1992年から2009年の16年間アップルに在籍した著者が,その最悪だったアップルから今の繁栄にいたるまでの変化をみて,いろいろ思ったことを書いている本です。「思ったこと」と書いたのは,前半はどのようにアップルが変わったかを書いてますが,後半は,著者がそこで学んだ処世術や自己の成長のためのノウハウが書かれているからです。
個人的には私自身がずっとアップルを見ていたので,その内情という意味で興味があったのは前半。後半は読んでみて,新鮮というよりは個人的には「その通り」と思うことが書いてました。いくつかは意見が異なることも書いてましたが。
良く考えたら著者はわたしとほとんど同い年で,会社で管理職をやっていた(る)という意味で,まぁ似たようなものですから当然かも知れません。それでもちゃんと本にまとめているのはすばらしいと思いますが。
さて興味があった,アップルの建て直しの話。思った以上にすごいなと思いました。でもいずれも,それで会社が建て治るのは道理だなとも思う一方で,普通の会社じゃそこまで無理…とも思いました。
アメリオがアップルを立て直す前には350あったプロジェクトをアメリオが50に減らし,更にジョブスが10までに減らしたと。そしてジョブスが復帰した直後,アップルには2つくらいしか商品が無い…ところまでスリム化されてしまいました。いや,そこまで減らせば,そりゃもう徹底的に会社を再建出来るかもしれないけど,それって既に一度潰して,新たに会社を興したに等しいな…と思いました。そして現在6万人を抱える企業なのに5つの事業しかやってないというのもすさまじく,著者はシンプルであることが重要と書いてますが,大きくなった会社をシンプルな形で維持するのも大変なことだと思います。
そもそもどんなに不採算部門を抱えていても,350ものプロジェクトを会社を潰さずに10まで減らすことが,日本の会社に出来るでしょうか?。そのためには多くの社員をリストラする必要があります。日本場合会社を再建する状態に入っても雇用を維持することが求められるケースが多く,なかなかそこまでドラスティックに会社をいじれない様に思います。それと,やっぱり会社の構造や体質を根本的に変えてしまったジョブスの手腕もすごいものだなぁ…と思いました。
ちょっと思ったのはアップルがアップルとして再建できたのは,やっぱりジョブスの手腕によるものでしょうが,ジョブスはアップルの創業者ですから,会社を一度潰して立て直しても,やっぱりアップルとして立て直すことができたんだろうな,と思います。これが別の人だとしたら,立て直すことが出来ても,それはもうアップルらしさが失われた別の会社になるでしょうし,下手をすると,新しい創業者に誰もついていかず,会社が空中分解してしまったかもしれません。
日本のソニーやパナソニックが多くの赤字を出しているからといって,赤字の事業をすべて止めて,採算がとれる十数の事業とかに絞り込んだ場合,やっぱり会社は空中分解をするかもしれませんが,仮に松下幸之助さんや井深大さんがそれをやれば,同じ方向性で,ソニーや松下が立ち直るかもしれません。そういう意味でいうと,アップルの再建は,創業者が存命なうちに出来たから,ここまでうまく行ったのかもしれません。
さて,それ以外に,アップルのやり方で参考になったのは,開発以前のコンセプトつくりやデザインに多くのリソースを使うとか。確かにそうだなとは思いますが,これも会社の構造をシンプルにしてるから出来るのであって,普通の大企業は,コンセプトなんて方便で,いろんな人がいろんな思惑で,ものづくりをしていたりします。コンセプトがあっても,実際に取り組んでいる人は,自分のところの組織防衛とかが主だったりします。だからうまく行かないんですけどね。解ってるんですが,多分トップがそのコンセプトをきちんと理解していて,それを強烈に推進する力がないと無理で,その辺は日本の大企業だと結構難しいなぁ…と思いました。
でも,いろいろと参考になりました。アップルの再建劇については,著者の印象ではなくきちんと客観的な数値に基づいて書いているところは流石だと思います。
個人的には私自身がずっとアップルを見ていたので,その内情という意味で興味があったのは前半。後半は読んでみて,新鮮というよりは個人的には「その通り」と思うことが書いてました。いくつかは意見が異なることも書いてましたが。
良く考えたら著者はわたしとほとんど同い年で,会社で管理職をやっていた(る)という意味で,まぁ似たようなものですから当然かも知れません。それでもちゃんと本にまとめているのはすばらしいと思いますが。
さて興味があった,アップルの建て直しの話。思った以上にすごいなと思いました。でもいずれも,それで会社が建て治るのは道理だなとも思う一方で,普通の会社じゃそこまで無理…とも思いました。
アメリオがアップルを立て直す前には350あったプロジェクトをアメリオが50に減らし,更にジョブスが10までに減らしたと。そしてジョブスが復帰した直後,アップルには2つくらいしか商品が無い…ところまでスリム化されてしまいました。いや,そこまで減らせば,そりゃもう徹底的に会社を再建出来るかもしれないけど,それって既に一度潰して,新たに会社を興したに等しいな…と思いました。そして現在6万人を抱える企業なのに5つの事業しかやってないというのもすさまじく,著者はシンプルであることが重要と書いてますが,大きくなった会社をシンプルな形で維持するのも大変なことだと思います。
そもそもどんなに不採算部門を抱えていても,350ものプロジェクトを会社を潰さずに10まで減らすことが,日本の会社に出来るでしょうか?。そのためには多くの社員をリストラする必要があります。日本場合会社を再建する状態に入っても雇用を維持することが求められるケースが多く,なかなかそこまでドラスティックに会社をいじれない様に思います。それと,やっぱり会社の構造や体質を根本的に変えてしまったジョブスの手腕もすごいものだなぁ…と思いました。
ちょっと思ったのはアップルがアップルとして再建できたのは,やっぱりジョブスの手腕によるものでしょうが,ジョブスはアップルの創業者ですから,会社を一度潰して立て直しても,やっぱりアップルとして立て直すことができたんだろうな,と思います。これが別の人だとしたら,立て直すことが出来ても,それはもうアップルらしさが失われた別の会社になるでしょうし,下手をすると,新しい創業者に誰もついていかず,会社が空中分解してしまったかもしれません。
日本のソニーやパナソニックが多くの赤字を出しているからといって,赤字の事業をすべて止めて,採算がとれる十数の事業とかに絞り込んだ場合,やっぱり会社は空中分解をするかもしれませんが,仮に松下幸之助さんや井深大さんがそれをやれば,同じ方向性で,ソニーや松下が立ち直るかもしれません。そういう意味でいうと,アップルの再建は,創業者が存命なうちに出来たから,ここまでうまく行ったのかもしれません。
さて,それ以外に,アップルのやり方で参考になったのは,開発以前のコンセプトつくりやデザインに多くのリソースを使うとか。確かにそうだなとは思いますが,これも会社の構造をシンプルにしてるから出来るのであって,普通の大企業は,コンセプトなんて方便で,いろんな人がいろんな思惑で,ものづくりをしていたりします。コンセプトがあっても,実際に取り組んでいる人は,自分のところの組織防衛とかが主だったりします。だからうまく行かないんですけどね。解ってるんですが,多分トップがそのコンセプトをきちんと理解していて,それを強烈に推進する力がないと無理で,その辺は日本の大企業だと結構難しいなぁ…と思いました。
でも,いろいろと参考になりました。アップルの再建劇については,著者の印象ではなくきちんと客観的な数値に基づいて書いているところは流石だと思います。