森人 もりと

森では人も生きものも ゆっくり流れる時間を生きています

森でシャケを食べる

2023-05-05 | 日記


 五月に入って、はや五日がたちました。
 ソメイヨシノは終了しましたが、ヤマザクラは今が盛りです。
 淡色の新緑の中に薄紅が混在して、なんとも爽やかな風景を
 創っています。

 野の花たちが、それぞれ日を追って順序正しく咲き出しています。
 それを観られる毎日の外歩きは、この時季いちばんの楽しみです。
 


 近くの町の野菜直売所では、キャベツやリンゴなどの越冬保存野菜
 の他に、どこからか運んできたキュウリやトマトが並んでいました。
 地ものの野菜はまだかなり先ですから、流通はありがたいものです。
 森の生活で最も大切なことは、食料確保です。
 自分は月に何度か近くの町の小さなスーパーへ買い出しにいきます。
 古い北海道人は、子どものころから体になじんでいるシャケやタラ
 を食べなくては生きていけません。
 タラのことはもう十年前に泣く々諦めました。道南ではまったく
 獲れなくなったのです。
 しかしシャケはなぜか諦められません。
 函館では、シャケに代わってやたらと獲れるようになったブリを
 食べるように勧めていますが、ブリを食べようとは思いません。
 長く続いた食習慣は簡単には変えられないのです。
 
 このスーパーでは、かなり前からシャケといえばロシア産が
 ほとんどでした。
 たまに北海道産のものもでますが、ロシア産に比べてかなり割高で
 高級魚といった感じです。
 もはや地物のシャケは、都会の料亭や富裕層の御用達となっていて、
 かつてのサンマやホッケのような庶民の見方ではなくなっています。
 いやいやサンマ、ホッケも今や高級魚となっていますが。
 まあしかし、ロシア産なら国は近いし海は繋がっているのだから
 同じ魚だろうと考えてあまり躊躇せずに買い続けていました。
 ところが一年前から、スーパーの棚にロシア産シャケの姿がパッタリ
 と消えてしまいました。
 たぶん、ロシア・ウクライナ戦争の影響だと考えられます。
 代わって現れたのがノルウエー産のシャケです。
 値段もロシア産とほぼ同じで、味も変わりません。
 今はもっぱらこのシャケを買い続けています。
 ノルウエーの漁師さんに感謝しつつ。



 先日、シャケを食べながらふと考えました。
 「どうして北海道人が北海道でノルウエーのシャケを食べるのだろう 
  シャケといえば北海道の代名詞ではないか」と。
 ノルウエーは言わずと知れた北欧の先進国、国民所得は日本よりかなり
 高く、社会制度の行き届いた国です。
 そこで獲れたシャケがどこでどうなって、この森の平民の食生活に役立つ
 ことになっているのだろうと思いました。
 日本から遥かに遠く、まるで地球の反対側にあるような国の漁師さんが
 獲ったシャケが冷凍され、何日もかけて海を渡り、貿易会社を通して
 運送業者がスーパーへ運び、それでやっと店頭に並びます。
 この間の各社の経費と利益を含めても、地で獲れたシャケよりも安価に
 売られて、庶民の見方になっていることが不思議でならないのです。
 ノルウエーの海から、シャケが勝手に日本へ泳いでくるならわかりますが…
 
 今日五日は、子どもの日です。
 この子たちが大人になった時には、日本でシャケが食べられるので
 しょうか。
 ノルウエーの漁師さんよろしくお願いします。


 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 

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