いろはに踊る

 シルバー社交ダンス風景・娘のエッセイ・心に留めた言葉を中心にキーボード上で気の向くままに踊ってみたい。

千早振る

2009年05月26日 08時11分01秒 | 兎に角書きたいの!
 世の中にたえて櫻のなかりせば春の心はのどけからまし

 千早ぶる神代も聞かず龍田川からくれなゐに水くくるとは

 上記の2首は歌人在原業平の代表作であるが落語と関係するのが「千早ぶる…」である。

 野口武彦氏が語る「千早ぶる神代も聞かず龍田川からくれなゐに水くくるとは」の落語的解釈を見てみよう。

 物知りのご隠居が「龍田川」は相撲取りの四股名だと講釈を垂れる。千早という遊女に振られ、妹分の神代にも振られ、相撲をやめて豆腐屋になった。落ちぶれた千早がオカラを恵んでくれと頼むが、「呉れない」ので身投げをして死んだのが「水くぐる」だとこじつける。では「とは」は何だと突っ込まれてぐっと詰まり、苦しまぎれに「トワは千早の幼名だ」というのがオチになる。

 これは江戸文化に咲いたコジツケ(故実付け」の典型であり磨き上げられ百人一首を珍解釈す話芸である。

 この落語を聴きたくなりCDを求めた。5代目古今亭志ん生が語る「千早振る」である。15分44秒・昭和36年9月17日放送「日曜風流亭」(TBSラジオ)放送のものである。

 知ったかぶりをしている男と八五郎の掛け合いである。就寝の時の私の子守唄となっている。不思議と心が和み「千早振る」が終わらない内に夢の中に引きこまれている。
 野口武彦氏は語る。「江戸人が磨き上げたコジツケの芸は、政治家の国会答弁技術のうちに立派に生き残っている」と。
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