年生の児童2人が熱心にテキストを目で追う。ところが、感想を求められると、ノートを前に手が止まりがちに。大菅教諭は児童の横で「この部分はどう思うの」と質問をしたり、「字が上手になったね」と褒めたりしながら、少しずつ書かせていった。

 日本語教室は、市教委が中国帰国・外国人児童生徒らが多い8小学校、6中学校に設置。同小では1995年に始まり、教諭、講師3人が国語の授業の際に別教室などで、計約20人に指導している。

 「もともとは、中国から編入してきた児童らに日本語を教えるための教室だった。日本生まれや幼少期に日本にやってきた児童が増え、日常会話に支障はないのに、自分の思いや考えを伝えるのが苦手」と大菅教諭。少人数学習の利点を生かし、それぞれの児童に合わせてゆっくりと授業を進めるようにしている。

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 同校では、日本語教室の保護者を対象にした定期的な家庭訪問や個人懇談にも力を入れる。

 6年女児の母親(46)は「子どもの言いたいことがわからない」と涙ぐむ。一家は約15年前、中国帰国孤児の祖母を頼って日本に移り住み、女児は日本で生まれ育った。両親は日本語があまりできず、女児は中国語を十分に話せない。普段は両親が中国語で話しかけ、女児が日本語で返事をするが、ある時、女児が「お母さんに言ってもわからない」と口をつぐんだのだという。

 同様の訴えは多く、日本語教室では中国語も教えている。山崎浩二校長(57)は「子どもたちに両親が育った文化、言葉は素晴らしいと誇りをもたせたい。アイデンティティーが確立することで考える力も育つはず」と語る。

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 毎年市教委が行う学校現況調査では、外国籍の児童生徒数が97年には2997人だったが、その後減少。外国にルーツを持つ子どもの調査はしていなかったが、2007年に調べたところ、外国籍の児童生徒1243人とほぼ並んでいた。

 京都市教委学校指導課の松下佳弘専門主事(60)は「予想以上に多かった。外国人教育の視野を広げ、多様な背景の児童生徒を対象とした教育を進めたい」と話し、教員への研修を予定する。

 外国籍や、外国にルーツを持つ子どもを合わせると、全児童生徒の2・4%。少数派への理解を深めるためにも、地道な努力の積み重ねが求められている。
(2008年11月24日 読売新聞)