何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ

2012-05-06 11:00:16 | Book Reviews
「会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ」 齊藤正明・著、マイコミ新書、2009年2月27日

p.34 「あー? いいことが起きたら喜んで、嫌なことが起きたら暗くなる。それじゃ犬と同じじゃねーか。人間はの、感情をコントロールできるんど」

p.38 「結果にばかりこだわると、その途中にある、おもしれーもんや、役に立つことを見逃すんど。俺には、それがもったいないように思う」

p.43 「つまりの、おいどーらは、おいどーらにできることをすべてやったんど。それから後のマグロが捕れるかどうかなんて、海が決めることど。齊藤ら陸の人たちは、人間ではどうにもならんことまで、なんとかしようとしちょる。それが疲るる原因よ」

p.50-1 「『努力』っちゅー言葉には、どっか『結果』という見返りを期待しちょるように聞こえるの。でもの、努力はたいてい報われんぞ。最初から報われる期待をして努力すると、『努力したのに・・・・・』と、すぐにあきらめよる」

p.64 「それは齊藤のうぬぼれど。『自分はスーパーマンだ!』と思いすぎちょるから現実とのギャップに苦しむんど。最初はの、『自分は何もできないダメなやつだ』と認めることからど。そこから一歩ずつ、自分が得意だったり、好きなことを磨くんど」

p.65 「でもの、いくら自分を磨いたって、人間できないことばかりぞ。『完璧』を目指せば目指すほど、自分にできないところが目立って落ち込む。結果、完璧とはより遠くなるんど」

p.70-1 「何かの分野で成功した人は、もともと能力があるからうまくいったわけではなく、うまくいったってことは、きっとあの人には能力があったんだろうと、後で理由づけをされちょるだけど。だから、『能力』なんちゅーものは、考えとも無駄と」

p.77 「世間から誤解されているのはつらくないですか?」「それは他人にわかってもらおうとするからつれぇんよ。自分が自分の仕事に楽しさと誇りを持てば、あとは世話ねぇ話じゃ」

p.80 「結局の、短所は見方を変えれば長所で、長所は見方を変えれば短所なんど。齊藤は、悪ぃとこばっか見よるから悩むんど。自分の悪ぃとこばっか見るやつぁ、他人に対しても悪ぃとこばっか見るんど」

p.82 憧れの損ぁ意に近づこうと考えるのは否定しませんが、そもそも自分の質を見極めなければ、逆にマイナスになることさえあると思うのです。

p.86-7 「地球はの、全部対でできちょる。『雨と晴れ』、『海と空』、『男と女』、全部2つで1つじゃ。これはの、人の気持ちじゃて同じど。『前向きなとき』ばかりではなく、『後ろ向きなとき』も大事じゃ」
 「後ろ向きになるっちゅーのは、危険を感じる能力ど。いつでも前向きな人やらが船長をやると、絶対無茶をしよるから船があぶねーんど。それにの、後ろ向きになることがあるやつでないと、落ち込んでる人の気持ちやらがわからんど」

p.109 「陸の仕事だって、いつまでも同じやり方で商品を売ってたら、段々売れなくなりめーが。『不況で商品が売れん』っちゅーとるやつは、不況を言い訳にして、今までのやり方を変えようとしぇん。とにかく売れとらん会社ほど、『立地が悪い』やら『ライバルができた』やら言い訳を考えることに力を使おうとする。言い訳に力を使うんなら、先に自分のほうを変えたほうがよかろーが」

p.134 「『便利になれば幸せになる』、そんなん全部幻ど。むしろ、不便なほうがみんなで助け合ったりして、心のなかに幸せを感じるし、難しいこともできるようになるんど」

p.141 「ケーキでマグロを釣ろうとする」とは、できるはずもないことを。奇をてらって失敗することだそうです。

p.141-2 「心の空腹状態」
 人は、食べ物を食べないとお腹がすき、飢餓状態になると木の皮など食べ物ではないようなものまで口にして、少しでも飢えをしのごうとします。それと同じように、人の心は食べ物の代わりに、他人とのふれあいが、栄養素になると言われ、褒められたり、認められたりしようとします。

p.142 問題行動を起こす人がいれば、その人のよいところを見つけ、褒めることで、心の空腹感は満たされ、問題行動は減っていくとされています。

p.146 「この針には心がこもってねぇ。心がこもっていない作業は、必ずどこかにミスが出るんど。飛行機や船でのうっかりは、すぐに全員の死につながるんど。陸では『死』ちゅーもんが、どっか自分と関係ねぇ、遠いもんじゃと思うちょるじゃろ? でもの、海の上では『死』は、齊藤のすぐ真後ろにおるんど」

p.171 逆に、親方のように「あなたのように優秀で、ずっと働いてほしい人が、ここでミスしてしまうのは痛手だ」という相手の能力や存在を尊重するような表現が入っていると、叱られることに愛情を感じるのでしょう。

p.173 「あんまり素っ気なく返事をすると、話しかけにくいやつと思わるるど。赤道にいるから暑いことくらい俺でもわかっちょる。でもの、最初に話しかける言葉はあいさつじゃ。あいさつで出鼻をくじかれると、次に何も話せめーが」

p.176-7 マグロ船は狭くて人口密度が高く、ギスギスしやすい環境だからこそ、対人関係のストレスがたまらないような工夫があったのです。

p.178-9 このようにベテランは若手を褒めますが、私がおもしろいと思ったのは、「上から目線で褒めないこと」です。
 たとえば、「お前も、マグロの処理がだいぶ上達したな」というような言い方をするのではなく、「おまえの処理作業が上達しちょるおかげで、今まで以上にマグロが高く売れるようになるの」と、「あなたのおかげで助かっている」といった表現を使っているのです。

p.180 「『仕事が丁寧なやつ』は、たいてい『仕事が遅い』。ひとつのことを見て、長所として受け取るか、短所として受け取るかの違いだけでねーんか? だったら、長所として受け取ったほうが、お互いに気持ちよかろう」

p.185 「人のアドバイスに期待しすぎるから、的がはずれたアドバイスに腹が立つんど。えーか、『他人からのアドバイスは、たいてい的がはずれちょる』。これが普通ど。他人はみんな、自分の立場でものを考える。わざわざこちらの立場に立ってアドバイスをしてくれることなんてことはないんど。じゃから、ほとんどのアドバイスはアテになりよらん」

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