老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

福島第一原発の賠償・除染費用などの負担問題

2016年10月08日 19時49分31秒 | 原発関係
この件は、このブログでも再三触れていますが、いよいよ具体的な局面を迎えそうな気配です。

◆そもそも、福島第一原発に伴う賠償・除染費用については、
・国がいつでも現金に換えられる国債を「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」に渡す。
・東電は、同機構から必要な資金の交付を受け、賠償・除染に充当する。
・機構は、後に東電を含む電気事業会社から負担金を受取り、国に返済する。
という仕組みになっており、2013年に賠償費用/除染費用/中間貯蔵施設建設関係を、それぞれ5.4/2.5/1.1兆円、計9兆円として、機構への資金交付の上限を9兆円と設定しました。

◆また、これらの費用の負担については、
・賠償分は東電を含めた電気事業会社が負担
・除染については、機構が所有する東電の株式の売却益を充当する。
という、取り決めがなされていました。

◆しかし事故発生後5年が経過し、現実の保障・除染費用が当初試算から大きく膨れ上がることが確実になり、10月4日の毎日新聞の報道では、電気事業連合会(電事連)としては、
賠償費用:+2.6兆円 (計8兆円)
除染費用:+4.5兆円 (計7兆円) 
また、除染費用に充当するはずの東電株の売却益が1兆円減少見込みということで、合わせて当初の見込みより実に8.1兆円も不足するという試算をしているようです。
また、除染費用が東電株の売却益でカバーされないとすれば、これらも電気事業会社に負担を迫られるだろうが、その負担能力がないとして、超過分についての政府負担を求めているようです。

◆なお、このブログでも既に触れていますが、上記の賠償・除染費用とは別に、廃炉費用については東電が積み立てている準備金を充当することになっていますが、この東電の積立金は約2兆円ということのようです。
正常な状態での廃炉ならこの金額で何とかなるのかも知れませんが、今回は正常な状態での廃炉ではなくメルトダウンによる汚染された炉だけに、とてもこの金額ではカバーできそうもない状態の様で(一説では10兆円以上、或いは天井知らずとも言われているようです)、既にこの7月に政府に対して費用負担を求めています。

 これが、安全神話に基づいて運用され、また政府として今後も主要電源として依存を決めている原発が事故を起こした場合の実態です。
この試算の除染費用については、先日指摘したダムの除染や、その基となる森林などの除染は全く含まれていないと思いますし、オリンピックや各種公共工事と同じく、あくまで関係者が見積もった非常に甘い試算である事は疑いがないでしょうし、賠償問題も全て解決済みではありません。
他の色々な公共事業と同様に、一旦政府負担(ということは、国民の税金での処理)を認めれば、この金額は天井知らずに跳ね上がって行くことでしょう。

 まさに、先日紹介した小泉元首相の発言通り『“原発は安全・一番コストが安い・クリーン”これは、全部嘘だ』ということが、段々と明白になってきつつあります。(まさ)