老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

丹波路のフジ他 その③  ~中央分水界と河川争奪~

2018年05月01日 20時04分16秒 | 旅行/色々な風景
 白毫寺でフジを堪能した後、同じく丹波市にある水分れ(みわかれ)公園という変った名前の公園に寄りました。
ここは、本州で一番低い分水界がある場所という事を丹波市の観光案内で目にして、是非一度その場所を見てみたいと思っていたのです。


 まず、公園内にある「資料館」に立ち寄り、勉強してきました。 おさらいすると、

◆降った雨水は、通常いずれかの川(水系)に流れ込み更に海へと注ぎますが、この水系と水系の境界を分水界(或いは、分水線・分水境界)と言い、山岳地帯では山稜が境界になるので分水嶺ということが多いようです。(学生時代に習った分水嶺という言葉は何とか覚えていましたが、分水界という言葉は記憶していませんでした)

◆同じ海域に流れる隣り合う川(例えば加古川と武庫川の場合等)の分水界は複雑に入り組んでいる場合がありますが、日本では、川は大雑把に言って太平洋か日本海という違う海域のどちらかに流れ込みます。
この太平洋か日本海のどちらに流れるかの境界を“中央分水界”と言い、北海道・宗谷岬から津軽海峡を渡って本州を縦断し、関門海峡を飛び越えて九州・佐多岬まで連なっているようです。

◆この中央分水界の本州部分の一部が、この丹波市氷上町石生(ひかみちょう いそう)にあり、ここが日本海にそそぐ由良川と瀬戸内海(太平洋)に注ぐ加古川の分水界となっており、その一帯が水分れ公園として整備されているのです。

◆一番驚いたのは、氷上町にある中央分水界の一番低い所は、標高わずか95mしかないという事です。
即ち、仮に気温上昇等で水面が100mも上昇すると、この地で日本海と瀬戸内海が完全に繋がり、本州は東西に分かれるという、まるで小松左京氏の小説「日本沈没」のような状況になるとのことです。

 この水分れ公園を散策していると、園内を流れている高谷川の公園入口付近に用水路の分岐点が設けられ、用水路側は分水界の北側へ導かれてここを起点に黒井川⇒竹田川⇒土師川⇒由良川を経て約70km先の日本海へ流れていき、高谷川本流は加古川を経て約70km先の瀬戸内海(太平洋)へ流れていくという表示を見ると、何か不思議な感じがしました。


 その後、丹波市山南町にある「丹波竜の里公園」という所にも立ち寄り、この近くで発見された恐竜(ティタノサウルス形類)の実物大モニュメントなどを見た後、丹南篠山口から高速道路で帰宅しました。

 途中、篠山に出る途中に道路沿いの篠山川の川代渓谷という美しい流れも見ましたが、帰宅後写真整理をしているとふと気になったのが「篠山川は加古川の方に流れていたが、地理的に考えると武庫川水域の方に近いように思われるが??」という疑問もあり、念のために調べてみると、思いもしなかったことが判りました。

 確かに現在は加古川水系の川なのですが、“ヴュルム氷期までは、篠山盆地より上流は武庫川水系だったが、河川争奪の結果、川代渓谷を経て加古川に合流するようになった”という記述を見つけました。(WIKIPEDIA)
 
 知らない言葉が多いので調べてみると、
ヴュルム氷期とは最終氷期とも言い、およそ7万年前に始まって1万年前に終了した一番新しい氷期のことで、俗に「氷河期」という言葉を使うときはこの時代を指す。
河川争奪(かせんそうだつ)とは、河川の流域のある一部分を別の河川が奪う(自らの流域に組み入れる)地理的現象のこと。特に珍しい現象ではなく、世界各地にその痕跡地形(河川争奪地形)が見られる

ということです。即ち、篠山盆地は随分昔には武庫川水系だったが、加古川水系に変ったという事で、新しい気付きでした。

ゴールデンウィーク初日の遠出でしたが、大した交通渋滞にも会わずに、フジの花を堪能したり、思いがけずに新しい地理学の知識を得たりと沢山の内容でした。(まさ)

<水分れ公園>

資料館

中央分水界の説明図。高谷川のすぐ北側が分水界になっています。

公園内の風景

この公園内を流れる水のきれいな高谷川。これは加古川の上流です。

公園内にある高谷川の取水口(WIKIPEDIAより引用)

この取水口に立っている表示。取水口からの水は日本海に向います

公園内にある「いそ部神社」(イソは山篇に石という字です)
和銅3年(710)の創立と伝えられている古い式内社です。

公園より少し下流にある、高谷川の「水分れ橋」

<丹波竜の里公園関係>

恐竜の実物大モニュメント

すべり台も恐竜がアレンジされています

この恐竜越しに見える山にはヤマフジが満開です

ベンチにも恐竜が座っています

近くにあるレンゲ畑越しに、JR福知山線の電車が通過

篠山川の川代渓谷

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