今回の四国88カ所霊場巡りのツアーでは、日頃から宗教に疎いだけでなく臨済宗徒である私にはあまり聞きなれていない真言宗で良く行われている経典の勤行がありましたが、その中で気になったのが「十善戒」いうものでした。
要するに、“してはならない”行為を書いてあり、ある程度はその内容が判るのですが、意味が判らない言葉もあり、帰宅後にWikipediaなどで改めて調べてみました。
まず、「十善戒」は、比丘(ビク=出家し具足戒を守る男性の修行者。 ※女性の場合は比丘尼)を対象とした、仏教における十悪(十不善業道)を否定形にして、戒としたものということです。
江戸時代後期の徳僧、慈雲尊者によって広く宣揚された。日本では真言宗系で重んじられるが、四国遍路の大衆化により宗派を問わず普及してきているということです。
その具体的な内容は、
不殺生・不偸盗・不邪淫・不妄語・不綺語・不悪口・不両舌・不慳貪・不瞋恚・不邪見というもので、無知な私は「不悪口」「不両舌」はそれぞれ言葉通りに悪口(わるくち)や二枚舌のこととおもっていましたし、「不邪見」については“邪険にする”という言葉と混同して、“冷たくて思いやりがなく、相手につらい仕打ちをしてはいけない”のだと思っていました。
更に判っていると思っていた言葉も所謂仏教用語と現在の使われ方には少しずれがありました。
また、不綺語・不慳貪・不瞋恚については、全く意味が判りませんでした。
ということで、改めてこの10の言葉の正しい内容を記しますと、
不殺生(ふせっしょう): 故意に生き物を殺さない。
不偸盗(ふちゅうとう): 与えられていないものを自分のものとしない。
不邪淫(ふじゃいん) : 不倫など道徳に外れた関係を持たない。
不妄語(ふもうご) : 嘘をつかない。
不綺語(ふきご) : 中身の無い言葉を話さない。
不悪口(ふあっく) : 乱暴な言葉を使わない。
不両舌(ふりょうぜつ): 他人を仲違いさせるようなことを言わない。
不慳貪(ふけんどん) : 激しい欲をいだかない。
不瞋恚(ふしんに) : 激しい怒りをいだかない。
不邪見(ふじゃけん) : (因果の道理を無視した)誤った見解を持たない。
ということのようです。
即ち、三業(身口意)にそれぞれ3-4-3で対応するようになっているようですが、「口」が多いということは「口は禍の元」ということでしょう。
また、上述したようにこの「十善戒」は出家した僧を対象としているようですが、在家信者には五戒、八戒が存在するようです。五戒の内容は、
不殺生戒(ふせっしょうかい): 生き物を故意に殺してはならない。
不偸盗戒(ふちゅうとうかい): 他人のものを盗んではいけない。
不邪淫戒(ふじゃいんかい) : 不道徳な性行為を行ってはならない。
不妄語戒(ふもうごかい) : 嘘をついてはいけない。
不飲酒戒(ふおんじゅかい) : 酒類を飲んではならない。
で、特に最後の不飲酒戒は私には、守れそうもありません。
また、今回のツアーでは宿坊に3回泊まりましたが、何れでも飲酒は可能でしたので、ひょっとして不飲酒戒はもう有名無実になっているのかも知れませんね。(まさ)