簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
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春の雨(東海道歩き旅・近江の国)

2023-11-22 | Weblog
 「坂は照るてる  鈴鹿はくもる  あいの土山 雨が降る」



 歌川広重の画く道中図「東海道五十三次(保永堂版)」では、宿場・
土山の図「春の雨」として、雨の中、橋を渡る大名行列を画いている。

 一行は田村川に架かる田村橋を渡り、正面に田村神社の杜を見て、合
羽を着た一団が雨の中悄然と頭を垂れながら、宿場に向かい歩く姿を克
明に画いている。



 広重はこの強く降る春の雨を、垂直線と斜線を二版に分けて刷り込む
ことで、激しさを強調した。

 珍しい低い欄干付きの橋の下は、雨により水嵩が増し、荒々しく流れ
下る川も画かれている。仮橋の時代は大雨ともなると、橋渡りは禁止さ
れ徒渡りを余儀なくされると、溺れ死ぬものが多数出たという言い伝え
も残るそんな暴れ川の様子をも窺わせている。



 土山は馬子唄で唄われる通り、伊勢の海から吹き上げてくる風が、鈴
鹿山脈を越えると雨になることが多いらしい。
昔から土地の人々は、風の流れと雲の動きで雨をよんでいた。
 
 そのことから「あいの土山」の解釈は、「あいのう雨が降る」という
方言から「もうすぐ雨になる」との意とする説があるが、「あい」の解
釈には異説が8つあり、未だに定説はないそうだ。(甲賀市HP)



 これまで「あい」は峠と宿場の「間(あいだ)」の意と思っていたが、
そう言う説も有るらしい。
しかし今日では、単に「土山」の枕詞のように「あいの土山」として使
われる事が多いらしい。



 橋を渡り神社の深閑とした杜を暫く進むと、右手に高札場跡がある。
永代板橋である田村橋が架けられたことで、東海道は付け替えられ、
その一部となった道である。

 道はやがて広々とした表参道に行き当たり東海道は左に折れる。
右に曲がれば田村神社が鎮座し、正面に御拝殿がある。(続)





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