手打ち蕎麦をする私の徒然日記

2003年1月に手打ち蕎麦に初挑戦。手打ち蕎麦の事ばかりでなく、日常インパクトのあった事柄を思ったまま綴ったブログです。

窪美澄さんの直木賞受賞作「夜に星を放つ」を読んで思い出した言葉

2023-10-27 12:55:17 | 人生
この受賞作「夜に星を放つ」の中には、五つの独立した小説が収められていて、中でも「星の随に」と「真珠星スピカ」という作品には感動した。私が窪美澄さんの作品と出会ったのは、今回が初めてだったこともあり、すぐに彼女のファンになった。読んでいて、すごく分かりやすい文章だったのも非常に心地よかった。
今回、読んで感動した作品は、私が、かつて読んで感動した、住井すゑさんの作品「夜あけ朝あけ」を思い出させてくれた。住井さんは、この作品のあとがきの中で、次のような言葉を残しています。
”悲しい時に、人は泣くといいます。それは、嘘ではありません。しかし、人は悲しい時だけ泣くものではありません。ふつう、いわれているような悲しさでは、私は泣きません。私は、美しいもの、真実なものの前に泣きます。時には、その美しさ、真実さに感動して、おえつのとまらないことさえあります。”
私としては、そうだよなあ、まさしく住井さんが語ってくれたのは、そのとおりだよなぁ!と思った次第です。
なお、ここで紹介した3つの小説のそれぞれの最後を飾っている、締めくくりの文章の言葉遣いには、何故か特に、私は強く心を惹かれ、心に焼き付いています。参考のために、ここで、これらの文章をご紹介しておきます。
☆「星の随に」の最後の文章は、
  そうしてまた、渚さんと、母さんと、海君と佐喜子さんのことを思った。渚さんが帰ってきたら大きな声で、「母さん、お帰り」と言おう。僕は心のなかで密かに誓った。
☆「真珠星スピカ」の最後の文章は、
  父さんがぽんぽんと私の頭を撫でる。父さんの手は温かかった。小さな虫は満足したように父さんの首筋を離れ、いつの間にか、夜空に溶けて見えなくなった。
☆「夜あけ朝あけ」の最後の文章は、
  川原の七夕笹は、さやさや、風にうたっている。六つの心は、そのうたをききながら、それぞれに泣いた。しかし、泣くのをやめて、みんな、力いっぱいうたってもよかったのだ。あの、”夜の太陽”をたたえてーー。

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