花歩る木

山と旅がすきです

出光美術館 琳派芸術 2

2011-03-24 19:26:05 | 美術館

3月10日 出光美術館へ行ってきました。
                 琳派芸術ーー転生する美の世界

   第1部 「煌く金の世界」 に引き続き 第2部 「転生する美の世界」が
   2月11日より3月21日に公開されました。

   まず驚いたのが、鑑賞者の多いこと。10時半から説明ガイドがあるためでしょうが、
   (私もこのチャンスを狙っていきました) ほかに観光ガイドの方々のレッスンがあったり、
   日本女性のグループに対して フランス語で説明している外人がいたり、
   いつも静かな出光では こんな混雑は初めてでした。

   
   第2部の主役は酒井抱一(ホウイツ)とその弟子鈴木其一(キイツ)です。
   舞台は京都から江戸に移ったため 「江戸琳派」 と呼ばれています。
   前回に続き学芸員の宗像さんの説明を聞きながら進みました。

   まず最初に眼に入ってくるのが 其一の 「三十六歌仙図」 
   画面には35人しかいません。一番上の人が「あと一人は?」と探しています。
   斎宮の女御が御簾の中に入っておられます。
   その細かに華麗なこと。

   次いで抱一の 「風神雷神図屏風」。 宗達、光琳と三人の比較したパネルが
   展示されていて、興味をもちました。
   抱一は先人のものを参考にしながらも絵に幅をもたせるような独自の工夫をしています。
   
   次は今回のハイライト、抱一の 「八ツ橋図屏風」 。
   ここにも抱一の工夫が、橋にしても宗達は単色で描いているのに、緑青をかすかに
   加えたり、燕子花(かきつばた)の葉にしても裏と表で色彩を変えていたりしています。

    
   

   部屋が変わって目に飛び込んでくるのが抱一の 「紅白梅図屏風」。目玉です
   この作品に一番心惹かれました。モノクロームに近い絵ですが、地味なだけでなく、
   梅の花のように凛としたたたずまいを感じます。
   これは銀屏風で 「京都の金」 に対して 「江戸の銀」で対抗し
   江戸文化の成熟度を表しています。
   銀は月を表し、この梅は月の光で見たものかもしれない、「薄明の世界」です。
   抱一が 「銀の画家」 といわれる由縁です。   

    
   
   抱一 「燕子花図屏風」 では 「たらしこみ」 (筆に絵の具をたっぷりとふくませ
   その流れで微妙な濃淡を表す画法) の妙を観賞。
   次も抱一の「12ヶ月花鳥図屏風」。伝統的には桜は二月の花で合わせる鳥は
   雉と決まっているが、それをあえて江戸の人々の感覚にあわせて、桜を3月に
   もってきて鳥も「小瑠璃」(ツグミ科)に変えています。


   抱一は姫路城主の次男。お金持ちだから、超高級品の画材を使ったらしく
   今も作品におとろえが少ないのでは・・・という話もききました。
   其一は18歳の時に抱一の内弟子になり、彼が33歳の時に抱一がなくなったそうです。
   その後其一は 「自分の画風」 を広げていったそうです。

   今回の展覧会は、ほとんどが出光美術館の所蔵でした。
   いろいろ楽しませていただきました。
   
   3月21日まで開館の予定でしたが、大地震のため、3月15日で閉館したとの
   お知らせをメルマガで知りました。
   被災地の皆さんに 心からお見舞い申し上げ、
   体に気をつけて復興に努力して下さるよう祈っています。