ももクロの新曲が発売されて、その売上が明らかになった訳だけれど、その数字を元に「人気がない」だとか言う事は簡単だし安直だ。もはや彼女達はハロプロ勢を追い越してアイドル界ナンバー2のポジションを掴んだ。それはもう事実なのだ。二番手というのはAKBに次いでという意味ではなく、48系に続いてという意味だと注釈を付けておこうと思ったけれど、NMBはおろか、SKEをも抜いたのではないか?CD売上はずっと下ではあるけれど。
猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」MV
そう、このCD売上が引っかかるポイントなのであって、ももクロのCD売上はSKEの十分の一くらいである。その数字だけを見たらとてもSKEより上か?なんて言えないのだけれど、もはやCD売上なんてものは人気を正常に表せる数字ではなくなってしまった。
何が言いたいのかというと、ももクロがこの十倍、いや五倍の人数構成ならばSKEを抜けるという事なのだ。いや、それは根拠のない空論というならば、SKE単独で一万人規模のアリーナ公演を出来るのかという事なのである。
そこに今のももクロのジレンマとリアリティが存在している。マスメディアへの露出増加により知名度も関心度もZになってから上昇したももクロ。しかし、「他とは違う」というファクターにこだわり続ける限り、ずっと48系の数字は抜けない。そして、おそらく多くのももクロヲタもそれは望んでいない。
他、特にライバルと言える存在との比較で自己を輝かせていくのは、「人と違うセンス」を常に大切にしている人種には堪らない肩書きなのだけれど、そのライバルとは違うやり方を採用していかなくてはいけないという縛りに自らを締め付け、その結果としてのCD売上という数字の結果を生み出す。
勿論、その「人と違うセンス」な人達は無理して数字を上げなくても良いとも願っている。
そうなると、どこにライバルに対しての優位性を見いだしていくかと言えば、楽曲の方向性か。
そして、その楽曲の方向性というものが「他とは違う私達」を演出するに最適だとばかりに、それがどんどんエスカレートしていく状況。思い返せばZになってからまだ一年経っていないのだ。
何故そこまで濃い日々を求めるのか?何故生き急ぐのか?元々アイドルヲタではなかった人達は割と平然としているのに対して、元々アイドルヲタをやってきた人ほど今のももクロの全力少女っぷりに不安を抱き、その空転に、いつかやってくるオイル切れを想像して不安に駆られるのだ。
そんな不安を宇宙のビートに乗せて疾走感溢れるロック調にしたこの曲。この抑揚をプログレと言ったらプログレッシブロック愛好家に叱られそうだから言わないけれど、やけにキャッチーなメロディを受け止めながら、その先にある笑顔と涙をそっと今から妄想して心の準備をしておかなくてはいけない。それはアイドルヲタならば誰もが体験する事であって、アイドルヲタは心の準備は出来ている。しかし、それを恐れるハイセンスな人達はその予兆を感じ取った頃には消えていくのだろうなと、密かに寂しい気持ちになっていくのだ。変わらないのはメンバーの笑顔と涙なのに。