新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

淀川右岸に絶滅危惧品種を見る:ノウルシ(1)

2005-04-17 05:48:47 | 植物観察1日1題
早春の淀川右岸鵜殿の葭原のあちこちにやわらかい黄緑色の群生がみられます。
トウダイグサ科トウダイグサ属のノウルシです。
川畔の草地などに生える多年草で、高さは花時は20~30cm、葉は互生、倒皮針形で、上葉は輪生します。花の形が昔の灯明台に似ているところからきたトウダイグサ科独特の杯状花序で、めしべ、おしべがそれぞれが一本で代表される貧弱な花とも考えられています。花時には苞が黄色くなって、遠目には菜の花が咲いたように見えます。
最近自生地が少なくなり、近畿レッドデータブックの絶滅危惧品種Cに指定されています。
茎を折ると白い乳液が出ることからノウルシの名がつけられました。
しばらく鵜殿の草花を連載します。もっと珍しい希少品種も出てきます。お楽しみに。

ゴルフコースに紫の絨毯:ムラサキサギゴケ

2005-04-16 07:12:49 | 植物観察1日1題
淀川右岸水無瀬の河川敷ゴルフ場のフェアウエイに一面に紫の絨毯が敷き詰められています。ムラサキサギゴケ(ゴマノハグサ科サギゴケ属)の花です。
湿り気の多い土地に成育し、匍匐性のランナー(走出枝)を伸ばして横に広がります。
春4~5月ごろ淡紫色、淡紅色の唇弁花をつけます。白花もありこれがサギゴケで、鷺が舞う姿に似るとしてサギ、コケのように横へ広がるのでコケと名づけられたといいます。
これは紫だからムラサキサゴゴケ、至極まっとうな命名です。
ゴルファーたちはこの見事な紫の絨毯に気付かぬげにコースを急いでゆきます。
こちらは、サギゴケのランナーよろしく匍匐前進姿勢でシャッターを切ったことでした。
家に帰って本を見ますと、雌しべをつつくと見る間に閉じるとありました。残念!もう一度行って確かめねば・・・

爛漫:篠山城址(1)

2005-04-15 07:21:35 | 植物観察1日1題
大阪では落花盛ん、はや梢の赤みが増してきた14日、丹波篠山城址は超満開でした。
関が原の戦いの後、西日本の諸大名を抑える拠点として1609年に、家康の命により築城された篠山城は、結局家康の命で天守閣こそ築かれませんでしたが、城郭の主体部である高石垣、外濠、馬出しなどがほとんど完全に遺構を留めていて、歴史的にも高い価値があります。なまじコンクリートの建物などがないだけに満開の櫻の古木が一際映えて見えました。
江戸時代の城下町の風情豊かなたたずまいがあちこちに残る町並みもこころを和らげてくれます。丹波の篠山は季節季節に重ねて訪れたい町のひとつです。

毒にも薬にも?クサノオウ(瘡王)

2005-04-14 04:47:08 | 植物観察1日1題
一昨日、野草料理をご紹介しましたが、きのこと違って野草は原則的にほとんどのものは
食べられます。したがって野草摘みでは、まず何が毒草かを知ることがよいといわれます。
もちろん生兵法は怪我のもと、よく知った経験者の指導は欠かせません。
写真のクサノオウは、ケシ科の越年草で、まっすぐ立ち上がる50cmmくらいの茎に
4弁の黄色い花をつけます。茎にも葉にも白い毛がびっしりとつき、折ると黄色い汁が出ます。この汁にケリドニウムというアルカロイドが含まれ有毒です。
しかし”瘡王”の名の通り、昔はこの黄汁が瘡(丹毒―かさぶた)の妙薬とされました。またタムシの薬にも用いられタムシ草の別名もあるそうです。
チョウセンアサガオやトリカブトなど毒草とされるものも、多くは使い方では有用な薬になります。野草には毒にも薬もならないという役立たずは滅多にいなようです。
(写真:高槻市淀川河川敷にて)

楊貴妃の憂い、梨花の雨

2005-04-13 00:07:55 | 植物観察1日1題
昨12日、春の雨は、満開の桜を無情にも散らしています。
でもその雨に、ひときわ美しさを見せているのが白いはかなげな梨の花です。
玄宗皇帝と楊貴妃の愛を歌った白居易の長篇叙事詩「長恨歌」の第8段で、愁い悲しむ楊貴妃を形容して「梨花一枝、春雨を帯びたり」(玉容寂寞涙闌干、梨花一枝春帯雨)と詠んでいます。雨の中、ファインダーを覗いて、いまさらながら大詩人の表現力、想像力のすごさに驚くばかりでした。

今からでも間に合う絶品野草料理:セイヨウカラシナの油炒め

2005-04-12 07:11:25 | 植物観察1日1題
いまや日本中の春の土手を占拠したかのように一面の黄色で染めるセイヨウカラシナ(西洋芥子菜:アブラナ科アブラナ属)、文字の通り西洋から渡来した辛子を取るための野菜が帰化、野生化したものです。
元野菜ですから当然かもしれませんが、野草料理の会などで、いつも一番人気のセイヨウカラシナの油いための料理法をお知らせしましょう。
材 料①セイヨウカラシナのつぼみのついた先端部を15~20cmに摘んだもの
   よく肥えたもので、ぽきんと折れるものがよい
   ②炒め油(ごま油で風味を出す)、刻み塩昆布(ふじっこ)、甘夏orハッサク、塩
料理法①水洗いしたカラシナの水気を取ったものを2-3cmに切り、さっと炒める
   ② ①に、甘夏などの中身だけをほぐしたものとフジッコを混ぜ合わせる。お好みで塩味をつ   ける
至極簡単です。騙されたつもりで試してください

精子と卵子が合体:イチョウの不思議(1)

2005-04-11 05:54:36 | 植物観察1日1題
1896年9月東大理科大学植物学教室の一介の画工平瀬作五郎氏が、イチョウの実の中にある精虫を発見し天下の学者をあっといわせました。
牧野富太郎博士によれば、許婚の押さない男女二人があって、早くもその男が後にお嫁さんになるべき運命を持ったその娘に引き取られて養われ、のちにこの両人が年頃となるに及んで初めて結婚するようなものとたとえています。イチョウは雌雄異株で、春、新葉の頃雄花から花粉が出て、雌木の枝の端の小さい雌花すなわち裸の卵子のごく小さい穴に飛び込みます。何ヶ月かのあいだに、精虫も、卵子もそれぞれ成長し、秋になって大きくなった実の頂に近い内部に液の溜まったところができて、その中へ娘の家で大きくなった精虫が出てきて、その液中を泳ぎ回り、自分の家で成年になった娘の雌精器に接触しめでたく結ばれます。
約2億年前の古生代から生きき続けてきた化石のようなイチョウ、どこにでもある木ですが、内部ではすごい営みをしているのです。
写真は小枝(しょうし)につく春芽です。普段気がつきません、がよく見れば若葉と雄花が織りなす造形美です。

本当のアカシア?ミモザ

2005-04-10 03:51:01 | 植物観察1日1題
高槻市芥川の土手にミモザの大木が枝いっぱい黄色の花をつけています。しゃれた喫茶店などの名前に使われたりするこのミモザ、南フランスではフサアカシアのことを指し、香水の原料として栽培され、2月にはミモザ祭りも催されるということです。
写真の木はどちらなのか特定はできませんでしたが、アカシア属は、南半球で600種もあるとのことですし、園芸店ではたくさんの改良種も出回っていますので、素人としては敢えて詮索することもないと思いますが、日本の庭などによく見られるのは、普通ギンヨウアカシア(銀葉アカシア)で、香もあまりないそうです。
Mimosa、本来はオジギソウ属のことだそうですし、日本でアカシアといえば、普通、別名ニセアカシアといわれるハリエンジュ(針槐)のことだとなると、このアカシア論議結構ややこしいことです。