感想の続きです。
日本人の「アイデンティティ」については国土があろうがなかろうが議論は可能であるが、国土が無くなった場合その核心がより鮮明になることは確かだ。
本作品中で中田首相と鳥飼外相とのあいだで日本人のアイデンティティについて論議が交わされる場面が有りなかなか興味深いものがある。
日本人が「祖国たる国土」を失った場合どのようにして日本人であることを保つことが出来るか?がテーマである、
国土を失って尚その固有の民族たりえる代表例としてユダヤ人があげられる。紀元前に自らの住んでいた土地を追われた彼らはその後イスラエルを奪還するに至るあいだ世界のあちこちに分散してユダヤ人でありつづけた。
この根本にあったのは「ユダヤ教」である。教義ばかりではなく社会生活、食べ物着るものも含めた全生活の規範がつくられ厳格に適用された。
ユダヤ人とはユダヤ教徒を意味する。
では一方の日本人にはそのような強烈な信仰があるのか?
答えは否。
日本人の宗教観として、もともと宗教に対しては寛容。だが保守的な一面もある。
世界的な普遍性を持つ大宗教が日本で布教に成功したためしはない。
仏教ですら原形から乖離しいわば「日本仏教」となっている。
神道との混在(廃仏希釈)が明治になって行われたがその後も容認されているといえる、と評される。
では何をもって日本人は精神的よりどころにしているのか?
それは「日本人の生活様式そのものが宗教である」と。
日本人の気質として「均質でありながら内部に別組織を抱え込み、ときには国家よりも帰属する組織の利益を優先する。
「均質化された社会で培われた日本の生活様式」の例として
『若いうちの苦労は買ってでもしろ』
『信頼を裏切るな』
『約束を違えるのは恥と思え』
などなど長い年月をかけた経験則、日本の中に根づいた社会規範となっている。
このことが日本人個人の力を最大限にもで引き出す要素となっているのだ。
そのためには日本人は日本人同士一緒に集まって住まねばならない。故に「非定住日本人の再編計画」が生まれたのであった。
一方、約30年前に読んだ「日本沈没」の中で政界の黒幕というか長老がつぶやいたセリフをうるおぼえで思い起こす。
『日本には世界に類をみない四季おりおりの自然があり、美しい国土がある。日本の独自な文化はそうしたものを背景に育まれたものであって、もしもこの美しい国土が奪われるのであればワシはこの国と運命を共にする。日本人はこのまま世界に放り出されて尚幸せに生きていくことはかなわない。この国とともどもに滅びたほうが幸せなのじゃ』
といったような気がする。真実はそうなのかも知れない。
この小説を読みながらふたたび「国家の品格」読んで思考したことを思い起こしておりました。
日本人の「アイデンティティ」については国土があろうがなかろうが議論は可能であるが、国土が無くなった場合その核心がより鮮明になることは確かだ。
本作品中で中田首相と鳥飼外相とのあいだで日本人のアイデンティティについて論議が交わされる場面が有りなかなか興味深いものがある。
日本人が「祖国たる国土」を失った場合どのようにして日本人であることを保つことが出来るか?がテーマである、
国土を失って尚その固有の民族たりえる代表例としてユダヤ人があげられる。紀元前に自らの住んでいた土地を追われた彼らはその後イスラエルを奪還するに至るあいだ世界のあちこちに分散してユダヤ人でありつづけた。
この根本にあったのは「ユダヤ教」である。教義ばかりではなく社会生活、食べ物着るものも含めた全生活の規範がつくられ厳格に適用された。
ユダヤ人とはユダヤ教徒を意味する。
では一方の日本人にはそのような強烈な信仰があるのか?
答えは否。
日本人の宗教観として、もともと宗教に対しては寛容。だが保守的な一面もある。
世界的な普遍性を持つ大宗教が日本で布教に成功したためしはない。
仏教ですら原形から乖離しいわば「日本仏教」となっている。
神道との混在(廃仏希釈)が明治になって行われたがその後も容認されているといえる、と評される。
では何をもって日本人は精神的よりどころにしているのか?
それは「日本人の生活様式そのものが宗教である」と。
日本人の気質として「均質でありながら内部に別組織を抱え込み、ときには国家よりも帰属する組織の利益を優先する。
「均質化された社会で培われた日本の生活様式」の例として
『若いうちの苦労は買ってでもしろ』
『信頼を裏切るな』
『約束を違えるのは恥と思え』
などなど長い年月をかけた経験則、日本の中に根づいた社会規範となっている。
このことが日本人個人の力を最大限にもで引き出す要素となっているのだ。
そのためには日本人は日本人同士一緒に集まって住まねばならない。故に「非定住日本人の再編計画」が生まれたのであった。
一方、約30年前に読んだ「日本沈没」の中で政界の黒幕というか長老がつぶやいたセリフをうるおぼえで思い起こす。
『日本には世界に類をみない四季おりおりの自然があり、美しい国土がある。日本の独自な文化はそうしたものを背景に育まれたものであって、もしもこの美しい国土が奪われるのであればワシはこの国と運命を共にする。日本人はこのまま世界に放り出されて尚幸せに生きていくことはかなわない。この国とともどもに滅びたほうが幸せなのじゃ』
といったような気がする。真実はそうなのかも知れない。
この小説を読みながらふたたび「国家の品格」読んで思考したことを思い起こしておりました。