ヘニング・マンケル著『タンゴステップ下』創元推理文庫 2008.5.23 第1刷
おススメ度:★★★☆☆
最初に殺された男は相当の恨みをかって殺されたであろうことは、その殺害方法からうかがわれた。それはムチの類によって長時間背中の肉がボロボロになるまで粉砕され、いわば悶死したようなものだったからだ。
更に死骸を抱いてダンスをさせたと思われる血のしたたった足跡はタンゴのステップであることがわかった。本書の題名はそこから付けられたものだ。
ここまで恨みをかった男の仕業は一体何であったのであろうか?
犯人の手掛かりが全く不明のまま、男の隣人である男性がまるで処刑されたような射殺体で発見されたことにより、その殺害手口の違いから犯人は別にいるものと警察は判断したのだが、捜査も行き詰る。
地元警察の捜査とは別に本編の主人公ステファンは独自の捜査に入る。そもそも警官新人の時代に教えを受けた元同僚ということだけで、病気休暇中の身をおして非公式な捜査を行う理由は一体何であろう。
一つは自らの死を覚悟したことにより、他人の死が身近に感じたせいであったのかも知れない。
最初は漠然とした好奇心が先行したものの、やがて殺人の背後に潜むナチスの亡霊がやがて自らの亡き父親まで巻き込んだ暗雲となって拡大され、今や亡霊が現実の脅威となってステファンの前に立ちはだかることになる。
下巻の中盤あたりから物語の全貌がある程度明らかになり、いよいよ真犯人を追い詰めるクライマックスを迎えるのだが、この辺りの展開がまるで物足りない。
全く地味なサスペンスのクライマックスなのだから、せめてもう少し工夫があってしかるべきである。
エピローグは蛇足だ。
おススメ度:★★★☆☆
最初に殺された男は相当の恨みをかって殺されたであろうことは、その殺害方法からうかがわれた。それはムチの類によって長時間背中の肉がボロボロになるまで粉砕され、いわば悶死したようなものだったからだ。
更に死骸を抱いてダンスをさせたと思われる血のしたたった足跡はタンゴのステップであることがわかった。本書の題名はそこから付けられたものだ。
ここまで恨みをかった男の仕業は一体何であったのであろうか?
犯人の手掛かりが全く不明のまま、男の隣人である男性がまるで処刑されたような射殺体で発見されたことにより、その殺害手口の違いから犯人は別にいるものと警察は判断したのだが、捜査も行き詰る。
地元警察の捜査とは別に本編の主人公ステファンは独自の捜査に入る。そもそも警官新人の時代に教えを受けた元同僚ということだけで、病気休暇中の身をおして非公式な捜査を行う理由は一体何であろう。
一つは自らの死を覚悟したことにより、他人の死が身近に感じたせいであったのかも知れない。
最初は漠然とした好奇心が先行したものの、やがて殺人の背後に潜むナチスの亡霊がやがて自らの亡き父親まで巻き込んだ暗雲となって拡大され、今や亡霊が現実の脅威となってステファンの前に立ちはだかることになる。
下巻の中盤あたりから物語の全貌がある程度明らかになり、いよいよ真犯人を追い詰めるクライマックスを迎えるのだが、この辺りの展開がまるで物足りない。
全く地味なサスペンスのクライマックスなのだから、せめてもう少し工夫があってしかるべきである。
エピローグは蛇足だ。