1月27日 東京国立博物館(略して東博と言ってます)
特別展 「仏教伝来の道 平山郁夫と文化財保護」が行われています。
2009年12月に亡くなられた平山郁夫さんの
文化財保護活動に光をあてた展覧会です。
奈良・薬師寺外では初の 「大唐西域壁画」 が公開されていて、
平山さんの平和への願いを強く感じました。
東京国立博物館です。 東博の平成館です。
特別展は2部に分かれ、
第1部は 「文化財の保護と継承ー仏教伝来の道」
第2部は 「文化財保護活動の結実ー大唐西域壁画」 となっています。
第1部ではインド、パキスタン、アフガニスタン、中国、カンボジアなどの
仏像や平山さんの絵・スケッチなどが紹介されています。
特にバーミアンの大石仏がタリバンにより破壊された後、
それを復旧すべきかどうかを決める国際会議で
平山さんが「あえて負の世界遺産として(現状のまま)残す」と
発言されたことに感銘をうけました。
これは現地から違法に持ち出され、日本のある骨董屋にあったものですが、
アフガニスタンの受け入れ体勢が整ったらお返しする、
それまでは日本で保護保存しようと平山先生は考えていらっしゃいます。
第2部の 「大唐西域壁画」 は圧巻でした。
奈良・薬師寺の玄奘三蔵院に奉納された 全長37mの大作です。
平山さんはシルクロードに150回も行き、30年をかけて、
4000点のスケッチをもとに13面に描きこみました。
玄奘三蔵院にかかげられた額の「不東」は
「インドへ行って仏典を入手し、本当の仏教をおさめないうちは
東に向かって、中国には帰らない」と言う意味で
玄奘の決意をひしひしと感じました。
「明けゆく長安大雁塔・中国」
「西方浄土須弥山」
平山さんが海抜4000mのヒマラヤ山中で高山病になりながら
スケッチされたものを元にえがかれたそうです。
「西方浄土須弥山」は玄奘三蔵院の「本尊」とされています。
そのため、毎朝午前5時にこの前で お経があげられます。
東博にても毎朝薬師寺から来られた僧侶により
お経があげられるそうです。
「ナーランダの月・インド」
ここに薄く人影が見られます。
玄奘として描かれていますが、高田好胤でもあり、
平山画伯でも あると考えられています。
「大唐西域壁画」は「明け行く長安大雁塔」に始まり「ナーランダの月」に終わる、
時間的にも朝から夜へ、そして中国からインドへの
玄奘が3年かけて歩いた道のりを示しています。
山根基世さんの音声ガイドに教えてもらいました。
『20世紀は戦争の歴史。21世紀は戦争のない平和な世界にしたい』
平山先生の平和にこめた願いを感じました。
07年5月 ツアーで15日間シルクロードを旅しました。
西安(長安)から敦煌を通ってウルムチまででしたが、
タクラマカン砂漠、鳴砂山(砂漠)、火炎山・・・暑かったです。
時には、青空トイレもあったんですよ。それでも 現代の私達は
エアコンの効いたバス、列車の移動でしたが、
木陰もない灼熱の砂漠を三蔵法師はどんな気持ちで歩いたのでしょうか?
シルクロードはどーろくるし(反対に読んで見て!) そのものでした。
2月6日の「新日曜美術館」で紹介されるそうです。