みちのくの山野草

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『獨居自炊』は換骨奪胎?

2019-02-18 14:00:00 | 賢治と一緒に暮らした男
《千葉恭》(昭和10年(28歳)頃、千葉滿夫氏提供)

 さて「獨居自炊」という四文字を聞いたならば、あなたは真っ先に誰のことを思い浮かべますか。
    私は勿論、宮澤賢治である。
いや、もっと精確に言えば、
    かつての私ならば、宮澤賢治であった。
です。
 
 ところで、私はある時まで知らなかったのだが、あの高村光太郎に『獨居自炊』というタイトルの随筆がある。ちなみに、その本の表紙は下掲のとおり。
            《『獨居自炊』(高村光太郎著、龍星閣)》
 そこで私は、このタイトルの本を知った際に、なんだ光太郎は「羅須地人協会時代」の賢治の「独居自炊」を換骨奪胎したなと、あるいはパクッたなとついつい疑ってしまったのだった。しかし待てよ、光太郎は賢治に関わって濡れ衣を着せられたとも言えることがあった<*1>から、自分で良く調べてみなければなるまいと私は慎重になったのだった。

<*1:註> 山折哲雄氏は、吉田司氏との対談で、
『とにかく光太郎はヒデリと直したわけでしょう。ヒドリの言葉を削ってね。結局、光太郎がやったことですね。地元の事情があまりわかっていなかった。その点では僕なんかと同じで、ひとごとではないわけですが、注意しなければいけないところなんだ』
             <『デクノボー宮澤賢治の叫び』(山折哲雄×吉田司著、朝日新聞出版、2010年8月30日発行)より>
と発言している。
 すると、宗教学者として高名な人の発言だから、読者はその言を信じ切るであろう。「光太郎がヒドリを勝手にヒデリに直した」と。さりながら私は、同氏は実はしばしばよくお調べなならずに、発言し(オウム真理教について)たり、活字にしたり(例えばヒドリ論)していることを私は知っていたから、この発言をそのまま信じるわけにはいかないと危惧し、実際に自分で検証したみたならば、その危惧どおりだったのである。
 つまり、
 その真実は、光太郎がヒデリと直したわけでもなければ、光太郎がヒドリの言葉を削ったわけでもなく、山折氏の発言、「結局、光太郎がやったことですね」は光太郎に濡れ衣を着せることとなっった。
のである。折角『地元の事情があまりわかっていなかった。その点では僕なんかと同じで、ひとごとではないわけですが、注意しなければいけないところなんだ』と自戒していながらその舌の根もかかかわかないうちにまたぞろ、また同じ過ちを繰り返していたと言えよう(具体的には〝高村光太郎の名誉のために〟および〝石川朗様ご教示ありがとうございました〟をご覧いただきたい)。つまり、山折氏はご自身では検証もなさらずに、またもや直感や感覚で発言していたということになる。だから、彼は光太郎に安易に濡れ衣を着せた、と非難されても致し方なかろう。

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 賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』

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 その約一ヶ月後に、著者の実名「鈴木守」が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の「賢治学会代表理事名の文書」が全学会員に送付されました
 そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
 現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
 あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円+税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813

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