何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

サービスが伝説になる時

2009-05-28 22:45:43 | Book Reviews
「サービスが伝説になる時」 ベッツィ・サンダース・著、ダイヤモンド社、1996年8月22日

p.3 顧客の間で伝説として語り継がれるサービスは情熱的なリーダーシップからしか生まれない

p.19 彼女は、彼女にとってあまり馴染みのない顧客に、非常に長い時間を費やして対応していました。これは一見時間の無駄のように思われます。しかし、ノードストロームでは、もっと重要で儲かる仕事があるなどと従業員に言うようなマネジャーに給料を払うことのほうが、無駄であると考えられているのです。

p.20 伝説のサービスの本質は、実際に生じ得た「成果」ばかりでなく、能力や成果を高める「プロセス」にも注意を向けるという点にあります。自分が全力を尽くしてやったことは、自分のもとに戻ってくる。そして自分の中に根づき、成長をもたらすのです。

p.30 特別なサービスを受けると、人は誰かに話したいと考える。人に話すことで、顧客は従業員の特別な態度を賞賛すると同時に、サービスの対象となった自分をも誇りに思う。

p.33 満足した顧客が自発的に語ってくれる言葉以上に信頼される広告などあり得ません。
 顧客を満足させようと努力する従業員に対して、十分な資源配分を行うようなリーダーシップを醸成するには、多大なコストがかかるのです。言い換えれば顧客や従業員に対する献身があって初めて、伝説となるようなサービスが実現されるのです。

p.35 サービスに対する評判を伝説の域にまで高めてくれるのは顧客でしかないのです。
 顧客が話さずにいられないほどの意義あるサービスだけが、重要なサービスとなる。

p.36 (どの業種であれ、組織に)広く見られるのが、競争に勝つ、あるいは少なくとも競争に追随していくためにできるだけのことをするという姿勢です。この考え方は、顧客の存在こそが自社の存在理由であるという重大な事実を見失っています。

p.39 “お客様”が我々のビジネスの唯一の存在理由である。
 自らの存在を顧客に奉仕するためと考えている企業では、顧客をよりいっそう大切にするために、特別な経営資源の開発を重視しています。それは、従業員とのパートナーシップです。このパートナーシップこそ、業種や企業規模、問題の複雑性、立地などを問わず、伝説のサービスを実現する基盤となるものです。

p.40 サービスが企業の根幹に根づいている企業とそうでない企業の最大の違いは、リーダーシップにあるのです。

p.49 サービスとは一言でいえば、私たちが何をするかではなく、私たちが何であるかということなのです。顧客と接する際の態度には、皆さんの“人となり”全てが反映されてしまいますから、サービスそのものが“行き方”になっていなくてはならないのです。

p.59 エクセレント(卓越した存在)になることほど、手間のかからないものはない。
 エクセレントになるためには、エクセレントになり得ないことをするのをやめることがいちばん手っ取り早い。

p.67 サービス向上を企業の目標と言いながら、リーダーがサービス向上の模範を示さず、それを評価せず、報酬も与えられなければ、従業員はいったい誰の行動を見習えばよいのでしょう。

p.75 顧客のために働くという目標を掲げている限り、よくなったからもう努力しなくても大丈夫などということは絶対にあり得ない。

p.85 顧客を失うことを心配するよりも、現在の顧客ニーズに応えることに重点をおけば、必ず売上げも利益も改善される。

p.96 乗客は自分のトイレが汚れているのがわかった瞬間、自分が乗っている飛行機にも同じ程度の注意しか払われていないのではないかと考える。

p.104 顧客は財布のお金で投票をしているのです。このコンテストに勝利した企業は、すなわち顧客が最も多く「賛成票」を投じた企業なのです。

p.107 顧客の期待を過少評価すれば、企業は必ず滅びます。顧客の期待に沿っていれば存続はできるでしょうが、エクセレント・カンパニーの慈悲のもと、細々と暮らしていくことになるでしょう。
 皆さんには、顧客の期待を常に上回る、そしてほかのどこでも得られないようなサービスをいち早く実現し、提供し続けることが求められているのです。

p.114 ビジネス全体のコストのうち、最大かつ最悪のコストは、顧客を失うことである。

p.122 サービスを伝説のレベルまで高められるかどうかは、全従業員に顧客に奉仕する上での自らの責任を、明確に理解させることができるかどうかにかかっているのです。
 顧客に直接接していない従業員にとって、他の従業員を顧客と考え奉仕することが自らの責任なのですが、これを理解させることは容易ではありません。

p.135 売上げはサービス・レベルに比例する

p.148 「もしビジネスで成功したいと考えるなら、従業員に、自分たちがリーダーのために働くのではなく、リーダーが自分たちのために働いてくれると思ってもらうことが不可欠である」

p.158 従業員には違いはない。問題はマネジメントにある。

p.168 W・L・ゴア・アンド・アソシエイツでは、従業員を「顧客満足の最高司令官」に任命して、直接支援をしています。ウォル・マートでは、従業員はビジネスの協力者という意味を込めて、「アソシエイト」と呼ばれています。

p.203 企業の場合、誠実さという原則を曲げた行動が生じると、目標が散漫になったり効率が低下したりといったことが観察されるようになります。次にあげるような兆候が表れたら、かなり危ないといえるでしょう。
 ◇度を越した官僚主義の蔓延
 ◇協力関係よりも指揮命令関係の重視
 ◇終わりなき派閥抗争
 ◇モラールの低下
 ◇生産性の低下

p.217-8 効果的なリーダーシップを発揮しているリーダーは、権限を自分に集中させることにはあまり関心がありません。そうしたリーダーが注視しているには、ミッションにとって何が重要であるかということです。すなわちある人の真の能力を見極め、そしてその能力を活用することで、人々に最高の成果を実現してもらうようにすることなのです。

p.229 サービスを常に伝説のレベルに維持していく上で、唯一最大の障害といえるのが「成功」です。成功を収めることで、顧客は満足し、自らの経験を互いに語り合うようになり、従業員は自分たちが最高であるとどこへ行っても言われるようになり、リーダーもメディアでもてはやされるようになります。そして現実と向き合うことを忘れてしまうのです。

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