何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

目に見えないけれど大切なもの

2012-05-25 23:06:57 | Book Reviews
「目に見えないけれど大切なもの あなたの心に安らぎと強さを 渡辺和子・著、PHP文庫、2003年11月19日

p.5-6 私たちの毎日の生活の中には、「嫌だな」とか「面倒くさい」と思うことがあるものです。そんな時、口の中や心の中で「小さな死」と呟くのです。
 いつも生き生きと生きてゆきたい。そのためには、どんな自分も受け入れる勇気を持つことが必要です。そしてその勇気は、多くの場合、自我に死ぬ「小さな死」によってもたらされるのです。

p.15-6 でも、と思う。人間やはり、どこかでむくわれていないと生きていけないものだ。
 良いことをした時、自然に満足感を覚えることは当たり前なのだ。それを素直に受け取ったらいい。詩の中の“ぞうきん”も、人の役に立った時には、多分それなりの満足感を味わったに違いない。
 今の私は、優等生のぞうきんになり切れず、まだひそかな自己満足を求め、味わっている。でも、そんな私に、「それでいいんだよ。ぞうきんになろうという気持ちだけは忘れないでいなさい」と、優しくいってくれる声がある。

p.20 思いやりというのは、自分の思いを相手に“遣る”ことだろう。私が、挨拶を返してもらえなくて淋しかった、辛かったその思いを大切にして、「だから、他人が挨拶した時には挨拶を返してあげよう」と心に決めること、それが思いやりなのであって、それを可能にするためには、心のゆとりがいる。

p.27 程度の差こそあれm私たちは心のぶつかりあいを経験しながら今日も生きている。別人格としての個人個人の間には、決して完全な理解、一致はあり得ないという事実を、醒めた目で冷静に受けとめないといけないのだ。それと同時に、温かい心で、自分と異なる相手を優しく受けとめ、許しながら、そして自分もすでに許されているのだと謙虚に呟きながら生きてゆきたいと思う。

p.40-1 落ち込んだ時は落ち込むのがよいでしょう。そんな惨めな思いをしている自分を嫌うことなく、いじめることなく、「いつか良くなる」ことを信じて、自分と仲良く過ごしている時、心を蔽っていた雲が晴れて、明るい日射しが以前より輝いて見えてくるのです。

p.42 (新しい自分になる機会という)そのチャンスを有効に使うか否かは、その時に何かを決心するかしないか、というよりも、むしろ、立てた決心をその後、守り抜くか否かにかかっているのではないでしょうか。

p.55 “老いる”ということは、“個性的になる”チャンスなのだ。人間関係においても、老いるにしたがって、量から質へと徐々に変わってゆく。

p.101 本当に望んでいたのは「偉大なもの、強いもの、賢いものになる」ことではなくて、「ありのままの自分で愛されたい」ことであったと。

p.110 愛にも成長がないといけない。それは、一体化を願い、相手の心の中、相手の世界を知り尽くしたい、という愛から、徐々に脱皮してゆくことである。相手に独自の世界を許し、別人格同士の間に必然的に生じる心理的、物理的距離を認め、それに耐え、その距離を信頼で埋めてゆく愛といってもいい。

p.129-130 私たちは今、人命軽視の風潮を嘆き、これに対しての生徒指導、管理強化を行おうとしている。しかし、私たちが改心して、命が「賜物」であるという認識と、したがって、すべての命は、その有用・無用にかかわらず尊ばれねばならないという確固たる信念を持つことなしには、人命尊重という成果は期待できない。

p.157 「劣等感は、傲慢の裏返し」といわれたことがあるが、自己嫌悪も同じで、もっと良い話ができたはずなのにと思い上がっている証拠である。

p.173 人間が、もう一人の人間を、完全に許せるなどと思いあがりたくないのです。

p.174 人間、倒れることは恥ずべきではないということ、起き上がることが大切で、しかも人間一人ひとりには、自分で起き上がる力と傾向性があると信じること、そのために妨げとなっている障害物を除去し、適切な心理的風土をつくる努力をすることが、いのちの電話相談員の役割といえましょう。こざかしく、他の人間を救ってやろうなどと考えるとしたら、思い上がりも甚だしいといわざるをえません。

p.195 教育という言葉の語源に「引き出す」という意味があることはよく知られているが、それは単なる能力の開発に終わってはならないのであって、真の教育のめざすところは、一人ひとりがユニークな自分になり切ること、自己の可能性を実現することにある。


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