min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

日本映画『紙の月』吉田大八監督

2014-11-17 17:46:31 | 映画・DVD
日本映画『紙の月』吉田大八監督 H26年11月15日封切
原作:角田光代
お奨め度:★★★☆☆

キャスト
• 梅澤梨花 - 宮沢りえ(中学生時代:平祐奈)
• 平林光太 - 池松壮亮
• 相川恵子 - 大島優子
• 梅澤正文 - 田辺誠一
• 隅より子 - 小林聡美
• 井上佑司 - 近藤芳正
• 平林孝三 - 石橋蓮司

角田光代氏の同名の原作「紙の月」は読んでいない。いつも原作あって映画化されたものは原作を先に読むべし、と言いながらも今回は原作を読んでないし、またあまり読む気がしない。ストーリーは平凡な主婦が銀行の契約社員となり、ある日若い男に狂って貢ぐ為、顧客の預金に手をつける、と言ったもので特に目新しい内容ではない。
とにかく観に行った最大の理由は宮沢りえさんを見たかったから、それだけです。

彼女はここ十年くらい舞台に専念したいということで、演技の活躍の場を銀幕から舞台に移しており、劇場用映画で彼女の姿を最後に観たのは2002年の『たそがれ清兵衛』以来である。
齢を重ね更に美しさが増した宮澤りえさんを見るのは大いに楽しみであった。
映画の感想から言えば、やはり物語は陳腐でありもともと期待しなかったから構わないのであるが、銀行員の彼女が何故あんなチンケな若造に惹かれたかの描写があまりに希薄なため、物語のリアリティに欠けた。
主人公梅澤梨花が自らの人生を全て投げ打っても“貢ぐ”対象とは思えない。個人的には若き大学生役を演じた池松壮亮くんには悪いのだが公開時期が悪すぎた。
先のTBSドラマ「MOZU」の暗殺者役の印象が強すぎて、りえさんとの濡れ場には興醒め。
ただし、宮澤りえさんの演技力はそんなハンディをも乗り越え、物語の前半部分(優秀な銀行員としての外回り)そして中間部分(若き不倫相手との絶頂期)後半部分(やがて横領が発覚し追い詰められていく時期)を見事に演じ切ったと思う。

そして忘れてはならないのは秀逸な脇役陣たちの演技。特に資産家を演じた石橋蓮司さんとお局ベテラン銀行員役の小林聡美さんに拍手したい。

ところで結局この物語のテーマは一体何んだったのだろう?
女子学生時代に味わったキリスト教の教えの矛盾なのか。他人へ献身的に尽くすことに喜びを得られる主人公の業のせいか、はたまた子供が授からない中年主婦のあがきなのか。
表題の「紙の月」とは偽物の月であり、自ら幸福かと思われた人生もまたまがいものであったのか。