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【書評】がんはなぜ生じるか~原因と発生のメカニズムを探る(永田親義著)

2009-01-25 22:19:38 | 書評
ブルーバックらしく科学的ながら読みやすい本でした。
内容的にはタイトルどおり。がんについて書かれた本で,原因(主に発ガン物質)と発生メカニズムの研究の紹介で,治療法については特になし。長年この分野に関わってきた研究者らしく,歴史的経緯を踏まえて,これまでの多くの諸説を紹介していて,いい勉強になりました。
著者は医者ではなく量子工学からガンの研究に入った方ですので,臨床的な内容はありませんが,逆に分子や遺伝子レベルでの解説が述べられていてある意味ガンを病気というより科学的対象として読めます。
発生原因つまり発ガン物質については,特にわたしが知らない物質はほとんどありませんでしたが,明らかに発ガン物質といえるもの疑わしいもの,関わるものの様に分けて述べられていたのが,興味深かったのと,あと発ガン物質にガン細胞を発生させるものと,ガン細胞を育てるものの二種類があるのではないか?という考えが紹介されて興味深かったです。
メカニズムは知らない話が多かったのですが,細かくて結構難しかったです。ガンは細胞分裂の暴走とかエラーの様にわたしは捉えてましたが,実態はまだまだ不明で,DNA自体が痛んでいるという説と,DNAからたんぱく質が作られる段階での異常という説があるようで,分裂のエラーというとDNAなのかなと思っていたわたしにはちょっと驚きでした。確かにこの二つは違うのですが,そこまで考えたことはなかったので。
素人考えで書くと,ガンもさまざまなので,発生メカニズムが数種類あってもおかしくないと思ったのですが,どうでしょうか? エラーというのは正常以外ですので,ひとつの状態とは限らない様にも思います。いくつか紹介されていたメカニズムは,どれが正しいかわからないという感じで紹介されてますが,どれかひとつだけが正しいとも限らないなとも思いました。もっとも治療法などを考える上では,どれかにめぼしをつける必要があるのでしょうが。
ガンの正体がまだまだわからないことばかりで,学会の説も結構変化しているそうです。がん患者である自分の立場でいうと,まだまだ先が長い研究だなとも思い,ちょっと悩ましいとも思いました。もっともガンの根絶は無理なんじゃないか?というのもわたしは考えてるので,それはそうなのかなとも思いますが,有効な治療法はいつか見つかってほしいと思います。
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