すごく粘り強い。ちょっと隙を見せるとシュートを放ちゴールを狙う。やはりイチフナ(市船)のサッカーは健在だった。
このままで四中工(四日市中央工業)が逃げ切るかと思った後半のロスタイム、市船キャプテン和泉が素晴らしい同点ゴールを決め延長戦へ。
延長戦でも延長後半5分、和泉がキャプテンらしく鮮やかな振り向きざまのシュートを決め、勝ち越した。
名門校同士の対戦となった決勝はイチフナ(市立船橋)が逆転勝ちで四中工を退け、9大会ぶり5度目の優勝を飾った。
この試合、戦前は5試合で18得点の破壊力を誇る四中工攻撃陣と、4試合で2失点の市船守備陣の対決がポイントとされた。ただ、四中工キャプテン国吉が累積警告で出場できない不安が残っていたが、開始直後、四中工浅野がコーナーキックから先制し、それを吹き飛ばすかのように多彩な攻撃で試合の主導権を握っていた。一方、市船は後半もなかなか攻撃に突破口が見いだせなかったが、四中工がやや疲れの見えた終了間際、ロスタイムにキャプテン和泉がCKから混戦を抜け出してゴールに蹴りこみ試合を振り出しに戻すと、市船は延長戦で目が覚めたような攻勢を続け、延長後半5分和泉の右足がスーパーゴールで決勝点を挙げた。
9大会ぶりの市船Vは、一人一人がスタミナの豊富さ、攻撃のアイデアのすばらしさ、厚さ、スピードを持っていた。一方惜しくも破れた四中工も決勝戦に攻守の中心人物、主将を欠く苦しい戦いになってしまったが、総合力で古豪名門らしい好チームだった。勝利の女神がわずかに微笑まなかったのは悔しいだろう。
名門校同士の決勝は90回の記念大会にふさわしい好試合だった。