みちのくの山野草

みちのく花巻の野面から発信。

「雨ニモマケズ」と改竄「玄米三合」

2022-02-28 16:00:00 | 一から出直す
《三輪の白い片栗(種山高原、令和3年4月27日撮影)》
 白い片栗はまるで、賢治、露、そして岩田純蔵先生の三人に見えた。
 そして、「曲学阿世の徒にだけはなるな」と檄を飛ばされた気がした。

 かつて〝1210 一日に玄米三合〟で投稿したように、次のように、いわゆる「雨ニモマケズ」がひらがな書きに書き変えられた「雨にもまけず」が、しかも「一日ニ玄米四合」が「一日に玄米合」に改竄されて国定教科書「中等国語一⑴」(昭和22年2月)に載ったことを報告した。

【1 国定教科書「中等国語一⑴」の扉】

【2 〃目次】

【3 『三  雨にもまけず』】

【4 〃の続き】

【5 同教科書の奥付】


 ただし、「雨ニモマケズ」は戦意昂揚に利用されたので、「滅私奉公」という心構えを戦時下の国民に醸成するために賢治は利用されたのだということを否定のしようがないから、戦時中の国定教科書においてに既に「合」に改竄されたと私は信じていた。それは、井伏鱒二の『黒い雨』の中に、
という記述があったし、かつての満蒙開拓青少年義勇軍の一人に私が直接訊いてみたならば、満蒙では「三合」と教わったというからである。
 ところがこの度、
【6『宮沢賢治はなぜ教科書に掲載され続けるのか』(構大樹著、大修館書店、2019年)】

によって、戦時中はまだ改竄されてはいなかったと判断できることを私は知った。というのは、同書の88pには次のように、
【7 『国語下の巻』所収の「雨ニモマケズ」】


が載っていたからだ。つまり、構大樹氏によれば、この『国語下の巻』は満蒙開拓青少年義勇軍が使っていた教科書であり、そこには、
   一日ニ玄米四合
とあり、「四合」のままだったからだ。そして同氏は、
 批判の声にも…投稿者略…にも左右されず、一見すると大きな揺らぎなく、「雨ニモマケズ」の〈宮沢賢治〉は戦後社会で通用したのである。
 その最も象徴的な出来事が、戦後国定教科書での教材としての採用だ。小・中・高等学校の国語教科書にも、賢治作品はこの時、初めて採られた。
             〈『宮沢賢治はなぜ教科書に掲載され続けるのか』(構大樹著、大修館書店、2019年)84p~〉
と断じていたからだ。

 そこで私は、戦時中賢治を聖人化することによって、より賢治を戦意昂揚に利用したのではなかろかと以前は思っていたのだが、この「三合」への改竄時期が戦後であったことを確信できたので、賢治の聖人化がますます本格的したのは戦後であったという考え方にどんどん傾き出している。

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