今夜も本をまくらに。

山歩きが好き、落語が好き、おいしい物が好き、中島みゆきが好き、
でもやっぱり活字がなければ生きていけない私。

騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編

2017年05月10日 | 「本」のひきだし

ブクログより


一人の男は、目の前の少女が ≪自分の子供であるかもしれない、あるいはそうでないかもしれない、という可能性のバランスの上に自分の人生を成り立たせている。その二つの可能性を天秤にかけ、その終わることのない微妙な振幅の中に自己の存在意味を見出そうとしている》
それに対して私は ≪そんな面倒な企みに挑戦する必要はない、なぜなら私には信じる力が備わっているからだ》
《》内は文中より


この物語に出てくる二人の男について表しているこの表現こそが物語のすべてである、ということかな。
男にはイデアが見えないし、私には見えるというような。

信念を持ち続けて、何年もかかって手に入れたもの、それは揺るぎのないもの、のはず。

イデア・・・理性によってのみ認識される実在。
      感覚的世界の個体の本質・原型。
      または価値判断の基準となる永遠不変の価値 (はてなダイアリーより)

      観念である、姿かたちを持たない抽象的なもの。何かの姿を借りて人の前に出てくる (文中にて作者の解説)

メタファーに至っては、暗喩・比喩はわかっても、それがどうなのだ、という感じ。


メチャクチャ非現実的な、不可解な体験を経て、落ち着くところに落ち着き主人公が手に入れたものは、逆に普通すぎて平和すぎて
「あれ?そんな風に終わるんだ・・・」とちょっと肩透かしされた感じもする。
丸く収まりすぎというか・・・村上春樹も丸くなったというか。


騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編  /  村上春樹


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする