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第三の脳~皮膚から考える命、こころ、世界(傳田光洋)

2008-09-26 21:19:21 | 書評
著者がpodcastでインタビューを受けてるのを聞き興味を持って買った本です。著者は資生堂の研究者で,皮膚に関する研究,特に皮膚の感覚について研究をしている方らしいです。
読みやすい口語体で書かれてますが,内容的には結構理系的な内容で,皮膚に関してのさまざまな研究成果が書かれてます。著者は特に皮膚で感じる感覚について興味があるようで,それについては現象や,皮膚の構造や状態から推察されるその原理などを語ってます。
良く眼で見てもわからない細かい違いを職人やその道の達人が触れてわかるといいます。工芸品だったり漢方医療とかさまざまなそういう話は聞きますが,それをオカルトとも疑似科学とも超能力とも言わず,皮膚の感覚として考察してます。実際皮膚は眼で見えないような10ミクロンくらいで並んだパターンの乱れを感じたりすることが出来るそうです。またそれを感じる仕組みも指先の神経が感じるわけでもないようで,指先の神経はそんなに細かく並んでません。皮膚の細胞一つ一つにそういう触覚に対応して出る物質があり,つまり皮膚が感じていて,その反応を神経が脳に運んでいるのだろうと。
また皮膚は色を感じるようで,皮膚の角質を破壊した際に,その復元スピードが当てる色で変わるそうです。これは,脳にいくわけではないので脳により反応しているわけではありません。この様に皮膚には,脳にいかず皮膚の中で感じ,反応をする仕組みがあり,それゆえに脳と独立に判断しているという意味で(第二の脳が消化系なので)第三の脳とタイトルされているわけです。
またいろんなストレスとかが皮膚に出るのは,女性なら実感していることでしょうが,これについても細かく解説されてます。さらに,皮膚には電波などを出したり感じたりしている部分もあるということで,超能力のようにされている能力の中に,皮膚により意識下のまま反応しているものがあるのではないか?などと想いをめぐらせてます。
著者はオカルトというか,現代の科学では証明できてないことに関しても関心が高いようですが,それについても,単純に不思議な力と決め付けるのではなく,皮膚の能力という切り口で科学的に手法で解き明かそうとしているところに感心しました。
私は以前も日記とかに書いてますが,最近は何でも脳偏向になっていて,脳の中ですべてを感じたり判断しているように言われることが多いですが,著者の言うように,人間は脳と独立した皮膚など別の系で,感じたり考えたり,何かをしたりとか,そういう部分が結構ある気がします。それは結局は脳にもフィードバックされ,考え方や行動,また体調などに影響を及ぼすわけで,つまり皮膚をはじめとした身体やその感覚を大事にしないと,いろんな部分で歪みが出てくる,そういうことをわたしも良く思いますが,それを感じる本でした。
内臓とかが重要だとわたしは思ってましたが,皮膚についてこれだけわかりやすく,詳しく,なおかつ(研究者的に)良心的に書かれた本はあまりなく,非常にお奨めだと思います。
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