素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

浦山 桐郎

2015年04月29日 | 日記
 映画「にあんちゃん」のオープニングで助監督・浦山桐郎に目が留まった。今村昌平監督の作品なのでごく当たり前のことだが、私にとっては監督としての浦山桐郎さんの存在が大きいだけに「ああこんな時代もあったんだ」と妙に感慨深かった。長兄の長門裕之にも同じような思いを持った。

 私の世代にとっては好むと好まざるとにかかわらず吉永小百合の存在は大きい。その吉永小百合の女優人生の節目、節目に浦山桐郎監督がかかわってきたように思う。

 小学校6年か中学校1年ぐらいに見た『キューポラのある街』、助監督だった浦山さんの監督昇格デビュー作であり、吉永小百合が清純派女優としてブレイクするきっかけになった作品である。

 その次は、教師になってまもなくの頃に見た『青春の門』、休日に梅田に出かけ時間つぶしで入ったもので何の予備知識もなかったが、内容の重さもさることながら10代の頃につくりあげられていた吉永小百合のイメージを壊す役に挑んだ姿に鮮烈な印象を受けた。

 この後、『青春の門』は何度か映画化、ドラマ化されているが、「自分がこの原作を映画化するねらいは、炭鉱労働者の歴史を残しておきたいからなんだ」という強い思いを持ってつくられた浦山作品を越えるものはない。

 そして、30代半ばで見た『夢千代日記』、内面に秘めたものを持ちながら生きる女将を演じ、演技派女優としての歩みを確かなものにした。この作品が公開された数ヵ月後、日活に入社するきっかけになった鈴木清順の還暦を祝った夜、泥酔し床に就いたまま心筋梗塞で急死したことも運命的なものを感じる。

 ジムの帰り、久保池越しに山フジがたくさん咲いていることに気づく。例年の2倍ぐらいに感じた。今年はどこのフジも勢いがあるように思う。
 
コメント
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