簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
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食べたまま、書いてます。

峠の立場(東海道歩き旅・近江の国)

2023-11-01 | Weblog
 旧東海道の関宿から鈴鹿峠までは、平成8(1996)年11月、文化庁の
「歴史の道100選」に選定された。
道や標識が整備され、ハイキングコースとしても知られる様になった。



 峠越の「八丁二十七曲り」の厳しい石段と石畳の道を上り詰めると、
街道はやや荒れてはいるが、杉林の中の平坦道に転じ、木漏れ日の中
を峠目指して伸びている。
 やがて道幅がやや広がり、鏡石への分岐道が現われ更に少し進むと、
茶畑の中に並ぶ道標が見えてくるが、そこが標高380mの鈴鹿峠だ。



 現在の幹線道路・国道1号線は、関の沓掛集落を過ぎる辺りで上下は
別ルートとなり、急勾配を避けるように大きく迂回しながら、峠を目指
しその20m程低い地点を二本のトンネルで抜けている。
旧東海道は、そのトンネルの上を越えていた。



 東海道は、いよいよ近江の国(滋賀県)へと入ってきた。
ここには、「峠茶屋有り。伊勢と近江の境也」と言われた旅人の休憩場
があった。「澤」の立場が開かれ、松葉屋・鉄屋・伊勢屋・井筒屋・堺
屋・山崎屋という6軒の茶屋が有ったと伝えられている。
名物は旅人の疲れを癒やす甘酒である。



 米麹甘酒は、ビタミンB1やビタミンB2などのビタミンB群が含まれて
いて、「飲む点滴」といわれている。
ビタミンB群は、「代謝ビタミン」とも呼ばれ、さまざまな酵素の補酵
素として働き、エネルギーを作り出すのに必要な栄養素で、糖質を燃や
してエネルギーに変える働きがある。



 昔の人は、甘酒の効用の事実を経験的に熟知していたのである。
山賊に襲われることも無く無事峠に行き着いた旅人は、先ずは一安心、
茶屋で足を休めつつ、甘酒にほっと一息ついたのである。
ここまで来れば京はすぐそこだ。(続)



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