国道に設けられた、僅かばかりの幅の歩道を歩く東海道は、滋賀県甲
賀市に入って来た。古くから東海道五十三次の49番・土山と、50番・水
口の宿場町として栄えてきた。
現在でも東海道が姿を変えた国道1号、新名神高速道路が町中を貫く
交通の要衝だ。鉄道網もJR草津線を始め、貴生川駅からは近江鉄道本
線と信楽高原鉄道線が運行している。
甲賀市は、滋賀県の南東部に位置する市で、市域は東西に長く、三重
県と京都府に境を接している。甲賀郡の7町(水口町・土山町・甲賀町・
甲南町・信楽町・甲西町・石部町)が合併して新市が発足した。
世帯数は凡そ3.7万で、人口は凡8.9万人である。
東部は鈴鹿山脈等があり標高が高く、西部に向かうほどに下がっていく。
日本六古窯(瀬戸、常滑、越前、丹波、備前)の一つ、信楽焼の産地
として良く知られ、窯業が主要な産業となっている。
生産も日用陶器のほか建築用タイル、傘立て、庭園陶器、衛生陶器など、
大物から小物に至るまで多彩だ。有名なタヌキやフクロウの置物を作
り始めたのは比較的新しく、量としては僅からしい。
又県下の茶の生産量を支える土山茶は、文和5(1356) 年以来の歴
史を持っている。高級茶として知られる朝宮茶も有り、二大ブランドを
有する茶栽培も主要な産業だ。
忍術から派生したといわれる製薬技術が「甲賀の薬売り」を生み、現
在でも地場産業とし薬関係の企業が多く立地し重要な産業となっていて、
同町大原中には、薬の知識を深め、体験できる無料の施設「くすり学習
館」がある。(続)
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