老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

安倍首相の辞意表明に関して

2020年09月03日 19時28分30秒 | 政治・経済・環境・核兵器など
 先日の安倍首相の辞意表明については、今まで一貫して安倍政権に批判的だった私にとっては一つの区切りにはなりましたが、これですっきりとしたとはとても言える状況ではありません。

 後任の自民党総裁を巡っては、まだ立候補表明もしていない人が早々に有力視されたり、“政策や政治理念は全く関係なし。兎に角勝ち馬に乗って主流派となり、今後の冷遇を避けたい”という派閥の理論がより露骨になった自民党の政治姿勢が良く現れていて、次期首相にも何らかの期待は難しいでしょう。

 更に、安倍首相は辞任に当って、今までの政治の総括など自らされるとは思えず、私には、病気を理由にして、色々な問題から上手く逃れたなあというモヤモヤ感だけが残っています。


 そう思っていると、昨日(9月2日)の毎日新聞夕刊の「理の眼」というコラムで、青木理氏が『疑惑、不正への落とし前を』というテーマで、私が持っている思いを上手く表現してくれていました。

 少し長くなりますが、その全文を引用させて頂きます。(まさ)


 “持病の悪化を理由にまたも政権を投げ出した形の首相。1人の人間としては、もちろん衷心よりお見舞いを申しあげ、早期の体調回復をお祈りします。ただ、為政者としての評価や責任は別の話。特に自らが招いた数々の疑惑や不正に関しては、辞任前にせめて説明責任を果たし、落とし前をつけてもらわねばなりません。

 たとえば、森友学園への国有地売却をめぐって公文書が改竄(かいざん)されたのはなぜですか。後世に歴史と教訓を伝える国家の記録であり、「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」(公文書管理法1条)たる公文書が改竄されたのは、あらためて申しあげるまでもなく前代未聞の犯罪的行為。最前線の現場では1人の公務員が命を絶ち、その妻はいまも真相の解明を訴えています。

 また、前法相夫妻が公職選挙法違反(買収)の罪に問われるという、これまた前代未聞の事件はなぜ起きたのですか。前法相は首相が側近として重用し、問題の参院選では自民党本部から前法相の妻の陣営に1億5000万円もの巨額資金が流れています。これが買収に使われたのではないですか。なぜこれほどの巨額資金が渡ったのですか。原資は公金を含む政党助成金ではないのですか。

 ほかにも疑惑や不正はいくつもありますが、これらの真相解明はさして難しくありません。公文書の改竄は、首相として財務省に徹底調査を命ずればいいのです。前法相夫妻への巨額資金問題は、党総裁として党に解明を命ずればいいのです。実に簡単至極。

 それをやらずして去る首相に「お疲れさま」などと言う気分になれますか。疑惑や不正が持ちあがるたび、これほど嘘(うそ)や詭弁(きべん)を連発した政権が過去にありましたか。「私は政権を私物化していない」と開き直るのではなく、せめて自らが招いた疑惑や不正の決着ぐらいつけていただけませんか。

 なのに後継をめぐる総裁選レースは、どうやら官房長官の選出で流れが固まった気配。口先では「政策の継続性」などと言っても、要は「勝ち馬に乗る」ということでしょう。透けて見えるのはポストやポジション取りを睨(にら)んだ政治屋の群れの打算と保身。逆にもし「継続性」があるとするなら、それは「政策」でなく、数々の疑惑や不正をめぐる「隠蔽(いんぺい)の継続性」。うんざりする政治はまだ続きそうです。(青木 理 ジャーナリスト)”