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日系ブラジル人大量解雇 一時帰国は片道チケットで

2008-11-19 14:19:45 | 多文化共生
(以下、asahi.comから転載)
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日系ブラジル人大量解雇 一時帰国は片道チケットで

2008年11月18日


(写真)
東海、関東地方で求職中の日系ブラジル人らから続々と電話が入る。机には200枚以上の求職者リストが積まれていた=滋賀県甲賀市、金成写す

 製造業の現場を支えてきた日系ブラジル人に「大量解雇」の大波が押し寄せている。金融危機の直撃を受け、輸出企業が軒並み生産を減らしているからだ。クリスマスシーズンを前に、景気回復の見当がつかず、「片道チケット」で帰国する日系人が多い。

     ◇

 「漢字も読める若い人が失業するなんて……」

 5日、滋賀県甲賀市にある日系ブラジル人専門の派遣会社「小西産業」で、求職相談の電話を受けていた女性社員はこう嘆いた。

 午前中だけで相談の電話が8件。ほとんどが東海、関東地方の日系人からだ。途中、同社の事務所を直接訪ねてきた40歳代の日系人男性もいた。岐阜の派遣会社のアパートから追い出され、車中泊をしながら仕事を探していた。

 「自動車以外の企業が多い滋賀にはまだ仕事がある」。日系人の間でこんなうわさが広がり、相談が増えているのだという。だが、同社にはすでに求職者200人以上が登録して、仕事を待っているのが現状だ。

 滋賀県には1万4千人のブラジル人が暮らし、西日本で最も多い。家電や輸送機器関連の工場が集まる県東部に多くが住み、街には日系人向けの食材雑貨店やレストラン、スナック、美容室が並ぶ。

 同県の日系人雇用は今年5月までは順調で、小西産業も人手不足に頭を抱えていた。4月下旬には重機メーカーが派遣会社の担当者を集め、「中国とロシアで重機が不足している。秋までに増産態勢に入る」と告げていた。

 6月ごろ、様子が変わりだした。日系人の残業時間が短縮され、土日が休みになることが増えた。派遣先工場からの補充要請もない。

 「減産計画が固まった。30人減らしたい」「契約を止めたい」。金融危機が深刻化した9月以降は、小西産業にもこんな連絡が相次いで入るようになった。同社では、6月には約50社に1700人の日系人を派遣していたが、11月には1300人に。受け入れ先のない派遣工員の解雇が続いている。

 小西産業の小西武志会長(72)は「こんな大量解雇は初めてだ」。年末には1千人まで減ると覚悟している。

 甲賀市に隣接する同県湖南市の幹線道路沿いにある南米人向けの食料店「スキナ・ブラジル」。買い物に来ていた日系2世の男性(37)は「給料が10万円台まで落ちた。もうブラジルに帰る」と話した。ズボンのポケットから取り出した勤務表には、休みのマークが連続していた。

 この男性は10年以上前に父を亡くしており、市内のアパートで一人暮らしをしながら、月給からブラジルの母に10万円を仕送りしてきた。「長男だからホントに困った。いったんブラジルに戻るつもりだ」

 スズキやヤマハなど輸送機器関連の工場が多い静岡県西部。浜松市内の派遣会社で日系人採用を20年ほど担ってきた社員(61)は「もはや営業努力でどうにかできる問題ではない」。9月以降に減産する工場が相次ぎ、250人いた派遣工員が半減した。

 外国人労働者の相談を受けてきた静岡ゼネラルユニオンによると、お盆以降、雇用期間中に突然解雇されるケースが急増している。仁科敏夫書記長は「重宝されてきた通訳まで解雇されている。大手各社が減産・減益を公表しており、さらなる悪化は避けられない」と気をもむ。

 クリスマスシーズンは、ブラジルに残した家族と一緒に過ごすため一時帰国する日系人が多い。ブラジル旅行社浜松支社のナガツカ・クロドアウドさんは、「今年はワンウエー(片道)チケットで国に帰る人が増えた。日本の景気がいつ良くなるか分からないから、リターン(復路)チケットを買ってくれない」と話している。(金成隆一)

【外国人と暮らす 共生の行方】(中)自治会に“国連”

2008-11-19 14:19:05 | 多文化共生
(以下、産経ニュースから転載)
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【外国人と暮らす 共生の行方】(中)自治会に“国連” (1/2ページ)
2008.11.19 08:04
横内団地の集会所では、外国人住民に日本語を教える教室などが開かれている=神奈川県平塚市横内団地の集会所では、外国人住民に日本語を教える教室などが開かれている=神奈川県平塚市

 ■話し合い積み重ね問題解決

 外国人と日本人が暮らす地域で起こるトラブルは、どうやって防止、解決すればいいのか。自治会内に「国連部」という組織を設け、各国の住民が話し合いで道を開いているケースが、神奈川県平塚市にある。

 JR平塚駅からバスで約20分。約1360世帯が生活する横内団地に住む外国人は、全世帯の1割を超える180世帯以上で、出身地はカンボジア、ラオス、中国、ベトナム、ブラジルなど11カ国に上る。

 団地内に外国人の入居が始まったのは平成元年ごろ。県内にインドシナ難民を支援する施設があり、難民が移り住んだのがきっかけだった。やがて外国人が多い団地と評判になり、次々に外国人が集まってきた。

 集団で酒を飲みながら路上で遅くまで騒いだり、ごみをそのまま窓から投げ捨てたり…。外国人住民の数が増えたことで、日本では考えられないような行動が目立つようになった。約30年間、この団地で暮らす横内団地連合自治会副会長の芦沢操さん(70)は「ちょっとした広場があれば車座になって騒いでいた」と振り返る。

 トラブルに対応するため、自治会は6年、各国の代表で構成する国連部を設置。ある国の住民が路上で騒いで困るとの苦情が寄せられると、その国の代表と一緒に注意したり、日本の生活習慣について話し合う場を年に4回設けたりした。

 団地の集会所では、ボランティアも加わった日本語教室も開かれている。日本語が不自由な住民への語学指導に加え、学校の授業に遅れがちな外国人児童・生徒への補習、身の上相談も行っている。

 こうした取り組みは外国人住民に好評のようだ。集会所で日本語を学ぶティム・スレイワンさん(29)は18年にカンボジアから来日。19年9月から住む横内団地の印象について、「日本人との交流も多いし、住みやすい」と話す。