武産通信

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人生の特等席 TROUBLE WITH THE CURVE

2012年11月24日 | Weblog
                人生の特等席 TROUBLE WITH THE CURVE  主演:クリント・イーストウッド

 82歳のクリント・イーストウッドが『グラン・トリノ』以来、4年ぶりの主演作である。

 家庭を顧みず、メジャーリーグの名スカウトマンとして生きてきたガス(クリント・イーストウッド)。視力が衰え、目がかすみ始めた彼の最後のスカウトの旅に手を貸したのは、父との間にわだかまりを感じ続けてきた一人娘で敏腕弁護士のミッキー(エイミー・アダムス)。妻を亡くし、男手ひとつで育てようとして育てられなかった父娘の旅の最後にそれぞれが見つけた人生の特等席とは。

 旅は二人にとって過去と向き合うものでもあった。ガスは幼い時からミッキーを親戚に預けたり、寄宿学校に入れたことについて「人生の3等席ではなく、特等席(best seats)に座らせたかった」と釈明する。だが、ミッキーはスカウトである父と一緒に球場に行く時が幸せだったと打ち明ける。

 ガスは肉体の衰えこそあるが、長いキャリアで培ってきた「勘」音を聴く耳は誰にも負けない。ミッキーには父親譲りの野球の「勘」動きを見る目があり、各球団が獲得しようとしている若い打者をガスが見極める補佐をする。コンピューターによる選手のデータ分析と違い、「勘」というのは、経験の蓄積によって養われるものなのである。

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