min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

C.J.ボックス著『ブルー・ヘブン』

2009-07-20 17:23:26 | 「ハ行」の作家
C.J.ボックス著『ブルー・ヘブン』 早川書房2008.8.20第1刷 1,000円+tax

オススメ度★★★☆☆

12才のアニーと8才のウィリアムの姉弟は、母親が引き込んだ若い男のいる家を抜け出し、川へ釣りに出かけた。
川原で彼らが偶然にも目撃したのは殺人シーンであった。彼らが目撃したことを殺人者たちに知られてしまった彼らは、からくも現場から逃れることが出来たものの、殺人者たちはその後捜索を手伝うそぶりを装いながら幼い姉弟をジリジリと追い詰めるのであった。
登場人物たちの設定がよい。それぞれの登場人物たちのバックグランドの描き方が卓越している。
単なる追跡劇に終わらず、追うもの達、追われる者達、助けようとする者達のサブストーリーがしっかりと語られる。
追うものたちはの素性はリタイアしたロス市警の警官たちであり、彼らはどうも重大な犯罪を犯した者たちであるようだ。
彼らの跡を追うように登場した一人の元警官ヴィアトロ。更に幼い姉弟を匿い、やがて殺人者たちの手から守ろうとする老牧場主のジェス。悪徳警官の犯罪を薄々感じながらも彼らに口座開設の便宜を計らった地元の銀行家ジム・ハーン。
これらの登場人物が絡み合い、最後のクライマックスに突入する。
物語の登場人物、プロットの展開のしかた、どれをとっても秀逸な作品でありながら何故かいまひとつ“ノリ”が感じられないのは何故だろう?

どうもこの作者の発するリズムが僕には会わない気がするのだ。何度も述べたように、面白さの要素は全て揃っているのに、どうしても最後までのめりこめなかった自分は異端?なのであろうか。
蛇足かも知れないが、最後の数ページはいくらか幻想的な場面が織り込まれており、多くの部分を読者の解釈に委ねる事がいくつかあるが、やはりこれらは明確に描いて欲しかった。