この前、スケバン刑事を観に行った話を書きましたが、映画を観た帰りに寄った古本屋で月刊散歩の達人のバックナンバーを発見。何冊かある中から、本の状態が良く特集に興味をそそられた「神保町」と「浦安・葛西・新浦安」の各特集号を購入。学生時代から慣れ親しんでいる本の街「神保町」に、以前から興味があった「浦安」と、なかなか良い買い物したなとご満悦。
そんな訳で、読んでいるうちに早速行きたくなり、10/9に浦安に行ってきました。今回の散歩カメラは、先日入手したばかりの一眼レフ「ミノルタ XG-S(1979年登場のカメラ)」にレンズは「ミノルタ MCロッコール35mm F2.8 Ⅰ型(昭和40年代前半物)」というレトロ仕様。デジカメは「ミノルタ ディマージュXi」です。
昼過ぎに、東西線浦安駅に到着。西葛西には、江戸川競技場での東京ガス(現・FC東京)のサッカーの試合を観に以前はよく降りたけど、浦安は記憶にない。多分、初降りだろう。コンパクトな浦安駅前ロータリーの周りは活気がある。まずは、そのロータリーとは反対側にある浦安魚市場に向かうが、今日はお休み… まあ、よく考えれば祭日だから当然なのだけど。
気を取り直し、駅に戻る。ガード下に設けられている、ちょっと昭和な感じの飲食街は見た事あるようなデジャヴ感。でも、改めて記憶を辿っていっても、過去に浦安駅を降りた事は思い出せない。初めて来た筈なのに、初めてな感じがしない町。DNAの奥深くに刻まれた町なのかも。
駅前の案内板を参考に今回の散歩コースを決め、改めて散歩開始。まずは南の方向へ。
駅から5分ほどの所に、境川という小川が流れている。横浜と藤沢・大和などの境にも同名の川があるので親近感。川に架かる橋の側に銭湯があった。境川周辺には他にも数軒銭湯があり、他の町より安い料金で人気なのだそうだ。斜向かいに「清瀧神社」という神社があったので参拝。
境川の道一本向こうを沿ってフラワー通りという住宅街の細道がある。その通りに、古びた銭湯や、昔ながらの昭和な趣な商店が点在している。銭湯がいくつもあるのは、浦安がかつて漁師町だった名残なのだそうだ。銭湯の先の道を左折し、境川沿いに出る。
小さな境川の両岸には、細い歩道が通っている。日陰になって涼しい裏道だが、やがて道は広がり、車も通れるくらいの広さになる。その先には、水門が見えた。川岸には釣りをする人達の姿が目立ち始め、川には小さな釣り舟も浮かんでいる。
水門の所からは、境川沿いとは別の道を歩き旧江戸川を目指す。さらに南に向かえば新浦安方面だが、そちらには今回は向かわない。道の南側は電柱などがやや新しく、今歩いている道が埋め立て地と元からの地との境目かなと予想した。帰宅後、散歩の達人に載っていた記事を見たら、予想は当たっていた。
少し歩き疲れ始めた頃、旧江戸川の土手に着いた。堀江ドックという小さな船のドックがある。川には海苔の養殖をしていた時代の名残か、杭が何本がそびえ立っている。西日を受けて光る川面と杭の眺めを撮った。
ここからは土手散歩。他にも散歩を楽しんでいる人の姿が目につく。やがて、東西線の鉄橋が見えてきたので、境川沿いに戻る。親子連れが釣りを楽しんでいる近くを、メトロの電車が轟音を立てて走り過ぎていく。
一旦、浦安駅前に戻ったあと、駅を横切る葛西橋通りに歩を進め、浦安橋を渡る。橋の中間あたりに位置する階段を下り、旧江戸川に浮かぶ「妙見島」へと上陸。島とは言うものの、全長800mほどの中洲と言った方が良い小島(住所は、浦安市ではなく江戸川区東葛西)。階段を下りるといきなりラブホ。見渡すと他の建物はほとんどが工場。時折現れる車もトラックばかりだ。
私はトラックの行き交う表の道ではなく、裏道に入った。工場の建物にツタがからまり、金網のフェンスも錆び付いている。そんな風景を往く草むした裏道に突然猫が何匹も出現したので、何枚か写真を撮る。荒涼とした工場裏の眺めの中において、心が和んだひとときだったけど、「猫に餌を与えるな。与えている人を見つけたら通報します」という看板が視界に入る…
裏道は行き止まりだったので引き返し、今度は表の道を歩いた。トラックと砂埃と工場群。静かな休日の島だと思って来たが、エンジン音が響き渡る。「島を散歩する」というのどかな気分とは程遠いその雰囲気と眺め。そんな眺めの中に突然ヨットクラブとレストランが現れる。場違いな風景に思えながらも、頼もしくも感じるこの建物を過ぎると、再び工場群。そして、またも行き止まりだ。
埃っぽい妙見島から浦安へと戻る。夕陽が東西線の鉄橋を染める。浦安橋からその眺めを撮影。橋の上から見た妙見島は、オレンジに染まって憂いを帯びた眺め。ここからは、トラックのエンジン音も作業車の唸る音も聞こえてこない。
再び土手を歩き、鉄橋と夕陽を撮影しているうちに日が暮れた。川沿いの釣り客相手の船宿から、魚を焼くいい匂いが漂ってくる。浦安の黄昏は、どこか懐かしさを感じるデジャヴな黄昏だった。
浦安駅周辺の地図
http://www.mapion.co.jp/c/f?el=139/54/19.530&scl=70000&uc=1&grp=all&nl=35/39/02.578
今回のBGM スプラッシュ / ブリッジ