min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

ジェフリー・ディーヴァー著『ソウル・コレクター』

2011-01-27 00:33:08 | 「タ行」の作家
ジェフリー・ディーヴァー著『ソウル・コレクター』 文芸春秋刊
2009.10.30 第1刷 

オススメ度:★★★☆☆

ライムのいとこアーサー・ライムが殺人容疑で逮捕された。
被害者とは一面識もないことを主張したが、動かぬ証拠が彼の自宅や犯行現場から次々と発見され、裁判が始まる前から有罪は確定したも同然であった。

彼の逮捕をアーサーの妻が夫に内緒でライムに報告にやってきた時、ライムは複雑な感情を抱いた。アーサーとは長い間交流を途絶えていたからだ。それは青春時代の苦渋の思い出を伴っていた。
だが、アーサーの疑惑はあまりにも整えられた証拠に満ち、目撃者の通報も作為が感じられ、ライムはすぐに真犯人は他にいるのではないかという思いをいだいた。
サックスに命じて似たような犯行の過去事例を調べさせたところ、直ちに他に2件の類似した犯行が浮かんできた。
調べを私的なメンバーで開始したところ、背後に個人情報を完璧に操る神の如く“何でも知る男”の存在が明らかになってくる。その真犯人を追い詰めたかと思われた時点で、真犯人の恐ろしいまでの反撃が始まり、ライムのメンバーにも危険が及ぶ。とりわけサックスに迫った危機は戦慄すべきものがあった。

本編の中で描かれるSSD(ストラテジック・システムズ・データコープ)のような会社が実在したとしたら、これはもう国民にとっては悪夢のような存在である。
あなたの個人情報―こんなな生易しい表現ではとても足りないような情報の数々ーばかりではなく、現在地すら判明するような情報が特定の会社のコンピューターに入っていたとしたら、ひいては国家にもつつ抜けとなっていたら・・・・。考えるだけで身の毛がよだつ状況となるであろう。
「国民総背番号制度」の究極の未来図のようなものが我々の眼前に提示される。
果たして真犯人はどんな人物なのか、そして彼の目的は何か!?

モンスターのような犯人とライムとの頭脳船が火花を散らす展開はさすがディーヴァー!といったところか。

ところで、真犯人が何故このような行為に走ったのかの説明が足りないような気がするのは私だけであろうか?また、いつもの二転三転のドンデン返しがみられないのもちと寂しい気もする。