min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

ジェフリー・ディーバー著『スリーピング・ドール』

2009-05-02 08:50:06 | 「タ行」の作家
ジェフリー・ディーバー著『スリーピング・ドール』 文藝春秋 2008.10.10 第一刷 2,381円+tax

オススメ度:★★★☆☆

前作『ウオッチメーカー』でゲスト的に出た“キネシスク”分析の達人、キャサリン・ダンスを主人公にした作品。
“キネシスク”は人間の所作や表情を読み解いて事件解決にあたる捜査方法のひとつで、物証主義の対極にいるとも言えるリンカーン・ライムをも唸らせたキャサリン・ダンス。
今度の相手は“マンソンの息子”とも異名を取る、酸鼻のきわみとも言うべき一家惨殺を行った危険なカルト集団の教祖であった。
マンソンとは1969年に起こしたシャロン・テート事件で一躍有名をはせたカルト集団の教祖のことである。
さて、“マンソンの息子”ことダニエル・ペルは事件の後服役していたのであるが、姑息な手段で脱獄を図った。服役中、キャサリン・ダンスの尋問を受けたのであるが、ダンスを許し難い天敵のような存在とみなし、彼女及び彼女の家族をつけ狙うことになる。
ここにキャサリン・ダンスと彼女にも劣らない「先読み」が可能な天才的犯罪者ダニエル・ペルとの壮絶な頭脳戦が展開される。

物語は前半、中盤とやや盛り上がりに欠け進行し、後半になってやっと加速するのであるが、数十ページを残して事件は終焉を迎えたかに見える。だが、読者はここでまたディーバー得意のどんでん返しが待っていることを知っている。
彼のどんでん返しは読者が最も考えられない、思いつかないケースを持ってくるのがいつもの手であることも明らかである。
今回は何となく、「こいつで来るかな?」という“読み”がピタリと当たり、思わずニヤリとしてしまったものの、その理由付け、動機のディテールの描写が甘く、多くの読者をして納得せしめなかったのでは。

“キネシスク”分析を駆使する美貌のキャサリン・ダンスも悪くはないが、やはり単独で主役を張るにはちと荷が重いのでは。
リンカーン・ライムとその技を競ってこそ面白みが増そうというもの。やはり、ライムとアメリア・サックスコンビの魅力には適わないか・・・




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