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言の葉

2008.11.28 開設
2022.07.01 移設
sonnet wrote.

ささやかな感動

2012年09月29日 | ノンジャンル

買い物に行こうとしたら帽子が見当たらない。
それほど強い日差しでもなかったので別にかぶらなくてもよかったが、所定の場所にないのが気になりあちこち捜した。でもやっぱりない。
そうだ! 前日駅前商店街まで自転車で出かけ、帰りは暗くなっていたので自転車の前カゴに入れたのだった。
しかし自転車を見に行っても前カゴは空っぽだった。
そこでさらに思い出したことがあった。

前日、買い物の帰りはいつもと違う道を通った。
すっかり日が暮れていたが、久しぶりの道でついきょろきょろと脇見をしてしまった。
そこに車道と歩道を仕切る柵(黄昏に溶け込んだ色の)が迫り、「危ない!」と思ったが間に合わず、自転車をぶつけてしまった。
ちょっとバランスを崩した程度でけがもしなかったが、あの時ハンドルが傾いたので帽子が落ちたのかもしれない。
あくまでも推理で確証はない。例えそうでも丸一日過ぎている。風で吹き飛ばされてしまったかもしれない。
何年も使ってくたびれた帽子、そのままなくてもかまわないが、思いついた以上無視するのはなんとなく気がひけた。
ちょっと億劫だが行くだけ行ってみることにした。

急坂を下り、カーブを曲がった時(写真左上から)、前方の柵に架けられた帽子を見つけた時はちょっとした感動があった。
推理が間違ってなかったこと、道路に落ちていたのを柵に架けてくれたどなたかの配慮、持ち主を待ってるかのような佇まいで丸一日そこに留まっていた帽子。
一瞬でも「このままなくしてもいい」と思ったことを帽子に謝りたい気分だった。
確認をしに来てホントによかった。