min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

マーク・グリーニー著『暗殺者グレイマン』

2014-09-02 14:13:53 | 「カ行」の作家
マーク・グリーニー著『暗殺者グレイマン』 ハヤカワ文庫 2012.9.20第1刷 

おススメ度:★★★★★

世界中のその筋の機関から、グレイマン=目立たない男と呼ばれ恐れられたCIAの凄腕の暗殺者がいた。
その名をコートランド・ジェントリーという。そんな伝説的暗殺者がある日何らかの理由でCIAより解雇通告を受けた。更にシュート・オン・サイト(見つけ次第射殺せよ)という最高のプレゼント?をもらって。
かくして彼はCIA全組織から狙われる運命となった。彼はCIAの追跡を逃れながら今はロンドンに籍を置く“民間警部会社(CSS)”に雇われ、その会社の闇の仕事(海外における暗殺を主とする)を請け負っていた。だが、彼が請け負った最後の仕事、ナイジェリアのエネルギー大臣を暗殺したことが引き金となってグレイマンは絶体絶命の窮地に落とされることになる。
CSSの最大の顧客であるフランスのローランドグループの米人弁護士がCSSの代表フィッツロイの元を訪れ、CSSが命じた暗殺を遂行したグレイマンの首を差し出せとせまったのだ。
ローランドグループはナイジェリア大統領とエネルギー資源獲得に関わる数百億円の契約を直前に控えていたのだが、暗殺されたエネルギー大臣は大統領の実弟であった。
米人弁護士のロイドはCSSのフィッツロイが命令に背けないように彼の息子夫婦及び双子の娘をフランスのノルマンディにある古城に誘拐した。
更にロイドは会社の軍事部門を通じ12カ国(けっして主要国ではない)の特殊部隊から選ばれた暗殺チームをグレイマンに差し向けたのだった。
かくして1人対数十人というバトル・ゲームが欧州で繰り広げられることになった。
果たしてグレイマンは特殊部隊の12の暗殺チームを撃破して幼い双子の娘を救出出来るのか?といったような内容の冒険小説である。

イメージとしてはクイネル著の「燃える男」クリーシィにプラス映画の「ジェイソン・ボーン・シリーズ」(元CIAの特殊任務についていたが記憶をなくしたまま欧米のCIAより抹殺指令が発せられた)の主人公ボーンを足して二で割ったような存在かしらん。
とにかく超人的にタフで強いのだ。しかし本編中では数限りなくあちこち負傷し、その傷の度合いと荒療治には血の気に弱い方は震えがくるほど。
主人公グレイマンは血に飢えた殺人鬼として描かれる訳ではなく、時に彼の人間性を表す言動がちらほら散見されるのが救いだ。
先に彼を“燃える男”のクリーシィになぞらえたのは自分と関わった幼い子に対する“無償の愛”を持っているからだ。
暗殺者グレイマンのシリーズはあと2冊邦訳されているようなので楽しみだ。

尚、本編は読書の盟友ディックさんよりオススメ頂いたものでこの場を借りて深く感謝いたします。